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環境保護政策から生まれたコンビニ規制緩和

2009062401 コンビニの売れ残り弁当の対処法がクローズアップされている。
 今まで、売れ残った弁当は廃棄処分が義務付けられていたそうだが、今後はコンビニでもタイムサービス的に値段を下げて販売することができるようになるのかどうかが取り沙汰されている。
 この問題で注目すべきは、規制を行っているのが毎度の政府側ではなく、民間企業(セブンイレブン)側だということに尽きる。見方によっては、珍しくまともな政府の対応だとも受け取れるが、果たして問題の本質は何なのだろうか?

 コンビニというのは“いつでも買える”という利便性を追求したショップであって、決して“安価で買える”ということを追求したショップではなかった。
 40年程前までの日本社会では、深夜に営業している大型スーパーなどが存在しなかった。そこに『24時間スーパー』という触れ込みでコンビニエンスストアというチェーン店が続々と出現した。その利便性の高い販売システムは消費者から支持され、その後、コンビニ市場は大きく花開いた。しかし、その利便性の代償として、売られている商品は基本的に全て定価販売という暗黙の了解が無条件にセットされていた。不思議なことに「コンビニではなぜ値引き販売しないのか?」と言い出す消費者は誰もいなかった。
 よくよく考えると、これは実に不思議なことでもある。特に食品には賞味期限というものがあるわけだから、賞味期限の近付いた商品は赤字を覚悟してでも投げ売りしたいというのが販売店の本音であるはずだ。それに、いくら定価販売のコンビニであろうと、タイムサービスを期待する消費者は少なからずいたはずだ。しかし、この販売店(加盟店)の声も、消費者の声も、これまで全くといっていいほど聞こえてこなかった。まるで、コンビニ業界のタブーであるかの如くに。

 これまでは「賞味期限の過ぎた弁当は全て廃棄してください。」というコンビニ本部からのお達しが誰にも文句を言われることなく受け入れられていたわけだが、弁当を廃棄することによって損害を被るのは加盟店のみだった。
 加盟店が売れ残った弁当を廃棄したところでコンビニ本部は痛くも痒くもなかった。仮に加盟店が売れ残った弁当を安値で叩き売ったとしてもコンビニ本部に入る利益は変わらなかった。ではなぜ廃棄にこだわったのか? 答えは言うまでもないが、「廃棄しなければ仕入れ回転数が上がらない」というのが1つの大きな理由だろう。もしそうだとすれば、これは明らかに「加盟店&消費者無視」だと言えるだろう。もっとも加盟店になる契約書にそう書かれてあっただろうから、加盟店側が「騙された」と言えるようなものではないのだが…。
 
 具体的な例で言えば、仮に500円で販売されている弁当があったとして、仕入れ原価が200円であれば、その200円の損失は加盟店のみがカバーしなければならないという実に理不尽なシステムだったわけだ。加盟店側の販売努力が充分ではなかったと言えるのかもしれないが、売れ残った弁当は店長が自分で処分している(=食べている)というのはよく聞かれる話だ。
 確かにこんな理不尽なシステムでは、いずれは苦情が出るだろうことは容易に想像がつく。況して、時代はエコブームなのだから、食物を無駄に廃棄することは、国策としても黙って放置しておくわけにはいかなくなったのかもしれない。本来、「規制!」「規制!」と無駄な規制ばかりを行っている政府(今回の場合は公正取引委員会)だが、国策のために仕方なくコンビニを敵に回してでも規制緩和に動いたというところだろうか。背(コンビニ規制緩和)に腹(環境保護政策)は代えられないといったところかもしれない。
 
 今回の問題における対処法として、セブンイレブン側は早速、廃棄弁当の損失額の15%を引き受けるという折衷案(?)を提示している。先の例で言えば、200円×15%=30円の負担ということになるが、そこまでしてでもタイムサービス(値引き競争)は避けたいらしい。まあ確かにコンビニ業界で安値競争スパイラルが発生すれば、15%どころの損失では済まないだろうから、多少の損をしてでも得を取るというビジネス戦法なのだろうが、はたしてそれで丸く収まるかどうかは注視する必要がありそうだ。
 
 しかし、マスコミは今回の問題に対して、「賞味期限の切れた弁当を廃棄するのは勿体ない!」とか「無駄な食料の廃棄はケシカラン!」と息巻いているようだが、少し前にあった賞味期限偽装問題では、「賞味期限を1日でも過ぎた商品を販売するなどはケシカラン!」と言っていたのではなかったのだろうか?
 これは言い換えると、「賞味期限を1日でも過ぎたものは即刻廃棄するべきだ!」と言っていたようなものだから、今回の事件では全く逆のことを言っていることになる。以前は『賞味期限シール』をまるで唯一絶対的な神のように祭り上げていたにも関わらず、よくもまあ、舌の根も乾かぬうちに、いけしゃあしゃあとこんな台詞が出てくるものだと感心してしまう。この国のマスコミには、言いたいことを言う自由があるだけで、恥も外聞も責任も無いらしい。

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コメント

弁当がもったいないか、利益率が厳しいのか、でも余った食料を職がない人にわけることは出来ない。

投稿: | 2009年7月17日 (金) 20時48分

賞味期限内で安く売る(記事の話はコレね)のと、賞味期限切れを騙して売るのは違うと思いますが。

ネトウヨはマスコミ叩ければなんでもいいのか

投稿: 自由主義者 | 2013年10月 8日 (火) 00時25分

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