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『ホームレス中学生』と『清貧の美学』

 昨晩、久しぶりにテレビドラマを観てみた。題名は『ホームレス中学生』。
 私も以前、『ホームレス中学生』の単行本は購入してはいたのだが、なかなか読む機会がなかった(他に読む本が山積み状態なので)ため、長い間、放置(「積ん読」とも言う)したままになっていた。それで結局、テレビドラマが先行することになってしまったわけだが、テレビドラマの感想を述べると、なかなかよくできたドラマだった。実話を元にしているせいもあるのだろうが、感情移入することができる爽やかなドラマだったと思う。今時(少子化社会)では珍しい兄弟愛をテーマにしているところも返って新鮮な感じがした。

 ここまでは、ごく一般的な感想で、ネットにおける言論を見ても、「感動した」「泣けた」という感想がほとんどだ。しかし、1つだけ気になったことがあった。それはラストのオチである。
 
 ラストまで爽やかな雰囲気のまま、精神が昇華する方向にドラマを締めてくれれば何も気にならなかったのだろうと思うが、最後の最後で、『清貧の美学』のようなものが前面に出ていることに妙な違和感を覚えた。気のせい(考え過ぎ)かもしれないが、なにやら、《清く貧しく生活することは素晴らしい》という隠されたメッセージらしきものが伝わってきた気がした。
 なぜ、そのように思われたのかというと、単行本を購入した時に少し気になったことがあったからかもしれない。それは何かというと、本の帯に某政治家が推薦していると書かれてあったからである。
 別に感動的な話を政治家が推薦したとしても一向に構わないのだが、政治家が矢面に立って推薦などをすると、変な誤解を招きかねないと思う。人間ドラマを推薦することは一向に構わないのだが、もし、『清貧の美学』なるものを推薦されているのであれば、少々問題であると思われるからだ。

 この本が大ベストセラーになったことは周知の通りで、麒麟の田村氏には作家としての印税が入り、中学生時代では考えられなかったような成功者になったと言える。これは微笑ましいことだ。その成功は幼少時における苦労の賜物と言えるかもしれない。「若いうちの苦労は買ってでもしろ」という有名な言葉もあるので、若いうちの苦労は報われるという意味で推薦しているなら別に構わない。しかし、このような極貧生活を経験することは素晴らしいという方向で話が進むと少し厄介なことになる。多くの国民が、「あんな苦労している人がいるのだから、私達も税金が上がった程度で文句を言ってはいけない、物価が少々値上がりした程度で文句を言ってはいけない、住む家があるだけまだましだ、食べるものがあるだけまだましだ」というような清貧の美学にとらわれてしまうと、国自体が貧しくなってしまうという危険性があるからだ。それは一言で言えば、「貧しさの平等」思想とも言える。
 「「貧しさの平等思想」がなぜいけないのか?」と言う意見もあるかもしれない。しかし「貧しさの平等」思想が広まっても、決して世の中は良くならないという意味では、「いけない」のである。
 
 この『ホームレス中学生』は映画化までされるそうだ。実際、テレビドラマが映画化されることや、映画がテレビドラマ化されることは、よくあることだが、この作品の場合は少々、趣きが異なる。実話のため、ストーリーが全く同じだということだ。
 テレビドラマで放送したものよりは、製作費を多くかけるのだろうが、キャストが変化したとしても、ストーリー的には昨晩観たものとほとんど同じものだろう。それを敢えて映画化するというのは、いかがなものかと思う。映画が先で、テレビドラマが後ならまだ理解できる(連続ドラマであれば、ストーリーを細かく分けることができるため)のだが、間髪入れずに映画化する意図がよく解らない。そこまでして、この物語を日本中に広めたいのだろうか?という感じも受けてしまう。
 確かに『ホームレス中学生』を観るために、多くの人が映画館に足を運ぶことになれば、景気刺激策になるかもしれないというプラスの面はあるが、逆に『ホームレス中学生』を観ることによって、その後、節約生活に励み、お金を使わなくなる方向に進んでしまうと、更に景気が悪くなるという可能性も否定できない。
 苦労話や成功話を世に広めることは一向に構わないが、苦労話や成功話を利用して国民を統制しようなどということは間違っても考えてもらいたくないものだ。まさかと思うが、そんな思惑が働いていないことを願う。
 
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