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『文民統制』よりも危険な『情報統制』

2008111601 田母神論文問題がテレビ番組(サンデープロジェクト)で取り上げられたので、観てみた。他のテレビ番組では、とにかく「軍部の独走は危険だ」とか「日本のシビリアンコントロールは大丈夫か?」というような一方的な批判ばかりなので首を傾げていたのだが、ようやくマトモな意見も聞くことができたという感想を持った。
 しかし、田母神論文に肯定的な2名(志方俊之氏と潮 匡人氏)と軍事ジャーナリストの田岡俊次氏の態度が実に対照的だった。志方氏と潮氏は冷静に意見を述べているように見えたが、田岡氏の感情剥き出しの態度はお世辞にも良いとは言えず、視聴者に対してマイナスイメージを与えてしまっているように見受けられた。

 司会の田原氏いわく「ネットの世界では田母神氏は英雄扱いになっている」と言っていた。実際にネットのアンケート調査では、田母神論文は問題無しという意見が6割を占めているそうなので、民意としては「田母神氏の意見に賛成」ということなのだろう。
 田母神氏の論文が歴史認識的に正しいか間違っているかは置いておくとして、田母神氏がマスコミに対して述べていることは確かに正論であるし、筋が通っている。
 
 シビリアンコントロールというのは、『文民統制』という意味で、“国民が軍部の独走を防ぐことができる”ことを意味している。マスコミは今回の事件で、それができていないと言いたいらしいが、全く馬鹿げている。
 大体、田母神氏は「戦争を起こせ!」と言っているわけではない。単に日本の歴史認識が誤っているという意見を論文を通して述べているだけだ。仮にその論文が正しいものだったとしても戦争の肯定にはならないし、戦争に発展するわけでもない。逆に論文の内容が間違っているのであれば、どこがどう間違っているのかを指摘すればいいだけだろう。
 ならば、マスコミの仕事は、その論文の内容自体を精査し、意見を交わすことによって、歴史的な真実を追究することにこそあるはずだが、論文の内容にはほとんど触れず、形式的な無意味な批判ばかりを繰り返しているように見える。
 
 国民の大部分が「戦争責任がない」と思っている国で、「戦争責任がある」と言う人が出てくれば非難の的になるのは仕方がないかもしれないが、国民の大部分が「戦争責任がある」と思っている国で、「戦争責任がない」と言う人が出てきても非難の的となる。これはよく考えると実に可笑しな現象と言える。要するに、「自国が悪い」と言っているわけではなくて、「自国は悪くない」と褒めているわけだ。はたして、自国を褒められて、国民から非難の嵐が吹き荒れるような国が有るものなのだろうか?
 しかし、実はそんな国が存在している。どこに? ここに。この事件によって、日本が自虐国家であることだけは証明されてしまったとも言える。
 その自虐史観というものが、歴史の真実によって齎されたものなのか、それとも歴史の歪曲によって齎されたものであるのか、そのことを追究する姿勢が、現在の日本政府には無いように感じられる。まるで「日本が悪いということにしておけば問題はない」と言わんばかりに…。
 
 国会での田母神氏の証人喚問はテレビ中継されなかったが、これも国民の知る権利を無視した、およそ民主主義国家にあるまじき情報統制以外のなにものでもなかったと言える。文民統制だと騒いでいる政府やマスコミが、実は平然と情報統制を行っている。言わば、軍部の独走ではなく、国家の独走になってしまっている。そのことこそ、国民にとっては、はるかに危険なことでもある。

 本音を述べれば、田母神氏も中山氏同様、日本のタブーに触れてしまったということなのだろう。今まで、田母神氏のような意見や中山氏のような意見は、保守系の雑誌や書籍、あるいはネットの世界でしか目にすることはなかったが、なぜかテレビという大衆の目に触れる電波に乗り出してしまった。インターネットなき社会では、大衆の世論操作はいとも容易く行われたが、現代のような開かれた情報化社会では、世論操作などを行ってもすぐにバレてしまう。そして、この本音を述べる流れは止められそうもない。これらの事件は、もはや、閉ざされた社会を国民は欲していないということの証明であるのかもしれない。

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社会問題」カテゴリの記事

コメント

すばらしい意見をお聞きしありがとうございます。
政府、マスコミはまさに言論弾圧を叫んでいるように見えます。
私は中日新聞を読んでいますが新聞だけでは問題である言っているだけで内容が良く解りません。大学教授の意見も掲載していましたが問題でありとの見解ばかりで田母神論文のどこに問題があるのかわかりませんでした。
インターネットで読みはじめて内容の把握が出来ました。
私の知らないことも記載されておりその真実か間違いかを論議して欲しく思いました。
マスコミは論文を隠蔽しようと躍起ですね。

投稿: 井上 | 2008年11月17日 (月) 00時29分

全くの正論です。これまでの、論文に対する批判は全て情緒的な攻撃のみで、どの部分がどう間違っているのか論理的な指摘が皆無です。第一、村山談話なるものについても、過去のどの事柄がどう間違っていたのか、具体的な事象の特定はなされていないものですし、政府見解との整合性さえ検証しようがないのではないでしょうか。田母神氏は「日本はいい国だと言っていることに批判されるのはおかしい」とも言っていますが、それを危険な思想だと決め付けるマスコミの大合唱にはうんざりです。もうこの国を捨てるしかない、とさえ考えています。

投稿: 園山 | 2008年11月17日 (月) 12時22分

井上様

コメント、有り難うございます。

 どう贔屓目に見ても、現在の政治家やマスコミ人からは、“国を良くしよう”という気概が伝わってきません。伝わってくるのは、“現状維持”と“保身”のみです。
 逆に、田母神氏の場合は、“現状打破”と“捨て身”をイメージさせるところがあります。そういう意味で考えると、田母神氏の方がはるかにマトモに見えてしまうのはごく自然な成り行きなのかもしれません。
 日本では未だに、長いものに巻かれることなく自分の意見を押し通すことは「悪いことだ」とする風潮が蔓延っていますが、自分の信念を貫くことがいけないというのであれば、それはもはや民主主義国家ではなく、まさしく田母神氏の言った独裁国家の姿そのものです。

投稿: 管理人 | 2008年11月17日 (月) 21時36分

園山様

コメント、有り難うございます。

>もうこの国を捨てるしかない、とさえ考えています。

 それは穏やかではありませんが、自国から亡命したいというような感情を国民に想起させる時点で、「日本は北朝鮮と同じだ」という田母神氏の意見が思い出されますね。
 日本では、未だに冷戦が続いているかのようです。世界では西側諸国が勝利しましたが、日本では東側諸国が国を牛耳っているという感じがします。その窮屈感が国民の上に重く伸し掛かっているというのが現在の日本の姿なのかもしれません。

投稿: 管理人 | 2008年11月17日 (月) 21時38分

はじめまして
経済ニュースというえらそうな名前でいい加減なブログをはじめましたぶつぶつ親父と申します。
ブログ村ランキングから参りました。

田母神氏の発言に対してどうしてあれほどマスコミがいやがるのか不思議だったのですが、上の記事を読ませていただいて納得いたしました。

基本的には過去の軍国主義を批判するふりをして世論をマスコミ(およびそれとつながりの深い思想・政治団体)にとって都合が良いように教育する上で、きわめて困る意見だということですね。

本当に日本の未来を考えたときに、田母神氏の意見には傾聴すべきものがあるように思います。確かにあの立場での発表には問題があるとは思いますが、内容には何も問題がないと思います。

いや、ほんとに、わかりやすく書いていただいてありがとうございました。

投稿: ぶつぶつおやじ | 2008年11月22日 (土) 08時10分

ぶつぶつおやじ様

コメント、有り難うございます。

 今回の事件でマスコミは、国民に対してのシビリアンコントロール不安を煽っているように見えますが、“田母神氏が更迭された”という事実をもって、次のことが判明しました。即ち“日本のシビリアンコントロールは機能している”と。では何が問題なのかと言えば、結局のところ、インフォメーションコントロール不安を露見しているわけです。国民を情報統制できなくなる不安があるために、問題を「文民統制」に摺り替えて必死で騒いでいるとも考えられます。
 つまりこれは、国民が主役なのではなく、国家が主役になってしまっているということの証明であり、社会主義国家の姿が露呈してしまったわけです。この事件を観て得体の知れない違和感を覚えた人が多いと思いますが、その違和感の正体とは、“日本は民主主義国家ではない”というものなのだと思います。

投稿: 管理人 | 2008年11月22日 (土) 10時52分

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