『厚生労働省』vs『楽天』の意味するところ

以前から、楽天の三木谷氏が厚生労働省に対して、医薬品のネット販売規制の中止を訴えていたことは周知の通りだが、このところの消費者からの苦情も相まってか、先日、舛添要一厚生労働大臣が中心となって、異例の検討会(医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会)が行われた。
この検討会では『医薬品のネット販売の是非』を改めて話し合ったそうだが、「対面販売を基本としなくては安全性は担保できない」とする厚生労働省側の意見に対して、楽天側は「ネット販売業者いじめだ!」と真っ向から対立した。
言葉だけで受け取ると厚生労働省側の言い分(消費者保護や犯罪防止)にも一理あるように見受けられるのだが、その一理のために残りの九十九理を無視する姿勢を容認するわけにはいかない。
別の言葉に置き換えると、「一理」というのは役人を意味し、「九十九理」というのは国民を意味している。民主主義の基本は「国民の国民による国民のための政治」であって、決して「役人の役人による役人のための政治」ではない。この度の医薬品のネット販売規制は、事前にどれだけの世論調査を行って決められたのかを考えると、厚生労働省側は明らかに説明不足の感は否めず、まさしく「役人の役人による役人のための政治」になってしまっている。
そもそも、医薬品のネット販売がどれだけ危険を伴うかということは、お役人が決定することではなく、市場が決めることだ。本当に危険だというのであれば、一般の消費者からの苦情が殺到するはずであり、その一般の消費者がほとんど問題視していない現状を見れば、わざわざ規制などを行う必要があるとは思えない。
以前にも経済産業省から中古家電などのリサイクル販売を禁止するという無茶苦茶な規制が発足されかけたことがあったが、今回の規制も、これとどっこいどっこいの愚策と言える。
厚生労働省が「対面販売」にこだわるところは、どこか、タバコ販売におけるタスポ規制を思い起こさせるが、何故に「対面販売」に固執するのだろうか? 対面販売であれば絶対的に安全で、ネット販売であれば危険を伴うという理屈はどう考えてもおかしい。対面販売であれば絶対的に安全だと言うのであれば、対面販売員の身分保証を絶対的なものにしなければならない。
勘の鋭い人ならもうお気付きのことだと思うが、実はその対面販売員の身分保証制度というものが近い内に出来上がることになっている。現在は薬剤師が常駐しなければ医薬品の販売はできないことになっているが、2006年度の薬事法の改正によって2009年度(つまり今年)からは登録販売者がいれば、医薬品を販売できるようになる。要するに、ネット販売を禁止しなければ、この(登録販売者)試験制度が成り立たなくなってしまうわけだ。
ネット言論内では、「医薬品のネット販売規制は当然だ」という意見もあり、「楽天の三木谷社長は自らのお金儲けのためにやっている」などという嫉妬丸出しの下衆な意見も聞こえてくるが、この問題はそんな小さな問題ではない。大多数の国民の声を無視し、ほんの少数の恣意的な意見が、なんの疑問も持たれることなく勝手に決定されてしまうという、まさに独裁国家さながらの国家の暴走を食い止めることができるかどうかという非常に重大な事件だとも言える。楽天の三木谷氏は「ネット販売業者いじめ」という、いかにも大衆受けする簡単な言葉を選んで抗戦しているかに見えているが、実は大きな改革を行っているとも言えるのだ。
楽天の三木谷氏は以前、ライブドアとの球界への新規参入で男らしくない態度(?)をとったことがあるので、それ以来は応援するのを止めていた経緯があるが、今回の勇気ある行動に対しては応援したいと思っている。
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