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『内定取消』問題から見えた『失われた15年問題』

 つい最近まで、「バブル期を超える就職超売り手市場」だと騒がれていたかと思っていると、今度は一転、再度「就職氷河期」でもやってきたかのような騒ぎになっている。そのことを象徴するものが「内定取消」という言葉だ。新聞、テレビに所狭しと「内定取消」という言葉がこだましている。
 
 学生は大体、春から夏にかけて企業から「内定通知」というものをもらうことになっている。通常、学生の方から内定を辞退しない限り、半年後にはめでたく入社という運びになるのだが、その待機期間中に企業側から内定を取り消されると、就職活動の努力が水泡と化したような気分になってしまう。実際にそう感じている人も多いと思う。
 私も転職活動中、職に就いていない空白の期間を過ごしたことがあるので、内定を取り消された学生の気持ちはある程度は理解できるし、同情も禁じ得ない。しかし、このところの「内定取消は絶対悪だ!」「内定を取り消した企業を公表しろ!」とかいうマスコミの論調には辟易としている。
 
 「企業=悪」という発想しかできない政党も相変わらず、愚にもつかない批判を行っているようだ。民主党の菅氏に至っては、「企業が内定取消をできないような法整備が必要」との見解を示しているようだが、これには呆れてものも言えない。こんな馬鹿な意見が政治家から出てくるのだから、まるで『政治ごっこ』の世界だ。
 企業が内定を取り消さなければいけなくなった原因は不況にあり、その不況原因の半分以上は、実は役人の無意味な規制強化によるところが大きい。このことからも、政治家が糾弾すべきは企業(結果)ではなく、官僚(原因)の方だと言えるが、完全に原因と結果を履き違えてしまっている。

 そもそも、企業自体も自社のイメージダウンにしかならない「内定取消」などは本来行いたくないはずだ。それでも「内定取消」を実行せざるを得ない状況に追い込まれていると考えるべきだ。
 そんな経営状態の企業に余剰人員として無理に入社させてもらっても、給料カット、ボーナスカット、おまけに仕事も無いという三重苦を経験することになるのは目に見えている。最悪、入社した途端に解雇や倒産すら有り得るかもしれない。その場合のショック(または被害)は、内定取消以上に大きなものになるかもしれない。
 
 企業が内定を取消できないような法律ができてしまうと、企業はおいそれと学生に内定通知などを出すことができなくなる。いや、むしろ、内定という制度自体が無くなってしまう可能性がある。企業は、仕事の有る時にだけ採用するいう手段を選択せざるを得なくなるだろう。それこそ、学生達にとっては悪夢のような社会かもしれない。要するにそれは、仕事の有る時にだけ採用し、仕事の無い時には誰も採用しないという、まさに派遣社員の採用制度と同じものになってしまうということだ。政府は、一方では「派遣社員を正社員に」と述べておきながら、一方では、派遣社員制度を拡張していることになる。その馬鹿さ加減に気が付くべきだろう。
 
 余計なお世話(アドバイス)かもしれないが、長い眼で考えると、「あの時、内定取消になって良かった」と思える人も実際に出てくるはずだ。「人生万事塞翁が馬」という諺もある通り、何が幸いするか分からないのが人生だ。
 大体、これからの時代は、どんな優良な企業であっても、一生安泰などということは有り得ない。国や企業が自分の人生の面倒をみてくれるような有り難い時代は既に終わったと考えた方が人生にとってはプラスだと思う。内定取消程度で、大騒ぎしていられるのも今のうちだけかもしれない。上記の理由(政府の馬鹿さ加減)によって、そうなる可能性が高いと考えた方がよいかもしれない。
 
 どうやら現在の政治家達の頭の中はバブル期のまま停止しているようだ。一昔前の“企業に入社すれば人生安泰”というような時代認識を持っていなければ、こんな馬鹿な意見が出てくるはずがない。『失われた15年』とはまさに、政治家達の頭の中が15年間思考停止していたことの証明であるのかもしれない。

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コメント

こんにちは。
ニュースを見るたびに、眉間のシワが増えそうですね。
一体あの方たちは、雇用の現状、企業の現状をどれくらい把握しているのでしょうか。
ため息しかでませんね。

投稿: オツカレ | 2008年12月 8日 (月) 10時09分

オツカレ様

コメント、有り難うございます。

 政治家は全員、民間企業のサラリーマンを5〜10年間位は経験するべきだと思います。そうでもしないと、まともな労働感覚も金銭感覚も身に付かないのではないかと思います。
 「生きた現場を知らない人間に、まともな政治などできるわけがない」と言う政治家が出てこないことも不思議ですね。

投稿: 管理人 | 2008年12月 8日 (月) 20時48分

初めまして。
十二月に入ってからちょいと拝見しています。
私は経済には疎いですが、ここの考え方は面白いと思います。
これからもたまに来ます。

投稿: 松崎 | 2008年12月 9日 (火) 22時07分

松崎様

コメント、有り難うございます。

 趣味で始めたブログですが、開設後、早2年が経過しようとしています。記事数もようやく100に到達し、取り敢えず第一関門突破というところです。
 経済から、社会問題・政治問題・医療問題・教育問題…と、徐々に幅を拡げていきたいと考えておりますので、今後とも宜しくお願いいたします。

投稿: 管理人 | 2008年12月 9日 (火) 23時29分

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