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日本の年功序列制度の問題点

 今となっては、日本企業の年功序列制度や終身雇用制度は完全に崩壊したと言っても過言ではないが、かつて(バブルが崩壊する以前)は、当然のこととして受け入れられていた。一度、会社に入社すると、定年を迎えるまで、給料が段階的に右肩上がりに上昇するという常識が何の疑いも持たれることなく罷り通っていた。
 さて、ここで年功序列制度というものを少し考えてみよう。
 「年功序列」という言葉をそのままストレートに考えれば、“年々、年齢とともに一定の割合で給料が上がっていく”ということを意味しているのだろうが、より詳しく考えると次の2種類のケースが考えられる。

 A、勤続年数とともに仕事が上達するので、その分の給料が上がっていく。
 B、仕事の質にも量にも関係なく、年齢を重ねるだけで給料が上がっていく。

 上記のAであるなら、年功序列制度というものもある程度(ある一定年齢まで)は合理的な制度ということができる。こういう制度であるなら年功序列制度もそれほど悪くないかもしれない。
 しかし、Bの場合は、仕事の出来、不出来に関係なく、無条件に給料が上がっていくことになるので、極めて不合理(=不条理)な制度と言える。
 それでは、かつての日本企業はAとBのどちらが支配的だったのかというと、残念ながらBだろう。
 しかしBは、言葉通りの単なる年功序列制度とは言えない。“年齢が上がるたびに給料が上がる”だけでなく、“仕事の量は逆に減少したとしても問題なし”という見えない制度が暗黙の内に付加されていることになる。極言するなら、“仕事をしなくても給料が出る”制度だと言うこともできる。
 つまり、日本企業の年功序列制度というものは、年功序列に年功搾取という制度がくっついているという極めて御都合主義的な制度(=年功搾取制度)だったのである。無論、仕事をしない人には都合が良いという意味である。

 特に人口が増加していた時代は、同時に経済成長時代だったということも手伝い、定年を迎える人以上に数多くの新入社員が入ってくるような時代だったので、この年功序列制度はまさしく、ねずみ講の如く威力を発揮した。とにかく若い者に仕事を任せておいて、年功者はろくに仕事もせずに高給という現代(の中小企業)ではおよそ想像もつかないようなデタラメが通用した時代だった。それはまるで、年功者=全員公務員とも呼べるような平和な時代だったと言えるかもしれない。

 ところがバブルが崩壊して一転、坂道を転げ落ちるかのように、日本企業の年功序列制度が瓦解した。これは偶然がもたらした出来事というよりは、むしろ歴史の必然であったとも言える。
 しかし、よく「日本的経営」という言葉を持ち出して、かつての日本企業の年功序列制度を絶賛し、隙あらば、回復させようとする動きがある。彼らはこう言う。「日本独特の日本的経営を維持していくことは、グローバル化した現代にこそ必要だ」と。
 彼らの意見は、一見まともそうに聞こえるのだが、彼らの言う日本的経営とは戦中戦後からのごく短期間の出来事をとらえているだけに過ぎない。まあ確かに、“のんびりと仕事ができる生活”というのも悪いものではないだろうし、全員がのんびりと仕事してやっていけるなら大いに結構だ。しかし、それには条件がいる。その条件とは、『その状態を続けても世界経済の中を生きていける』という条件だ。それが可能だと言うのであれば、鎖国でもして日本的経営で暮らしていけばよいかもしれない。しかし現実的には、そんなことは不可能だ。日本的経営がいくら良いといっても、それを続けていくことは、現実をより悪化させることに繋がってしまう。ゆえに、続けるわけにはいかないのである。

 お断りしておくが、私は年功序列制度や日本的経営を否定しているのではない。働かずして給料が出る制度を否定しているだけだ。本来、実体経済下では、給料やボーナスというものは利益を出して初めて得ることができるものだと言っているに過ぎない。(マネー経済下ではこの限りではない)
 今後、個人が仕事をしていく上では合理化というものは無視できないと言っているだけであり、日本的な経営自体を否定しているわけではない。
 そもそも、日本的経営というものは何も年功序列制度だけにこだわる必要性はない。そして、過去の経営方法にもこだわる必要性もない。年功序列制度や終身雇用制度だけにとらわれない世界に誇れるような本当の日本的経営を今後、新しく創っていけばいいのである。具体的な案は今後、考えていくことにしょう。

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