グローバリズムは「公平」or「平等」?

 前回、と言うより、今朝書いたブログ記事では、いろんなコメントを頂いた。「グローバリズム」という言葉には、いろんな定義と解釈が有り得るので、反論や批判は覚悟していたものの、予想していた通りのコメントも散見された。
 BLOGOSのコメントに対する回答はブログの追記として書くことが多いのだが、今回は回答文が少し長くなったので、別記事としてアップしておきたいと思う。
 本記事がBLOGOSに転載していただけるかは判らないが、どちらにしても1つの記事として書いた方が人目に触れる機会は多いと思われるので、別記事として書かせていただくことにした。

 今回は、BLOGOSのYuzo Seo氏のコメントに対する意見を書いてみたいと思う。

>ここで「富豪」と呼ばれているのは、おそらくは、ビルゲイツのような、新しい産業を興した人のことでしょう。

 いや、少し違います。インターネット社会の立役者達がグローバル化を推し進めたのではなく、そのインターネット社会を利用してグローバル化を推し進めた人(グループ)のことです。

>一方、「中産階級」と呼ばれているのは、過去に成功した人たちで、そのやり方をずっと続けている人々の意味でしょうね。

 これも少し違います。正しくは、同じ能力を持って努力しているにも拘らず、グローバル化による逆差別によって、その能力が発揮できていない人々のことです。

>で、中産階級が没落したのは、彼らの富を富豪が召し上げて、発展途上国などに配ってしまったから、なのでしょうか?

 物価の異なる国々の労働者を、いきなり同一市場で競争させたことによって、結果的に中産階級が得るべき富を途上国に配ってしまったという意味です。

>そうではないでしょう。時代が変わっているにもかかわらず、過去に成功したやり方にしがみついているから没落したのではないですか?

 過去の成功にしがみついて愚痴をこぼすような人もいるでしょうけれど、ここで述べているのは、そういう話ではなくて、どんなに努力しようが埋めようのない格差(物価の差)のために割を食う労働者(先進国の労働者)がいるということです。
 なぜそんな労働者が生まれるのかというと、グローバリズムが公平ではなく平等に重きを置いたものだからです。置いたと言うよりも必然的にそう成らざるを得ないという意味ですが。

>中産階級であることは、権利でも何でもない。当人たちの努力によって維持しなければならないポジションなのですね。それをさぼってしまったら、没落するのは当たり前です。

 サボタージュによっての没落なら自業自得かもしれませんが、端から競争が成り立たない環境に放り込まれた先進国の労働者が没落することは当たり前とは言えません。

>不満を富豪にぶつけたところで、何一つ改善しない。
>真の解決策は、自らが富豪になる努力を、まずは始めることです。

 その通りなのですが、急激なグローバル化は、公平な社会ではなく平等な社会を齎すため、個人の能力や努力が無に帰すことになってしまう可能性が極めて高くなります。
 例えば、人件費が日本の10分の1※の中国の労働者と日本の労働者が競争したとしましょう。その場合、両者ともに同じ能力と同じ努力をしたとしても、仕事を受注するのは必ず中国の労働者になります。それが公平な社会と言えるのですか?ということです。

 公平な社会とは、正しい競争原理が機能してこそ成り立つものです。人件費が10分の1ということは、能力が10倍有ることとイコールです。そんな相手と競争することは競争原理以前の問題です。
 「人件費が高い国が悪い」と言う人がいるかもしれませんが、個人の労働者には何の責任もありません。たた単に先進国に生まれたというだけで逆差別される理由にはなりませんし、自己責任論も成り立ちません。100m走で90mものハンデを付けられて、まともな競争などできるはずがありません。

 ※中国の人件費は現在ではもう少し上がっていますが、ここでは話を解り易くするために、あえて10分の1としました。

 以下は私に対する直接の意見ではありませんが、私なりの考えを書いておきます。

>能力が違うなら、貧富の差が生じるのは致し方ないと思いませんか?
>同じ能力なのに、生まれた国が違うだけで貧富の差が生じる。
>後者の方がよほどアンフェアじゃないでしょうか?

 先述した通り、グローバル経済下では、人自体が同じ国に移動して、環境を揃えない限り、個人の能力や努力が正当に評価されません。先の例で言えば、日本にいたまま中国の人と競争すれば、能力が勝っていても人件費が高いという理由で貧富の差が発生することになります。急激なグローバル化は労働における公平(フェア)性を担保できないという意味で否定しているということをご理解ください。
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