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『内部告発』というシンクロニシティ

 不二家〜石屋製菓〜赤福と、賞味期限を偽った食品加工会社の不祥事が続いている。
 それぞれ、ペコちゃんキャンディー、白い恋人、赤福餅と、日本の食文化が生んだとも言えるような有名な和洋菓子の改竄事件だけに大きな話題を呼んだ。
 しかし、これらの事件には興味深い2つの共通点がある。
 1つは、『被害者はいなかった』ということ。もちろん、賞味期限を偽った商品を買わされたとする金銭的被害と精神的被害は存在するが、その商品を食べたことによって齎された被害は無かった。
 そして、もう1つの共通点は、すべての偽装は内部告発によって発覚したというものだ。(食中毒が出たわけではないので、これは当然のことではあるのだが)

 最近の赤福を例にとると、賞味期限の改竄と言っても、大きく分けると2種類の改竄があった。1つは、単に賞味期限表示を偽ったというもので、もう1つが、冷凍することによって、商品自体の賞味期限を延ばしていたというものだ。
 前者の場合、賞味期限表示を実際よりも故意に引き延ばしていたわけだが、賞味期限を延ばしていても、商品が腐っていたわけではなかった。つまり、わざわざそんな姑息なことをせずとも、赤福餅はもう少し賞味期限を延ばしても問題はないということにすれば、事件にはならなかったとも言える。
 本来、3日間とされていた賞味期限を5日なり7日なりに変更しても商品が腐っていないのであれば、大勢には影響がなかったかもしれない。要するに、昔から3日間だと限定されていたものにこだわり過ぎたのが仇となってしまったと言えなくもない。
 後者の場合も、冷凍していることを隠さずに、冷凍の赤福餅ということにして少し安価で販売していれば、なんの問題もなかったかもしれない。なぜなら、皮肉にも消費者の誰一人として冷凍の赤福餅であることが分からなかったのだから。(つまり、食した味はほとんど変わらなかったことを意味する)
 この場合も、昔からの決まり事を守り過ぎたことが仇になったと言えるかもしれない。老舗である赤福が設立された江戸時代には当然、冷凍技術などというものは存在しなかったのだから、冷凍の赤福餅など販売しているはずがない。だからと言って、伝統を守るために冷凍技術の発達した現代にあって、冷凍処理した赤福餅を販売してはならないということにはならないはずだ。
 赤福の伝統を守るために行っていたことが、結果的に赤福の伝統を破壊することになってしまったというのであれば、本末転倒もいいところだ。

 こういった食品加工会社の不正事件が内部告発によってしか明らかにならないという背景には、その食品加工会社自体が極めてクローズドな社風であることを物語っている。数年、数十年間も不正がバレずに済んでいたということは、その会社内で働く会社員自身が、会社と一蓮托生だったからと言えなくもない。不当解雇もリストラもなかった昔ながらの終身雇用制度が根付いた会社では、会社員は全員、運命をともにする家族のようなものであったので、不正や改竄があっても誰も告発するようなことはしなかった。しかし幸か不幸か、そういう昔ながらのムラ社会が崩壊したがために、続々と内部告発者が出現してきたのかもしれない。まるで、心理学で言うところのシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)現象のように。そのシンクロニシティ現象が、クローズドな社会から開かれた社会に変化する過程において現れる浄化現象であるのなら、今後も同じような内部告発が続くかもしれない。
 しかし、実質的に被害者のいないこれらの食品加工会社よりも、むしろ、本当に被害者が出ている役所(薬害肝炎問題の厚生労働省など)の内部告発を期待したいところだ。閉鎖的過ぎる役所にこそシンクロニシティ(浄化現象)は必要かもしれない。

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