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参議院選挙は『肉を切らせて骨を断つ作戦』?

 少し前に、今年(2007年)を象徴する文字は『偽』ということに決まったらしいが、なるほどと頷かせるものがある。今年は食品を中心とした偽装問題が大きくクローズアップされた年であったことを否定する人間は誰もいないだろう。
 幸いなことに食品偽装における被害者というものは出ていないが、その影に隠れてしまっている社会保険庁の年金問題と厚生労働省の薬害肝炎問題では、多くの国民が被害もしくは迷惑を被った。そういう意味では、『偽』の主役は民間の食品関連会社というよりも、役人達だったと言えるかもしれない。

 さて、その『偽』の主役であった社会保険庁の年金問題であるが、先日、面白い仮説を読んだ。国際問題アナリストの藤井厳喜氏の著書に次のようなことが書かれている。(以下は原文ではありません)

 安倍内閣は公務員改革に力を入れていたが、年金問題が発覚したために、非難の鉾先が自民党(安倍内閣)に向かい、公務員改革を断念せざるを得なくなった。その非難のために、自民党に向かうはずだった票が民主党に流れ、民主党が選挙に勝利するという結果を齎した。
 しかし、当の民主党こそが、社会保険庁と関係の深い官公労(日本官公庁労働組合協議会)の支持政党だった。
 つまり、先の選挙は、公務員制度を改革される前に、先に年金問題を民主党にリークし、自民党バッシングを煽るという『肉を切らせて骨を断つ作戦』だったというものだ。国民達は、年金問題の解決を願っていた(=公務員改革を望んでいた)にも関わらず、結果として社会保険庁寄りの民主党に投票してしまったという皮肉を述べている。

 上記はあくまでも仮説の域を出ないが、考えられないことではないだけに、妙に説得力があるように思われる。「事件の裏には事件があると疑え」とはよく言ったものだ。しかし、もしこれが真実であるなら、官僚達の狡賢さには呆れるほかない。

 さらに、藤井氏はこう言っている。「年金制度とは、徴収された掛け金を国民に支給するのではなく、最初から別の目的に使うために作られた制度だった」と。

 ここまで言ってしまうと身も蓋もないが、現状の年金制度をこのままの形で維持し続けると、近い将来、本当にそう思われても仕方がないという状況を迎えることになるかもしれない。
 僅か1年間で「5000万件の年金不明問題を解決する」という出来もしない不可能な公約を軽はずみに行った安倍総理にも責任があるが、それ以前に、年金制度というものを深く考えようとしない国民サイドにも責任がある。何も自分の頭で考えようとしない他人(この場合は役人)任せの依存体質こそが、年金問題で明らかになった本当の問題点とも言える。

 元々、政府としては、年金制度は破棄したいというのが本音だろうと思う。しかし今更、年金制度を御和算すると、今まで社会保険料を納付した人達に積立てた社会保険料(実際は積立ではないが)を返却しなければならない。しかしその原資がない。
ゆえに、ズルズルと赤字企業の自転車操業よろしく、年金制度を続けていかざるを得ない。
…となると、年金問題(広義の年金支給問題)を解決する手段はもはや無いと言っても過言ではないかもしれない。年金資金を運用するという手段は残されてはいるが、現在のゼロ金利のような状態では国内では運用すらままならない。お国柄、年金資金を海外で運用するようなリスクを冒すとはとても思えない。

 いずれにしても、今のままで適当に過ごしていれば年金生活が待っているという甘い考えは今後、捨てざるを得なくなるだろう。近い将来、元々、年金制度というもの自体が幻想だったと言われる日が来るのかもしれない。逆に、いつまでも年金生活はできると思い込んだままであれば、更に厳しい現実を迎えることになる可能性も否定できない。
 年金制度が破綻するしないに関わらず、年金生活ができるという常識を自ら損切りできる勇気を持つことは決して無駄にはならないはずだ。


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