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『飲酒会見』騒ぎと『酩酊政治』

2009021901  G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)において前代未聞の酩酊(酔っぱらい)会見を行なったことで一躍「時の人」となった中川昭一氏だが、その責任をとって財務・金融担当相を辞任した。さすがに今回の引責辞任は世間の批判から考えれば仕方のない判断だと思う。
 中川氏の場合、本当に飲酒会見だったのかどうかは未だ不明だが、誰が見ても正気ではなかったことだけは確かなので政治家としての免許取り消しはやむを得ないだろう。(正確には「財務・金融担当相」という立場を辞任するだけで政治家自体を辞めるわけではない。)

 酩酊会見にちなんで言えば、最近、飲酒運転の罰則がさらに強化されたそうで、酒気帯び運転が発覚した時点で即運転免許停止ということになったようだ。
 これまではアルコールの量によって“飲酒運転”と“酒気帯び運転”という分類がなされていたが、これが同じものになってしまった。無論、減点数などに違いはあるが、ドライバーから見れば、どちらにしても免許停止となって運転できなくなってしまうのだから大差がないと言える。この件についても特に文句を言う気はない。しかし、善悪論を除けて経済的な視点のみで観れば、あまり良い政策だとは思えない。

 このところの不況で、国民の節約思考が定着し、喫茶店のお客も激減しているらしい。これは単純に、コーヒーを喫茶店で飲まずに、節約して自宅でインスタントコーヒーを飲む人が増えたということを意味しているが、数百円のコーヒーでさえこの状況なのだから、高価なお酒類は言うに及ばないだろう。
 以前からの飲酒運転の罰則強化で、駅前の居酒屋を除いた郊外型の居酒屋兼のファミリーレストランなどは、お客が激減し業績が低迷していたことは周知の通りだが、この状況にさらに拍車がかかることは間違いないだろう。

 人々が必要なものだけにお金を使い、余分なものにお金を使わなくなることは一見、正しい姿に見えるが、実は大きな損失を伴っているということも考える必要があるかもしれない。
 “必要なものにしかお金を使わない”ということは、同時に“必要な分しかお金が入ってこない”ということを意味している。「お金は天下のまわりもの」と言われるように、使えば使った分だけ返ってくるというのが、お金のルールでもある。このルールは個人単位では当てはまらないが、社会全体として観れば正しい。
 現代が消費減退社会であるという意味でも、飲酒運転の罰則を強化するのであれば、その強化によって発生するマイナスを補う施策も同時に考える必要がある。そういった一般人ができないことを行なうのが政府の本来の役割だ。そういった気の利いた施策が全くできない(考えてもいない)のであれば、何のために政府が存在しているのか分からない。

 政府(お役人と政治家)は、飲酒運転の罰則を強化することによって消費が減退するのであれば、アルコールを飲んでも消費が減退しないような方策を考える必要がある。
 居酒屋を例にとれば、『代行運転業』というスキマ商売が民間から生まれたが、国からは何も生まれていない。ただ、罰則を強化するだけで、あとは知らんぷり。世間が不況に苦しんでも自分達の生活だけは安泰なので、なんらまともな政策も出てこない。

 代行運転というものは確かに便利なものではあるが、消費者から見れば、結局、送迎タクシー代が余分にかかるという苦肉の策であるがゆえに、全員が全員、代行運転サービスを利用するわけにはいかない。少しは消費減退に歯止めをかけることはできるとはいえ、根本的な解決策にはならない。
 『アルコールを飲んでは運転できない』という問題をクリアするためには、もっと根本的なところまで遡って解決策を考えなければいけない。例えば、往路は車で行って、復路は電車で帰るというようなことが問題なく行えるようにしなければならない。
 代行運転業というものは基本的にお客の車(マイカー)を利用するサービスだが、これを『店側が車を用意し、事前にお客の家まで車を届け、その車でお客が店まで乗ってくる』というような乗り捨てシステムに構築し直す必要性があるかもしれない。
 要するに、これまでの“マイカー”という概念を“乗り捨てカー”という概念に置き換えることができるような大幅な社会システムの変更が必要であるということだ。
 上記は、あくまでも仮定の話ではあるが、それぐらいの抜本的な改革をセットでするくらいでなければ、軽はずみな罰則強化などを行うべきではないということだ。

 実際にカードで利用する乗り捨てカーサービスというものは既に存在しているが、これも民間の1企業が主導で開始したサービスなので、はたしてどこまで世間一般に浸透するかは判らない。判らないがゆえに政府が音頭をとって新たな経済システムを構築していくべきなのだが、1政治家の酩酊会見が新聞の一面にデカデカと掲載され、経済政策よりも個人的な感情批判をすることしか頭にない現代の政治家達に何を言っても無駄かもしれない。彼らの大部分は日本や国民のことよりも、党や自分のことだけで精一杯なのだから。彼らの頭の中にあるのは、経済政策や景気対策ではなく、飲酒会見や飲酒運転を無くすことだけなのだ。彼らは自分達が思考停止していることにも気が付いていない。言わば、彼らはアルコールを飲んでいなくても酩酊している状態とも言えるのである。

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コメント

■中川昭一の功績■
・中川氏は、農林水産大臣としてポジティブリストを導入し、中国等から無差別に輸入される毒菜に一定の歯止めをかけた。

・中川氏は、財務大臣として金融援助をIMFに一本化し、韓国やアイスランドなどから申し込まれた二国間融資は全て断った。

・中川氏は、政調会長として、自民党内の人権擁護法案推進派の意見を断固として撥ね付けていた。

・中川氏は、拉致問題に早くから取り組んできた政治家の一人であり、拉致議連の会長もつとめた。

・中川氏は、経済産業大臣の時、親中派の二階俊博が打ち出した「東アジアEPA(経済連携協定)」構想に意義を唱えた。

・中川氏は、毎年靖国神社に参拝することも欠かさない。

・中川氏は、非核三原則の堅持は当然”としながらも日本の核武装の是非について繰り返し“論議すべし”と言及した。

・中川氏は、日教組に対し「日教組の一部活動家は(教育基本法改正反対の)デモで騒音をまき散らしている」「(デモという)下品なやり方では生徒たちに先生と呼ばれる資格はない。免許剥奪だ」と、その活動を強く批判している。

・中川氏は、官憲(役人、特に警察関係)による慰安婦募集の強制性を認めた1993年の「河野談話について早期に見直しを検討・すべきだとの考えを示した。

・中川氏は、中国の脅威に対抗するために、インドやオーストラリアとの連携を促進するための議員連盟「価値観外交を推進する議員の会」の旗揚げに貢献した。

・中川の勉強熱心は有名で、官僚にとっては渡した原稿をそのまま読んでくれない、扱いにくい大臣だったとのこと。

・中川氏は、郵政解散後の造反組リーダーであった平沼赳夫とは銀行員時代から兄弟のような間柄で、郵政民営化には賛成ながらも、造反組には半ば同情的だった。

・中川氏は、政界きっての親台派として知られている。農水大臣再登板の際には、中華民国総統であった李登輝から祝意が寄せられている。今回の辞任についても、台湾メディアは同情的である。

・中川氏は、2007年に保守派の議員で集まる勉強会「真・保守政策研究会」を設立するにあたってのまとめ役となった。

投稿: | 2011年2月 4日 (金) 18時47分

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