« 選挙活動における理想と現実 | トップページ | 「交通安全週間」は「安全運転週間」? »

保険金の不払い問題の核心とは?

 生命保険会社における保険金の不払いが社会問題となっている。
 某新聞の発表では、生命保険会社38社を対象とすると、過去5年間で284億円もの不払いがあったらしい。しかしこれはあくまでも表面化したものだけの数字なので、実際はこの発表の数倍の金額になることは間違いないだろう。
 なぜこんなことが発生するのかをよく考えると、いくつかの原因が考えられる。
 この記事でも伝えられてはいるが、まず“契約者から請求がない”ということが大きな理由らしい。より正確に言うなら、“契約者から請求がない”ではなく“契約者が気付いていない”ということだろう。

 実際、ハッキリと死亡したケースなどで不払いになることは無いだろうし、そんなケースで不払いがあった場合はすぐに発覚してしまう。しかし未だに発覚せずに水面下に眠っている不払いが多くあるということは、結局のところ、契約者自身、保険金が入ることに気が付いていないケースが多々あることを物語っている。要するに、どのような状態(病状など)ならどんな保険金(一時金や通院費など)が入ってくるのかを理解していないわけだ。
 このような人達に対しては、保険会社の人間からお節介(?)を焼かなければ、保険金が出ないまま放っておかれ、数年後に気が付いたとしても、その時には保険金の申請期限切れで、保険金が支給されないという結果になってしまいかねない。

 保険契約の詳細を把握していない契約者サイドにも全く責任がないとは言えないが、契約者自身が気付かない限り、保険金は支払わなくてもよいなどという言い訳が通用するとても思えない。よく詐欺事件で、小さな文字で重要な契約内容が書かれている契約書などが問題になることがあるが、ある意味あれとよく似ていると言えるかもしれない。「契約書を読んでいない者が悪い」などと言うのでは、詐欺とほとんど変わらない。

…と、ここまでは一般論だが、不払いの原因をもう少し突っ込んで考えると、保険会社の経済的事情と時代的背景を無視するわけにはいかないだろう。
 保険会社というものも他の業種と同じように需要と供給のバランスで成り立っている商売ではあるが、他の業種とは少し趣が異なる。製造業の場合は需要が増えて供給が追い付かないことは有り難いことになるが、保険会社の場合はこの逆で、供給以上に需要が増えると有難迷惑となる。
 保険会社は基本的に全ての保険契約者から入ってくるお金の総額以上の支払いはできない。保険金を受け取る人(需要)よりも、受け取っていない保険契約者(供給)が圧倒的に多くなければ成り立たない商売であることは誰にでも解る。長引く不況で保険契約者が減少する一方で、逆に高齢者がどんどん増加しているような社会では、保険会社は儲からない。儲からないがゆえに、余計な出費は極力避けたい。つまり保険会社の経費削減が形を変えて保険金不払いとなっているとも考えられる。しかしこの場合、経費削減ではなく、ただの契約違反であることは言うまでもない。

 現在の生命保険というものも、年金と同じ問題を抱えている。ある制約の上でしか成り立たない商売であるという点で。具体的に言えば、人口が増加していく(少なくとも減少しない)時代でしか通用しないルールの基でお金の運用を行っているという点では同じようなものだ。良く言えば自転車操業、悪く言えばねずみ講という点でも同じだと言える。
 保険会社も例に漏れず、社会的環境の変化によって、制度自体が破綻しかかっている業界であることは確かだろうと思う。
 よく言われることだが、統計的には1970年代から既に日本が少子高齢化社会を迎えることになるだろうことはほぼ判明していたらしい。その後、30年を経過してようやくその問題が様々なところで表面化してきたということかもしれない。生命保険会社もその1つだろう。
 以前、年金問題では、政治家の未納問題という小さな問題がクローズアップされて、本当に大きな問題が霞んでしまったことがあったが、生命保険問題も同じかもしれない。
 生命保険問題の核心も、“保険金の不払いがあった”ことではなく、“保険金制度が破綻している”ことだと考えた方が正解かもしれない。

|

« 選挙活動における理想と現実 | トップページ | 「交通安全週間」は「安全運転週間」? »

社会問題」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/199859/14716525

この記事へのトラックバック一覧です: 保険金の不払い問題の核心とは?:

» 生保不払い 支払い体制に構造的欠陥 不払い防止策導入へ [面白ニュース 主婦が感じたニュースの感想]
予想通り、今週の仕事は不払い問題から始まった。 朝からテレビでみのもんたが、不払いの事言ってたし。 私が勤めている生保の会社でも、朝から嫌なムード。 電話一発目から苦情の嵐でした。 [続きを読む]

受信: 2007年4月17日 (火) 22時54分

« 選挙活動における理想と現実 | トップページ | 「交通安全週間」は「安全運転週間」? »