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4K不況(規制強化と信号増設の関係)

2009011601  1年前、総務省のお達しにて、携帯電話の本体価格が高くなり通話料が安くなるという料金改定がなされた。当初は「消費者保護」を唱った新料金制度の導入のはずだったが、結果として消費者の携帯電話買い替え需要が激減し、携帯電話業界にも不況の風が吹いたことは記憶に新しい。
 “通話料を下げて本体価格を上げる”をいう消費者無視の施策が採られたことにより迷惑を被ったのは消費者だけではない。携帯電話関連業者の大部分、中でも携帯電話を組み立てる作業を行なっていた労働者達の仕事も激減しただろうことは容易に想像がつく。

 今月はボーダフォン携帯からソフトバンク携帯への移行も最終調整に入ったらしく、私の周りでも先週、新しくソフトバンク携帯に切り替えた人が2人いた。(ソフトバンクから督促があったらしい)
 聞けば、携帯電話本体は5万円以上したが通話料の割引きがあったらしく、実質は1万円台で購入できたそうだ。ちなみに携帯電話本体は現金払いではなく20数回の月賦払いになるらしい。(通話料と同時に引き落とされる)
 結果的には、こういったサービス(実質的な割引)を追加しないことには携帯電話を買い替える人はほとんどいないのだろうと思う。
 現在の『本体価格5万円以上』というイメージは明らかにマイナスだと思う。5万円と言えば、今時のノートパソコンが買える値段だ。携帯電話にパソコンの買い替えサイクルを適用すればどういう結果になるのかは容易に想像がついてしまう。2年に1度パソコンを買い替えるような人はあまり見かけないのと同様、携帯電話の買い替え期間も長期化することは明々白々だった。そして実際にそうなっている。

 少し前置きが長くなってしまったが本題に入ろう。
 貸金業法改正、建築基準法改正、金融商品取引法の施行によって引き起こされた3大官製不況のことを経済専門用語(?)で「3K」と呼ぶらしいが、この3Kに携帯電話業界に発生した官製不況を追加して「4K」とも呼ばれているらしい。
 そのうち、食品業界の規制強化によって「5K」となる可能性もあるが、問題はこういった深刻な現状が世間一般ではあまり知られていないことだ。世間では、アメリカ発の世界金融危機(サブプライム問題やリーマンショック)があまりにも大きな出来事であったために、日本の不況原因の全てがアメリカのせいになってしまっており、完全に「灯台下暗し」に陥ってしまっている。

 『規制』というものは解りやすく言えば『信号』と似ている。過剰な規制というものは、喩えて言うなら信号の数を増加させるようなものだと考えれば解りやすいかもしれない。
 さて、あなたが普段、通勤などに利用している道路で「交通事故が多発している」という理由から信号の数が倍になったらどうなるだろうか? 信号で停まる回数が倍に増えれば、当然のことながら、通勤時間が長くなるので、朝起きる時間が早くなり帰宅する時間も遅くなる。そのせいで余分なストレスが増えることは間違いないだろう。
 通勤における問題だけならまだしも、“時間”で商売している宅配業者や運送業者はどうなるだろうか? その場合は仕事の効率が悪くなることは避けられない。今まで通りに仕事ができなくなれば、宅配料金や運送料金が上がることも避けられない。少し前に、ガソリン代が一時的に高騰したことによって運送業が成り立たなくなったことがあったが、あれと同じような現象が発生することになる。そしてそんな窮屈な業界には誰も新規参入できなくなり、業界全体が仮死状態に陥ることになる。

 ガソリンはそのうち下落することは判っていたが、信号の数(=規制の強化)はガソリンのようにはいかない。日本には一度作られた信号(=規制)はそう簡単には廃止できないという社会構造的な大問題が存在している。非効率なことが判っていながらも、一度確立されたものは余程のことがない限り変更できないという融通の利かない構造ができあがってしまっている。この構造をシンプルに変革しないことには、一度失敗した政策であろうと、そのまま維持されることになる。4Kと呼ばれる不況の構造もまさしくそうなっているがゆえに一向に不況から抜け出すことができずにいる。

 仮に100mおきに信号が有った場合を想像してみよう。そんな道路であれば確かに交通事故は減少するだろう。しかしそんな信号だらけの不自由な道路では、あらゆる商売は成り立たなくなってしまう。現在の日本経済自体も規制のオンパレードで、あらゆる業界が息苦しくなっている。反面、規制を強化することによってお役人の(無駄な)仕事だけは増えている。如何にお役人が善意の施策を練ったところで、国民にとっては有難迷惑にしかなっていないという現実がある。彼らが行なっているのは、景気対策ではなく、実は不景気対策(つまり景気を悪くしている)にしかなっていないという現実をこそ直視せねばならない。その現実を見ずして日本経済が回復に向かうことは有り得ない。この悪夢のような現実から逃避し、不況の原因を他国に責任転嫁しているだけでは真の景気回復は有り得ないのである。

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コメント

一寸気になるのは、企業側の態度です。
矢張り大反発したのでしょうか。
そして、こういったものには通話分のポイントなるものがあるのでそれで調整してしまうと政府のやったことはまるで意味がなくなるような気がします。

何にせよ政府は頭でっかちの様な気がします。

投稿: 松崎 | 2009年1月19日 (月) 21時01分

松崎様

コメント、有り難うございます。

 そうです。結局、総務省のやったことは無意味でした…と言うよりも「無駄」でした。
 消費者の消費意欲を大きく減退させてしまったことを考えれば、マイナスです。

 企業側が政府に大反発したのか?という件ですが、ほとんどの企業は残念ながら政府に反発などはできません。なんとか抜け道を探した結果が通話料込みの値引きサービスでしょうから。
 内定取り消し企業を公表するという発表があったばかりですが、日本の政府と企業というのは、ちょうどイジメっ子(政府)とイジメられっ子(企業)の関係に見えます。私の錯覚ならよいのですが…。

投稿: 管理人 | 2009年1月19日 (月) 22時24分

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