1000兆円刷っても大丈夫な日本経済

■株式市場における政府の役割

 4月28日(木)に行われた金融政策決定会合にて、日銀は追加緩和の実施を見送った。そのせいもあるのか、株価は急落し、追加緩和の実施を織り込みつつあった円相場も112円手前から一気に急騰し、現在、106円台をつけるに至っている。
 少し前に、円が108円を切った辺りで麻生財務相は「急激な円高を牽制する」との姿勢を見せていたが、107円を切っても同じように、「必要とあれば為替介入を行う」と述べるに留まっている。

 現時点では、安易に追加緩和や為替介入を行うべきではないと言う人は多いと思う。そういった批判やリスクを避けるという意味でもヘタには動けないというのも理解できるのだが、口約束だけではなく、言ったからにはやるべき時にはやるという姿勢も見せないと、投機筋の好き勝手が罷り通る博打相場になってしまう。
 株式市場においては多くの投機筋が暗躍しているので、その行動に一定の暗黙の縛り(ルール)を設けるためにも政府の意見というのは非常に重要になる。政府というのは、ある意味で、最大の投機筋であり最大の仕手グループと成り得る存在だ。ゆえに株式市場というカジノ場で、ある程度の安定性を担保する(睨みを利かす)のは政府の役割だとも言える。

 株式市場というのは、体裁上は“健全な投資家が集う場所”であるわけだから、その投資家が逃げ出すような不安定な場所にしないように最低限の監視は必要であり、それができなければ、投機筋から“無能政府”の烙印を押され、恰もイジメが罷り通るような無法市場と化してしまう。中国のような過剰な市場監視は大問題だが、日本のような放任し過ぎる姿勢も問題だと言える。実際、現在の日本の株式市場の値動きは中国のそれよりも不安定になっている。

■1人200万円ではインフレにすらならない

 ところで、「金融緩和すればハイパーインフレになる」という言葉が流行したことは記憶に新しい。結果的には200兆円程度の金融緩和ではインフレにすらならなかったことも記憶に新しい。
 では一体いくら金融緩和すればハイパーインフレになるのか?ということだが、おそらく1000兆円の金融緩和を行ってもならないと思う。なぜそう思えるのかを具体的に説明してみよう。

 200兆円の金融緩和を行ったとして、そのお金が個人個人に等しく行き渡る(実際には行き渡らないが)と仮定するなら、国民1人辺りの資産は(200兆円÷1億人=)200万円増えることになる。(注:1億人というのは単純化した数字)
 仮にあなたが4人家族だとすれば、1人200万円で計800万円だ。では、あなたの家族に800万円のお金が入ってきたとして、あなたやあなたの家族の心境は大きく変わるだろうか? 「大金がタナボタで入ってきた。これで将来の心配をすることなく何でもバンバン買えるぞ。」となるだろうか?

 残念ながら、答えは「ノー」だと思う。

 800万円では、マイホームは買えず、せいぜい高級車が買える程度だ。その程度のお金で将来の安定をイメージできる人は、ほぼいないだろうから、その800万円を将来のために貯金して終わりという人が大半だろうと思う。元々、お金に心配の無い人だけが、その800万円を景気良く使い、一時的に景気が良くなることは間違いないだろうけれど、大部分の人々が「景気が良くなった」とイメージするには遠く及ばない。
 お金をどれだけ刷っても、そのお金が景気良く動かない限り、死に金であり、景気に与える影響は無いに等しい。

■然るべき時に追加緩和するべき

 もの凄く極端な喩え話をすると、あなたが甲子園球場に1人でいたとして、目の前に1000兆円の札束が現れたとしよう。高さ1000mに達する札束が100列×100列で1万束出現したとしよう。
 その1000兆円と現在の国民の金融資産1500兆円を足せば、合計2500兆円のお金が日本国内に存在することになる。では、それでハイパーインフレになるかというと、ならない。ハイパーインフレどころかインフレにすらならない。
 なぜなら、そのお金は金融資産としてカウントされておらず、そこに存在するだけで全く動いていないからだ。
 
 もの凄く単純で滑稽な喩え話だが、実は金融緩和の効果もこれと同じ理屈であり、刷った金額などはほとんど関係が無い。要は、動いているお金、これがどれだけあるかが重要なのであり、国民の多くが将来に対する不安を払拭できるだけのお金を刷らない限り、ハイパーインフレになどは成りようがないのである。
 景気を動かすキーはお金の量ではなく、その手段としてのお金の量が、人々の思考にどれだけの影響を及ぼすか、それこそがキーと成り得る。

 では、1000兆円刷ればどうなるか? 1人辺りの資産は1000万円増えることになる。4人家族では4000万円だから、これならマイホームも買える計算になる。将来的に家のローンを支払わなくてもいいようになるので、かなり大胆な消費も行えるようになるだろうし、インフレになる可能性も高くなる。しかし、これでもハイパーインフレにはならないと思う。

 もし、政府が、ハイパーインフレになるという危惧から金融緩和をできずにいるのなら、幸か不幸か、その心配は、限りなく0に近いと思われる(国民の財布の紐はそれほど緩くならないため)ので、口約束通りに、然るべき時に追加緩和すればいいのではないかと思う。

 余談ながら、本来、金融緩和の果実を国民が等しく受け取るためには、アメリカのように大部分の国民が株式市場に参加することで市場から受け取るというのがベストだと思われるのだが、株式投資の人口比率が低い日本では、そういった方法論すら現実味のない夢物語となってしまう。だからこそ、「ハイパーインフレになる」というような心配も、全くの杞憂、全くの夢物語になってしまうのである。

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『平成28年熊本地震』で消費増税延期

■地震予知に無力な地震学者達

 気象庁は4月14日に九州で発生した震度7の大地震を『平成28年熊本地震』と名付け、その後の余震に注意を呼びかけていた。
 しかしながら、16日未明に発生した大地震によって、14日に発生した地震は本震ではなく“予震(前震)”だったことが判明した。
 テレビで注意勧告を行っている地震学者や専門家達は「今後の余震に注意してください。」と言うばかりで、「これは予震(前震)である可能性がありますので、厳重注意してください。」と言っていた人間は(私の知る限り)皆無だった。

 こういう皮肉な事態を観ていると、結局、現代の人間は天災には無力だということを、嫌というほどに思い知らされる。地震学者が地震に詳しいと言っても、それは地震の知識を一般人よりも豊富に持っているというだけのことであり、地震の予知については、老若男女を問わず一般人と全く同じ認識力しか持ち併せていないということを、嫌というほどに思い知らされる。

■大震災の有無に関係なく消費増税の凍結化を

 ところで、安倍総理は3月末に「リーマン・ショックや東日本大震災級の事態が生じない限り(消費増税は)実施する」と語ったことは周知の通りだが、まるで、その言葉の真偽を確かめるかのように、阪神・淡路大震災級の巨大地震が九州を襲った。
 幸い、原発事故には至っておらず、津波を伴った東日本大震災に比べれば、被害の大きさでは比較にならないかもしれないが、既に多くの被害が出ており、地震の規模的には「大震災」と呼んでもおかしくないレベルに達している。

 今後、このての議論(熊本地震で消費増税延期)は多く出てくると思われるが、安倍総理にとっては悩ましいところだろうと思う。
 個人的には、地震の有無や大小に関係なく、消費税の増税は無期限延期(理想は消費減税)が望ましいと思われるので、不謹慎を承知で書かせてもらうと、今回の大地震を消費増税延期の理由の1つとするべきだと思う。

 現状、本震とされている大地震が、阿蘇山大噴火の予震だったという事態『九州大震災』にならないことを祈るとともに、消費増税が凍結化(休火山化)されることを切に願う。

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