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公務員天国の終わり

 社会保険庁では現在、宙に浮いた5000万件以上のデータ照合を行うために、派遣会社から人材を集めている。
 確かに社会保険庁職員だけでは、人数が足りないことは明白なので派遣会社に頼るのも無理はない…と言いたいところだが、これはハッキリ言えば掟破りの対処法と言える。
 社会保険庁の役員はテレビのインタビューでこう応えていた。

 「所定の人員だけでは手が一杯なので、派遣の臨時職員を募集して対処していきます」

 何も考えずに聞いていると、自信に満ちた意見に聞こえるのかもしれないが、よく考えるとこの意見は少し可笑しい。通常であれば「ちょっと待った!」という反論があって然るべきところだ。
 この役員の意見を正確に言い換えると次のようになる。

 「所定の人員だけでは手が一杯なので、国民の税金で派遣の臨時職員を雇い、対処していきます」

 派遣人員を雇うのは構わないが、その人件費は誰が支払うのか?という部分がすっぽりと抜け落ちており、一番重要なところを言及していない。つまり、ミスを犯した組織の自己責任論が全く入っていないのだ。
 地震などの災害で偶発的にデータが失われたというのなら、そこに国民の税金を投入して解決するのは止むを得ないだろうが、今回のミスは明らかな人為的ミスであり、必然的に発生したミスだ。今まで隠していたことも考慮すれば、ミスと言うよりも悪質な不正事件とも言える。
 どんなミスや不正を行っても、自分達の腹は痛まず、全て国民の税金でなんとかなるのなら、そこには何の責任も伴っていないことになる。そんな無責任な組織が今後も年金保険料の管理を行っていけるのかどうかは疑わしい限りだ。

 また、覚書なるものが存在しているらしく、その覚書にはこんなことが書いてあるらしい。

 『コンピュータ導入における1日のキータッチは平均5000文字以内』

 これはもう冗談にもならない。常識の範疇を超えている。
 5000文字以上と言うのならまだしも、5000文字以内にしなければならない理由とは何なのか? 通常、民間企業では仕事のノルマというものが存在するが、社会保険庁の場合、ノルマではなく逆ノルマになってしまっている。
 『仕事はこれ以上しなければならない』ではなく、『仕事をこれ以上してはいけない』という民間企業とは逆さまの論理が罷り通っていたことになる。
 民間企業のキーパンチャーが文字入力を行った場合、5000文字程度なら早い人なら数分、遅くてもせいぜい30分もあれば充分だろう。5000文字を入力して1日の仕事が終わるのなら、これほど楽な仕事はない。と言うよりも、こんなのは仕事とは言えない。民間企業で1日5000文字しか文字入力できないのなら、仕事にならない。当然、給料も支払えないので、即日クビだろう。それ以前に、面接で「1日5000文字しか入力できません」と言った時点で採用されることはないだろう。

 この他にも『1時間のうち、15分間は休憩を取らなければいけない』とか、『有給休暇は必ず取得しなければならない』とか、公務員の世界では民間企業では有り得ない時代遅れな暢気な制度が未だに延々と続けられているようだ。しかもこれに加えて普通の民間企業よりも高給というのだから、悪い冗談のようだ。真面目に働いているサラリーマンが浮かばれないのも無理はない。
 1日5000文字しか文字入力できないのなら、月給はせいぜい1〜2万円も出ればいいところだろう。しかし実際はこの数十倍の給料が支給されているのだから、「税金泥棒」というそしりは免れないだろう。

 公務員天国とはよく言ったものだが、今回の社会保険庁問題では、多くの人が、その意味をよく理解したかもしれない。公務員天国というものが誰の迷惑にもならずに機能しているのなら悪いとは言わないが、その天国が、サラリーマン地獄の上に成り立っているのなら、そんなエセ天国が永遠に続くことはないだろう。

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» 残業代(社会保険庁職員の焼け太り) [JJ雑記]
社会保険庁の年金問題では、職員が残業や休日勤務を行っていますが、これを1年間やっ [続きを読む]

受信: 2007年6月17日 (日) 16時34分

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