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金属疲労したジャパンシステム

 最近よく耳にする言葉に「金属疲労」という言葉がある。
 少し前にも、遊園地で発生したジェットコースター事故の原因が金属疲労だったということで、ニュースになって騒がれたりしていた。
 これとは別に、制度的、またはシステム的な金属疲労というものも日本には数多く存在している。日本の政治制度、司法制度、官僚制度、教育制度、年金制度、医療制度、保険制度、などなど、数え上げるとキリがないほどに、現代の日本が抱える制度的な金属疲労は数多い。
 物理的な金属疲労というものは、主として経年劣化が原因であるが、制度的な金属疲労には経年劣化以外にもう1つの大きな原因が存在する。それは、“時代の変化”である。全く時代が変わってしまったにも関わらず、システム自体がほとんど変化していないがために発生する金属疲労問題が、日本の将来に暗い影を落としている。

 ちょうど、コンピューターシステムに置き換えて考えると解りやすいかもしれない。
 Windowsのシステムを例に考えてみよう。
 Windowsシステムは変化(=バージョンアップ)する度に、ハードとしてのパソコンもガラッとモデルチェンジする。裏を返せば、ハード的なパソコンの性能が向上すれば、おのずとシステム自体も強化改善されるようになっている。
 このWindowsシステムを“日本というシステム(=ジャパンシステム)”に置き換え、パソコンの進歩を“時代の進歩”に置き換えてみると、現代の日本がどんな状態にあるかがよく解る。
 それはまるで、最新のスペックを搭載したマシンに、初期のWindows3.1をインストールしているようなものかもしれない。(Windows3.1はGUI【グラフィカル・ユーザー・インターフェイス】も開発途上のシステムだったことに注目)
 この場合、どんな不都合が出てくるかは、容易に想像ができる。限りなく不安定なパソコンになることは想像に難くない。旧システムでは最新のマシン機能をフルに使いこなすことができないことは明白だ。一言で言えば、それは「ミスマッチ」以外のなにものでもない。
 ところが、ジャパンシステムは、一向にバージョンアップしようとしないかに見える。より具体的に言えば、メジャーバージョンアップ(WindowsXPがWindowsVistaに変わるようなもの)ではなしに、マイナーバージョンアップ(Windows3.0がWindows3.1に変わるようなもの)ばかり行っているかに見える。最新のマシンに対して、旧システムのマイナーバージョンアップなどを何回行ってもほとんど意味がないことは誰でも解ると思う。

 例えば、社会保険庁というシステムでは、現代のハードに対応できないということが判っても、もう1度、社会保険庁システムをマイナーバージョンアップしてインストールするかしないかというような議論だけが交わされている。
 社会保険庁システムもメジャーバージョンアップしないことには、最新のマシンに対応できないことは、よく考えれば解りそうなものだ。
 では社会保険庁を民営化することはメジャーバージョンアップと言えるだろうか? 社会保険庁の民営化は、メジャーバージョンアップには違いないが、最新のシステムとは言い難い。残念ながらWindows95で最新のマシンを動かすようなものなので根本的な解決には程遠い。(比較的オープンなシステムになるという意味でWindows95)

 とにかく、時代がいくら進歩・変化しても、システム自体がそんな状態なので、パソコンを操作しようにも不安定でぎこちない。システムが時代に追い付いて行けずに、固まって(フリーズして)ばかりに見える。

 さて、ハングアップしたパソコンを直す手段は?と聞かれるとあなたはどう答えるだろうか? 100人が100人ともこう答えるはずだ。「リセット(再起動)する」と。
 ところが、ジャパンシステムには制度上、リセットするという機能が付いていない。そのため、ハングアップしかけた不安定なパソコンを騙し騙し使用している。当然、動きは緩慢であり、いつ故障するか分からないという危険性を秘めている。

 現代の日本社会とは、実はそんな状態に近いのかもしれない。そのため識者達はこう叫んできた。「手遅れにならない内にリセットボタンを押せ!」と。
 しかし、もし仮にリセットボタンを押すことができたとしても、システムが更新されないままではあまり意味がない。現代の識者達が提言すべきことは、パソコンと同様、「HDのイニシャライズ」と「最新のシステムのインストール」である。
 HDのイニシャライズとは『時代に適合した新たな教育制度の構築』を意味し、最新のシステムのインストールとは『時代に適合した価値観の受け入れ』を意味する。厳しいようだが、ジャパンシステムの復活には、それが一番の近道かもしれない。

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