« 5000万件という数字に隠されたメッセージ | トップページ | 公務員天国の終わり »

夢の保険会社、その名は『日本』

 コムスン事件で次のような問題が表面化している。

 「福祉施設は公営にすべきか民営にすべきか?」

 この2つの大きな違いは下記の通り。

  民営化=「利益追求」
  公営化=「利益無視」

 はたして、これはどちらが良いのだろうか?

 民営化すれば、利益というものを考えて経営しなければならなくなるので、運営上、問題が発生してくる可能性は否定できない。
 では、公営化すれば利益を考えなくてもいいので、なんの問題も起こらないのかというと、実際はそうではない。民営であれ公営であれ、どちらにせよ事業運営に維持費がかかることに違いはない。利益を無視できても、維持費まで無視するわけにはいかない。

 国が国民の面倒をみるべきだと言う公営化論者もいるが、国も無い袖は振れない。福祉に回す予算があって初めて福祉制度というものは成り立つものだが、予算が足りないなら、借金するか、税収を上げるしか方法がない。借金するといっても、日本の借金は既に1000兆円を超えている。これ以上、赤字財政を続けている余裕があるとはとても思えない。
 では税収を上げればいいのかといえば、ほとんどの国民は増税反対だ。税収を上げることを拒む反面、福祉を充実させよというのははっきりと言ってしまえば矛盾している。
 これは言い換えると、「国は借金してでも、国民の面倒をみろ」と言っているのと同じことになる。では誰から借金するのか? もちろん国民だ。それが何を意味しているのかは言うまでもないことだ。

 国が国民に最低限度の生活を保障すべきだとする意見は多い。しかし国がどこまで国民の生活を保障しなければならないのかということも併せて考える必要がある。
 例えば、生活保護などの福祉がそれに該当するが、その基準というものが極めて曖昧になっている。セーフティラインが必要だと言っても、そのセーフティラインをどこで線引きするのかという意見は人それぞれ違う。本当に生活できない人を対象に線引きするのか、それとも、生活はできるが法律で定めた条件を満たしている人に対して線引きするのかというような違いがある。

 そもそも「国は国民の面倒をみるものだ」という常識を一度、疑ってみる必要があるかもしれない。
 国が国民の面倒をみなければならない理由とは何だろうか?
 ある人はこう言うかもしれない、「国民として国に税金を納めているからだ」と。
 しかし、それが理由だと言うのなら、それは同時に、「税金を納めていない人は国に面倒をみてもらえない」ということも肯定していることになる。しかし実際はそうはなっていない。
 金額についてはどうだろうか?
 具体的に言えば、仮に100万円の税金を納めた人であっても、1億円の保障を受ける権利があるのなら、残りの9900万円はどこから出るのか? それも無条件に受け取る権利があると言うのならば、それは国の義務というより、国は保険会社ということになってしまう。しかもこの保険は、税金を納めていようが、納めていまいが関係なく、納めた金額の多寡にも関係がない。さらに病気や事故と違い、全国民対象の無制限給付保険となってしまう。そんな夢のような保険会社があるのなら、その保険会社の末路は決まったようなものだ。

 国は国民(の税金)に依存し、国民は国(の保障)に依存する。 問題の元凶はこの依存体質(悪く言えば、たかり体質)にある。この依存心を少しでも無くす方向に舵取りしないことには、日本という保険会社は早晩立ち行かなくなる危険性がある。

 結論として言えることは、福祉事業は今後もできる限り、民営で行うのが望ましい。コムスンがどうだから公営化するべきだというような単純な問題ではない。
 民営化すれば、様々な問題が発生するため、当然、リスクはついてまわることになる。しかし、この世の中にノーリスクなどというものは本来は有り得ない。社会保険庁の年金問題をみても分かるように国に任せることもノーリスクではない。どちらに任せてもリスクがあるのなら、責任を背負っている方に任せる方が安心というものだ。

|

« 5000万件という数字に隠されたメッセージ | トップページ | 公務員天国の終わり »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

じつに健全で常識的な考え方です。読んでいて、気持ちがすっきりしました。一流大学を出た、優秀(?)な官僚や政治家たちは、どうしてこのようなまともな考え方ができないのか不思議でなりません。

投稿: 野崎雄隆 | 2007年6月10日 (日) 19時16分

コメント、有難うございます。
ブログ開設以来、初めてのコメントに少し驚きました。
有名な方のようで恐縮ですが、今後とも宜しくお願い致します。

投稿: 管理人 | 2007年6月10日 (日) 23時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/199859/15381581

この記事へのトラックバック一覧です: 夢の保険会社、その名は『日本』:

« 5000万件という数字に隠されたメッセージ | トップページ | 公務員天国の終わり »