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一風変わった国民の義務

 国民の義務というものにはいろいろとある。
 『納税の義務』『勤労の義務』『教育を受けさせる義務』が国民の三大義務と言われているが、一風変わったものに、『NHK受信料を支払う義務(注1)』というものがある。
 これは誰もが知っている。しかし、誰もがその義務を果たしているわけではない。
 では義務を果たしていない人は法律を犯していることになるのかと言えば、これは実に難しい(?)問題だ。

 NHK側は、受信料を支払わない人を対象に、裁判沙汰にするというような脅し文句も使用しているようだが、それでも払わない人は払わない。なぜ払わないのかというと、その理由は様々だ。よく聞く理由を以下に列挙すると、

1、単にお金を払いたくない
2、視聴していない
3、NHKの思想信条が合わない(例えば、反日寄りの報道など)
4、徴収制度が時代遅れ(従量制にするべき)
5、番組がつまらない
6、NHKは不祥事を起こしている
7、NHK職員の年収が1000万円以上もあるのはおかしい

 これらの理由で考えると、多く人は「納得できない」というのがその答えとなっている。つまり、真面目に支払うことよりも、支払わない方にも意義があると思っているようだ。
 確かにこの考えには一理ある。実際にNHKの番組を必要としていない人がいるのは確かだし、それらの人達は本当にNHKの番組を視聴していない。視聴もしていないのに、なぜ受信料を支払わなければいけないのか?という疑問は至極当然の疑問だと言える。

 これらの意見に対するNHK側の回答は、「テレビを置いているから」「法律で定められているから」の二点張りらしいが、どうも説得力に欠ける。これでは、「車が走行していない時でも、赤信号を無視してはいけない」「あなたはその赤信号を無視したので罰金を支払わなければならない」と言っているのと同じようなもので、全く融通が利かない回答とも言える。さすがの警察もここまで言うことはないだろうが、NHKの職員はある意味、警察以上に融通が利かないと思われているのかもしれない。

 現代では、NHKの番組だけに依存しているような人は、残念ながらほとんどいない。民放でもニュース番組は放送されているし、インターネットでも即時、流れている。
 一方、有料の衛生放送などもいろいろと存在しているが、あくまでも視聴したいという視聴者の任意契約が前提となっている。NHKと同じ月額固定料金とはいえ、観たくない人まで強制的に視聴料を徴収したりはしていない。
 これはむしろ当然のことであって、需要と供給のバランスを無視したNHKのような料金取り立ては、悪く言えば、番組の押し売りだと言われても仕方がない面がある。
 例えば、置き薬に喩えてみればよく解るかもしれない。ただ置いているだけで、使用料を支払わなければならない置き薬というものがあれば、誰もそんな置き薬屋と契約などしないだろう。置き薬は使ってナンボだ。しかしNHKは観てナンボではなく、置いてナンボとなってしまっている。テレビ本体がNHKのレンタルというのならまだ理解できそうなものだが…。

 法律は正しいと言っても、法律が時代を超えて必ず正しいというわけではない。法律も時代環境とともに変化していくものだ。戦時中の常識が現代でも必ず常識になっているわけではないのと同様に、NHKの受信料を支払うという常識も、もはや常識では無くなっているとも考えられる。

 全国民から一律に受信料を徴収しなければならないのであれば、いっそのこと、税金にしてしまえばいいのではないか?とも考えられるが、これはできないらしい。
 なぜかと言えば、“万人が等しく視聴する権利がある福祉番組”というのがNHKの立場だということ。しかしこの論法でいくと、貧しい人間は視聴料を支払わなくてもいいという論理になってしまう。福祉番組であるなら、視聴していても視聴料を支払えないなら支払わなくてもいいということになってしまう。ゆえに、視聴料の支払いは“強制”ではなく“任意”という結論になってしまわざるを得ない。
 NHKはこの矛盾を直すことを考えた方がいいかもしれない。しかし、この矛盾を直そうとした場合、避けては通れないのがNHKの民営化だ。
 結局のところ、時代がそれを望んでいるのかもしれない。現在のNHKが意識しなければいけないものは、未納受信料の回収ではなく、テレビ局としての市場原理だろう。つまり、受信料を支払うことを義務化することではなく、放送会社としての義務を考えることだろう。言わば“NHKの義務”だ。その義務とは? 無論、他社と競争するという義務である。

(注1)NHK受信料の支払いは法律的に義務化されているわけではありません。世間一般では義務だと思われているという意味を込めて、『義務』という言葉を使用しています。

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コメント

[一風変わったものに、『NHK受信料を支払う義務』というものがある。]
とのことですが、【義務】ではありません。
「放送法」には「受信料を払え」とは書いてありません。 「NHKとその放送の受信について契約しろ」と書いてあるだけです。
NHKが勝手に「受信規約」なるものを作って、総務省の認可を得ただけです。
「受信規約の中の、カラー契約だとか、衛星契約だとかのように、【NHKの放送を受信しない】というメニュー」を作ればよいのです。
別の言い方をすれば、【スクランブル化して、受信料を払わないと見せない】といえばよいのです。
繰り返しますが、【支払い義務】は有りません。 だから、今の国会でも放送法を改定して『義務化』しようとしたのです。 これまでにも、【義務化法案】が2回提出され、2回とも否決されています。

投稿: 義務ではない人 | 2007年6月26日 (火) 14時12分

コメント(ご指摘)、有難うございました。
言葉足らずが誤解を生んでしまったようですので、少し内容を訂正させてもらいました。

投稿: 管理人 | 2007年6月26日 (火) 19時50分

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