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タバコ税収試算の行方(税収増 VS 税収減)

2008092201_4  先日、厚生労働省は、タバコが1箱1000円になった場合、9年間で9兆円の税収増が見込めるとの新たな試算を公表した。これに対して、京都大学の教授は逆に1.9兆円の減収が見込まれると発表した。厚生労働省の担当者はこの教授の意見に対して、「減収は有り得ない」と反論しているそうだ。

 厚生労働省側の試算と京大教授の試算のどちらが正しいか? ハッキリと言ってしまえば、どちらも正しいとは言えない。なぜ? 細かい数字まで出しているという点で。
 タバコが1箱1000円になった場合、数千万人の喫煙者が一人一人どのような行動に出るかなどは、おそらく人間に分かるはずがないからだ。せいぜい、増収になるか減収になるかを予想するのが関の山で、細かい数値などは分かるはずがないからだ。

 では、増収になるか減収になるかだが、これはタバコの値段にもよるだろうが、1000円ということであれば、おそらく税収はそのままか、減収に転ぶことになると思う。そういう意味では、京大教授の試算の方が正しいとは思う。

 以前にも当ブログで少し指摘したことがあるが、厚生労働省側の試算には、喫煙者と禁煙者という大きな2つの分類しか入っていないと思われる。喫煙者にもいろんな喫煙者がおり、タバコが値上がりして取る行動も人によっては様々だという細かい試算が入っていないのではないか?と思われる。細かい現象を計算に入れずに、細かい数値が出てくるのだから、どういう計算をしているのか一度お聞きしたいものだ。

 タバコが値上がりして喫煙者が取る行動には、大きく分けると次の3通りがある。

 A、タバコを止める
 B、タバコを吸う本数を減らす
 C、同じようにタバコを吸い続ける

 もちろん、これ以外にも、一度、禁煙しても再度吸い始める人もいるだろうし、人によっては様々だ。ここで一番、注視しなければならないのは、Bの吸う本数の問題だ。おそらく厚生労働省の試算にはこのBの部分が抜け落ちているか、抜け落ちていないにしても、それほど重要視していないのだろうと思われる。

 タバコが値上がりしたとしても、その分、吸う本数を減らすことができれば、タバコ代は維持することができる。1箱300円で1日30本吸っていた人であれば、1000円に値上がりしたとしても、1日に吸う本数を10本程度にすればタバコ代は変わらない。禁煙することはできないという重度のニコチン中毒者でない限り、1日に吸う本数を減らすことならできるかもしれない。そういう人から得られる税収は、全く変わらない。3分の1まで減らすことができない人がいたとしても、それほど税収が伸びるとは思えない。

 タバコの値段が3倍になった場合、単純に税収もそのまま3倍になるという条件で考えた場合、Aの場合は税収は0になる。Bの場合は、上で述べた通り、本数を減らすことができれば税収はそのままか少しだけ伸びる程度。AとBだけで考えれば、減収になる可能性の方が高いかもしれない。つまり、大幅な税収増が見込める可能性は、Cに係っていることになる。

 Cが何人になるのかは判らないので、パーセンテージで考えてみよう。
 仮にAが20%、Bが30%だった場合、Cは50%ということになる。

 分かり易くするために、100人という数字で考えてみよう。現在の喫煙者が100人いるとして、1人が1円の税金を支払って税収が100円になっていると考えてみよう。
 その場合、Aが税収0、Bが税収プラスマイナス0なので30円、Cは50人×3円で150円税金を納めることになるので、税収は合計180円となる。この数値なら、税収増になる。しかしCが50%というのは、極めてあまい試算だ。

 数値を変更してみよう。大体予想されうる数値を列記してみると、

 A(30%)+B(30%)+C(40%)=150円
 A(30%)+B(40%)+C(30%)=130円
 A(40%)+B(40%)+C(20%)=100円
 A(40%)+B(50%)+C(10%)=80円

 この数値から言えることは、Cのパーセンテージは少なくとも20%以上なければ、税収は維持できないということだ。具体的に言えば、喫煙者の5人に1人が同じペースでタバコを吸い続けなければならない。
 タバコが1000円に値上がりして、喫煙者の5人に1人が本数を落とさずにそのまま吸い続けるという試算には、少々無理があるのではないかというのが率直な感想だ。況して、大幅な税収増となると、かなり厳しいということがお分かりいただけると思う。

 しかし、厚生労働省と京大教授との間には、差し引き10兆円の差があるのだから、摩訶不思議と言うしかない。一体、どんな試算をすれば、こうも差が開くのか詳細をお聞きしたいものだ。

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