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「婚活」ブームから「離活」ブームへ(?)

2009040601 少し前に、「婚活」という言葉が流行ったかと思っていたら、今度は「離活」という言葉が流行り出したらしく、NHKでもこの春から『コンカツ・リカツ』という題名の新ドラマがスタートしたらしい。
 「婚活」という言葉は、社会学者の山田昌弘氏の造語であるそうだが、当ブログでも以前、「婚活」現象を基にして現代の結婚の理想と現実を少し述べたことがある。(該当記事→『一億総結婚社会』の理想(恋愛)と現実(結婚)
 
 「結婚活動」が「婚活」であれば、「離活」とは当然「離婚活動」のことを意味しているのだろうが、こういった現象はなぜ発生しているのか?という原因を経済的な観点から少し探ってみたい。
 
 『「まだ結婚しないの?」に答える理論武装』(伊田広行著)という面白い本がある。この本では親や親戚、先輩や友人などから「なぜ結婚しないの?」という質問をされた場合にどのように返答すればよいのかということが現実的な視点から理論的に説かれている。
 結婚することが当たり前だった頃から、「なぜ結婚しないの?」という言葉は時代を超えた名文句のように使用されてきたが、現代のように結婚することが当然でなくなった時代であっても「なぜ結婚しないの?」という名文句を何の疑いもなく使用している人が大勢いる。まず他人にそういった疑問を投げかける前に、「なぜ結婚しない時代になったのか?」ということを自分の頭で考えるべきなのだろうが、そういったことを全く考えずに「なぜ結婚しないの?」と言われても、「はあ・・?」と言いたくなる人(未婚者)も結構多いのだろうと思う。
 
 現代という時代にあって「なぜ結婚しないの?」という言葉は、もはや時代の空気が読めない人間が発する象徴的な言葉(=KY語)になってしまった感がある。いつまでも結婚しない人を心配する気持ちは充分に理解できるのだが、その言葉を発すること自体が、自らが時代の空気が読めない疎い人間であることを証明してしまっているようにも感じられる。それほどまでに現代の結婚観は昔とは変わってしまったのである。(昔と言ってもほんの20年前位のことだが…)

 時代は、就職活動と同じように、結婚活動をしなければ結婚できないという時代になった。それは、誰も彼もが結婚できる時代ではなくなったということであり、結婚するためには、個人的な様々な努力が必要になったということである。それは、選び選ばれるためには自らを磨く必要があり、またそれくらいのことができなければ結婚したとしても、結婚生活を維持することは難しくなったということを意味している。
 ちょうどバブルが崩壊した1990年代に結婚を経験したロストジェネレーションの中に、現在になって結婚したことを後悔している人が大勢いるらしいが、この時代は就職氷河期とも言われ、多くの学生が就職できずにフリーターなどの職に就いた時代だ。しかし、以前からの結婚観を持ったままであった人の多くは、経済的なゆとりがなくても結婚を選択した。その後、定職に就けた人はよいとしても、そのまま不安定な生活を余儀無くされた人も大勢いたはずだ。
 そういった人の子供も今や10〜20歳という一番お金のかかる年齢に達しており、夫婦共働きでも生活していくのは経済的にも苦しい状態ではないかと推測される。そのためか、妻が夫に対して「かい性が無い!」と言って暴力を振るうドメスティック・バイオレンス的な夫婦喧嘩も後を絶たないらしい。
 
 バブルの絶頂期に土地を購入した人は、大損したと言われているが、バブルの絶頂期に子供を多くもうけた人も、現在では苦しい生活を余儀無くされている。土地は手放すことができるが、子供はそうはいかない。当時、2人でも3人でも面倒がみれると思って子供を産んでしまった人も、現代であれば、そんな悠長なことは言っていられない。その証拠に現代では子供が1人という夫婦が最も多い。それは経済的なストッパーがかかっているためであり、子供を育てることには大変なリスクが伴うということを認識しているからに他ならない。
 そのことは子供を産む以前の結婚という行為にも当てはまる。結婚というものにも大きなリスクがあるということを多くの人が認識しているが故に、結婚を選択する人間も減少しているわけだ。「離活」などというものが流行る背景には「結婚生活を続けるよりも離婚した方が楽だ」という女性(男性も?)が水面下に多く存在しているということを表しており、現在の3組に1組は離婚するという現象が、今後は2組に1組が離婚するというようなことになってしまう可能性も有るということだ。
 3組に1組でも以前の認識から考えれば異常なことだと思うが、これがそれ以上になると、さすがに「なぜ結婚しないの?」などと暢気なことを言う人も減少するかもしれない。それが良いことだとは私も思わないが、そういった時代認識を持つことは必要なことかもしれない。現代は「結婚しない人間は異常だ」と言っている人間こそが、ある意味では異常な(時代錯誤な)人間だと思われても不思議ではない時代なのである。
 
 結婚は誰も彼もが行うものではなくなり、結婚という行為は必ずしも幸せの片道切符ではなくなった。もともと安定志向で貯蓄志向が強いと言われる日本人が、同じようなリスクが結婚という行為に対しても伴うのであれば、必要以上に慎重になってしまうのは至極当然の結果と言えなくもない。
 現代の日本では、結婚は個人の選択と責任において行うリスクのあるものに変化してしまった。そういう時代認識を持てば、「なぜ結婚しないの?」という言葉が如何に時代に適合していないかがよく分かる。これからは「なぜそんなことを聞くの?」と返す人が多く出てくるのかもしれない。あるいは「なぜ結婚なんかするの?」と…いや、この先は止めておこう。

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社会問題」カテゴリの記事

コメント

結婚出来ない就職超氷河期の我々の世代を示している。だけども、結婚しないと人生の先が作れない難しさもある。

投稿: 匿名太郎 | 2009年4月 7日 (火) 12時45分

管理人様へ
ブログの見出しに、何回目の物か、表示された方が、途中参加される方に分かり易いと感じます。
早く、ユーザー同士が、コメントしあえるブログになれば良いですね!

投稿: | 2009年4月 7日 (火) 17時48分

匿名太郎様

コメント、有り難うございます。

 「結婚しないと人生の先が作れない」というのは、見方によってはその通りかもしれません。『結婚しなければ人生ではない』という前提に立てば、確かに結婚というスタート地点に立つ必要があるのかもしれません。
 しかし、非婚者や離婚者がますます増加していくと思われる日本という国にあっては、そういった前提自体がもはや無意味化しているのでは?というのが、今回の記事で述べたかったことです。(あくまでも個人的な意見ですが…)

投稿: 管理人 | 2009年4月 7日 (火) 23時11分

管理人様
仰るブログの主旨は、分かります。只、現実的に考えて諦めざるを得ないのが、同世代と話をしている実態です。例えば、フリーターの家庭で、子供の養育費(大学進学等)を払えない。正規雇用でも、会社の雇用が、安定していないので、結婚の次に、離婚が見えている。等の事情です。
やはり、大抵の方は、可能であれば、当たり前の幸せとしての結婚は、望んでいます。
時代の違いだけで、家も持てない、高学歴ワーキングプアーにも、結婚は、無理な選択です。
私は、結婚感が崩れておらず。結婚する選択肢が、崩壊していると体感しています。中には、後先考えずに結婚される方々もいますが。

投稿: 匿名太郎 | 2009年4月 7日 (火) 23時51分

はじめまして~
非婚者や離婚者がますます増加していく・・かは、
微妙なところだと思いますよ。

「まだ結婚しないの?」と屈託なくきいてくるのは、ふた昔前の人。
 シングルを個人の自由と責任(あるいは自分らしさ)の名目で選択するのは、もはや一昔前の人かも。

社会保障もあてにならないこれからの時代は、
家族が最大のリスクヘッジになります。
昔から、「一人ぶちは食えなくても二人ぶちなら食える」と言われていたように、
生存戦略として結婚が浮上してくる予感がいたします。

投稿: ちかおばちゃん | 2009年4月 8日 (水) 14時40分

匿名太郎様

コメント、有り難うございます。

 生のご意見をお聞きすると、切実な気持ちが伝わってきます。
 年功序列や終身雇用という制度が維持できなくなった(公務員等一部は除きます)現代の日本にあっては、フリーターだけでなく、正社員であっても子供の養育費(教育費)が支払えないという話はよく耳にします。
 例えば、2人の子供を公立ではなく私立の学校に通わせるような場合は、世帯年収が1000万円程度は必要という話もあるぐらいですから、普通のサラリーマンでは到底無理な相談です。
 自分の収入を鑑みて子供の数を決定しなければならないというのは、よく考えれば当然のことなのですが、今までの日本ではそういったことをあまり考えずともなんとかなったという(希有な)時代でした。
 しかし現代においては、子供の数を考える以前に、まず、結婚自体をするかしないかということを選択しなければならなくなっています。あなたがおっしゃるように「結婚する願望はあるが、結婚する選択肢が崩壊している」と思われている人は大勢いると思われますし、そういった感情が、少子高齢化に拍車をかけることに繋がっていることは疑いようの無い事実です。
 では現状を打破する方法はあるのかどうかということですが、非常に難しい問題ですね。難しい問題なだけに、機会があればまたブログで提案していきたいと思っています。

投稿: 管理人 | 2009年4月 8日 (水) 20時45分

ちかおばちゃん様

コメント、有り難うございます。

 なるほど、「家族がリスクヘッジ」とは鋭いご意見ですね。実際にアメリカなどは、独りで暮らすよりも2人で暮らした方がリスクが低いらしく、生活する上で敢えて結婚を選択する人も多いと聞きます。日本のように(結婚するお金が無いという理由で)独身貴族的な独り暮らしができることは、まだ恵まれているということらしいです。

投稿: 管理人 | 2009年4月 8日 (水) 20時48分

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