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『思考停止国家』脱却のススメ

2009052901 ようやく、豚インフルエンザ騒ぎも沈静化しつつあるようだが、今回の一件で日本国民の思考停止ぶりが世界中に知れ渡ってしまったようだ。海外の知識人達は、豚インフルエンザにおける日本のパニックぶりを冷笑(嘲笑)しているらしい。ほとんど実害の無いウイルスに対して、よくもまあここまで馬鹿騒ぎができるものだと呆れ返っているという噂も耳にする。ある評論家が言うには、今回の一件で「日本はテロの標的国家になる危険性が出てきた」ということらしいのだが、なるほど、これはなかなかの慧眼だ。実際に今回の騒ぎを空港で目撃した海外の人々は「日本でまたテロ事件でも発生したのか!?」と疑ったそうなので、充分に考えられるケースだ。
 世界中のお金目当てのテロリストから観れば、こんなに簡単にパニックに陥ってくれる国があるのであれば、まさしく恰好の標的(カモ)だと思われても仕方がないかもしれない。偽の情報であろうが、不明の情報であろうが、実害を考慮しようともせずに簡単に踊らされてしまうのだから擁護のしようがない。“本人(本物)かどうかを確認せずにパニックに陥ってしまう”という意味では、まさに『振り込め詐欺国家』状態だとも言える。

 最近では、現代日本の思考停止状態を嘆いている本が続々と刊行されているが、ここでは次の3冊をご紹介したいと思う。

 『「知の衰退」からいかに脱出するか?』大前研一著
 『思考停止社会』郷原信郎著
 『会社に人生を預けるな』勝間和代著

 まず、大前氏の『「知の衰退」からいかに脱出するか?』は、日本の知の衰退ぶりを歯に衣を着せずに徹底的に掘り下げている。大前氏は本書の中で、少し前にベストセラーとなった『国家の品格』を「思考停止のすすめ」または「鎖国のすすめ」だと指摘している。
 ちなみに私は『国家の品格』は未読(正確に言うと数分間立ち読みして見切りをつけた)だが、この本が200万部も売れたというのは少し疑問に思っていた(周りにも読んだ人がいない)ので、大前氏の指摘に妙に納得してしまった。
 大前氏はこの本の中で先の『郵政選挙』についても鋭い指摘を行っている。当時、多くの国民は郵便局を“国営のまま”にするか“民営化”するかという二者択一に悩まされたが、本当は、“民営化する”か、それとも“廃止する”かという議論が起こるべきだったと述べている(大前氏の立場は無論“廃止”)。つまり、「国営という選択肢は初めから必要なかった」のだと。
 郵便局「国営 vs 民営」論ではなく、郵便局「民営 vs 廃止」論とは実に思い切った話だが、確かに言われてみれば、目からウロコの考察ではある。

 大前氏のように海外でも充分に生活していける人物は、国内の地位に固執して本音が言えずに汲々としている言論人とは実に対照的で、言いたいことをズバリ言ってくれるという痛快さがある。この本は最近の大前氏の本の中でも特にオススメできる万人向けの好著だと思う。『国家の品格』には申し訳ないが、こういう本が代わりに200万部売れた方が実際に日本のためになるだろうと思う。
 
 次に最近、サンデープロジェクトにもよく出演されている郷原氏の『思考停止社会』だが、彼自身が元検事ということもあってか、専門的な言葉が散見され、少し事務的(?)な文章なので、よく考えて読まないとウッカリ流し読みしてしまいそうになるのだが、集中して読むと、なるほど納得の目からウロコの思考啓発本(?)となっている。私が普段、ブログで指摘しているようなことを、より専門的な視点から掘り下げて述べられており、切り口も実にシャープだ。この本はまさに題名の通り「思考停止社会」の複雑な構図を明快に暴いており、ある意味で「警世の書」と呼べるかもしれない。氏の今後のご活躍に期待したいと思う。

 最後に、最近、女流経済評論家として頭角を現しつつある勝間和代氏の『会社に人生を預けるな』だが、この本は以前にヒットした『銀行にお金を預けるな』シリーズの続編に位置する。基本的には一般人向けのリスク・リテラシー啓発本になっている。
 勝間氏は政府関係の仕事も抱えているスーパーウーマンというイメージが強く、そのせいか反政府的な発言はできるだけ控えめにしているのかな?と思っていたのだが、この本ではズバリ本音を述べているように思われ、日本の終身雇用制度にもメスを入れており、堂々と「お上に人生を預けるな」と述べている。

 面白いのは、アメリカのヒーロー像というのは、スーパーマン、バットマン、スパイダーマンのように市民(個人)が主役だが、日本のヒーロー像というと、お上(遠山の金さん、水戸黄門、銭形平次、ウルトラマン、仮面ライダーなど)が主役になっていると指摘しているところだ。言われてみると確かにその通りではある。“お役人=正義の味方”という刷り込みが行われてきたのではないか?と疑われても仕方がないほどに偏っている。
 そして「寡頭制」という聞き慣れない日本の支配体制にも触れられており、多読家の勝間氏ならではの解釈で分かり易く書き連ねられている。勝間氏は大前氏と同じコンサルティング会社のマッキンゼー出身だけに、今後も合理的な視点から日本社会の問題点を指摘していってくれるのではないかと期待している。『銀行に〜』、『会社に〜』、とくれば、次は、『お上に生命を預けるな』の3部作刊行を期待したいところだ。

 以上、今回の新型インフルエンザ問題で、日本社会に別の意味での危機感を覚えた人は、是非、上記の3冊だけでも読んでいただきたいと思う。
 思考せずして正しい現実を認識することも理想を語ることもできない。思考せずして成功も発展もなく、思考せずして不況からの脱却もないということを知る上で格好の教材となるはずだ。

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コメント

【NHKの大罪】 〔マスメディアの暴走、抗議はなかったことに〕
≪現状をインターネットで知り、ご自分たちの将来について考えてみませんか≫

★まともな対応無き、メディアの暴走
(ブログ「博士の独り言」2009/05/15(金) 23:49:34)

★現状を憂える有力企業で、「優良放送番組推進会議」 が設立されました。
(会員企業)
旭化成、旭硝子、 出光興産、大阪ガス、 関電、キヤノン、新日鐵、新日本石油、セブン&アイ、全日空、第一生命、 大和ハウス、武田薬品、 中外製薬、中電、東電、トヨタ自動車、 日本電信電話、日立製作所、 パナソニック(松下)、みずほ銀行、 三井物産、三井不動産、三菱重工、森ビル、リコー。
http://good-program.jp/

★近い将来に危機感を抱く一般の人々も、行動を始めました。
5月16日、東京,名古屋,大阪,福岡,青森,台湾の台北で、
さらに、
30日、東京・名古屋・大阪で、 
6月6日、札幌で、
NHK「JAPANデビュー」
の放送法違反,偏向・捏造放送に抗議する国民大行動。
http://blogs.yahoo.co.jp/deliciousicecoffee/40664032.html

これほどの人々が、怒りを表明し、海外メディアは報道。
これほどの規模のデモに、日本の新聞・テレビは「沈黙」。
抗議は、「無かった」ことに。

★「報道拒否」
「困ったものです」では済まない状況になりつつありますので、わたし以外にも大勢の日本人が動き出したのです。
(ブログ「新世紀のビッグブラザー」2009/05/28 10:56:33)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10269456309.html


★「NHKは日本人だけの所有物ではない(コールセンター)」
 NHKには反省と言うシステムは有りません。やっぱ壊して作り直すべきです。
 遠回りなようですが、それが一番近道だと思います。
(ブログ「ケシクズ」2009年05月20日 )
http://blog.livedoor.jp/akito3ta/archives/51659405.html

★何故!!
大衆の「政治参加」とマスメディアの沈黙
(ブログ「日本よ何処へ」2009年05月18日 09:46)

★NHKのOBたちも「NHKを正す会代表」を、発足。
「どうしてあんな変なものを作ったのか。あのまま行けば誰も見なくなり、NHKは倒産してしまう」
OBが絶望するNHKの体質と内部の問題点。
(ブログ「台湾は日本の生命線」2009年05月26日)
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-765.html

★日本人なら、もっと、自信を持ってください。
「アメリカ」と「中国」の仕掛けたワナが、
ゆっくりと、そして確実に、日本をしめつけ始めています。
(ブログ「中韓をよく知る男」)

投稿: 未来の選択 | 2009年6月 2日 (火) 20時39分

初めまして。
アセンションの地球。経済回復の未来はないでしょう。へんな希望を捨てる勇気も必要。

投稿: sib | 2009年6月 6日 (土) 03時57分

sib様

コメント、有難うございます。

 『アセンション』とはまた哲学的というか、精神的なお言葉ですね。
 仮にアセンション(次元上昇)というものが本当に進行しているのだとしても、意識的にネガティブな状態から脱することは大事なことでもあり必要なことでもあると思います。と言うより、現在の日本の低迷ぶりはそんな高尚な言葉が当てはまるような状態までも到達していないのではないか?とも思えます。

 いずれにしましても、私には現在の日本経済や日本社会がポジティブな方向に向かうことがマイナスになるとは思えませんので、希望を捨てる勇気よりも、希望を持つ勇気を優先したいと思っています。悪しからず。

投稿: 管理人 | 2009年6月 7日 (日) 17時34分

こんにちは。
私は今の景気が正常だと思っています。正常の景気以上にすることは、無理や無駄が生じますので、そういう意味で無理な希望は捨てる発言をしました。

政治家も、あと何世紀かしたら、物々交換の道具としてのお金は必要なくなることを知っている人もいるでしょう。

でも、現時点で政治家の口からは言えないでしょう。

ただ、物が安くて過労死などがなくなる世の中にはなるでしょう。じきに。

投稿: sib | 2009年6月25日 (木) 02時04分

sib様

 2度目のコメント、有難うございます。

 私は『アセンション』関係の本は読んだことがありませんので、あなたの言われるような世の中がどのような経過を辿って迎えるのかは解りません。よって、そのことに対しては残念ながら意見を述べる立場にはありません。

 しかし、「物が安くて過労死などがなくなる世の中」というのは興味深いですね。それはお金というものが無くなれば迎える社会なのか、はたまた、お金も含め俗世間的なすべてのものがアセンションすることによって迎える社会なのか…。

 俗な経済眼で観れば、現在日本の過労死などの問題は、“国内の物価”と“労働の価値”の釣り合いが取れていないことが主な原因だと言えると思います。この辺のところはまたブログにも書いていきたいと思っていますが、本来、固定されるべき労働における価値(報酬)があまりにも歪(いびつ)に歪められてしまっていることが原因だと思います。あくまでもアセンション抜きの現実的な意見ですが…。

投稿: 管理人 | 2009年6月25日 (木) 22時34分

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