『覚せい剤使用』と『自殺未遂』の微妙な関係
先週からテレビのニュース番組では、政治問題よりも「ノリピー」こと酒井法子の覚せい剤事件に焦点が当てられている。珍しく国民の一大感心事に成りかけていた政治問題は、この芸能ネタによって完全に霞んでしまったようだ。
世間一般では、ノリピー批判も行われているようだが、多くの人はこう言っている。「ノリピーに裏切られた」「覚せい剤に手を出すなどケシカラン」と。
初めにお断りしておくと、私は国民的元アイドルの芸能界ネタ(ノリピー批判)を書くつもりでこの記事を書いているのではなくて、この事件によって、ある意味で“思考停止状態”に陥っているかに見える国民的社会問題について述べている。扱うものが『覚せい剤』という反社会的なものであるので、誤解を招く恐れがあるかもしれないが、誤解を恐れずに少し述べてみたい。
まず、「酒井法子は罪を犯したか?」
「犯した」 より正確に言えば「法律を犯した」
では、「酒井法子は誰かを傷付けたか?」
誰も傷付けていない。しかし、ファンや関係者の心は傷付けた。
「あなたは、酒井法子の行為によって迷惑を被ったか?」
「いいえ」【国民のほぼ全員】
つまり、酒井法子の犯した罪とは法律を守らなかったという個人的な罪であって、他人を傷付けたとか、迷惑をかけたという罪ではない。(親類や芸能関係者は迷惑を被ったが、赤の他人は迷惑を被っていない)
「法律を破るなど倫理的にケシカラン」と憤っている人がいたとしても、その当人自身が迷惑を被ったわけではない。例えば、覚せい剤を使用したせいで万引きをしたとか、他人を殴ったとか、破廉恥行為を行ったとかいうのであれば、それは他人にも迷惑をかけることになるので万人が「ケシカラン」と言っても然るべきものだが、幸い、そこまでの罪は犯していないので、全く関係のない赤の他人が「ケシカラン」と言うのは少し感情的に成り過ぎているのではないかと思う。
もちろん、放っておくと覚せい剤中毒となって他人を傷付ける可能性もあるので、覚せい剤の蔓延を取り締まる必要があることは言うまでもない。しかし、覚せい剤に手を出して真っ先に傷付く人間は誰かというと、覚せい剤に手を出した自分自身だ。覚せい剤に手を出して身を滅ぼすのは実は本人自身だということに注目しよう。
覚せい剤取締法の目的は、主として2つある。1つは「個人の廃人化を防ぐ目的」、そしてもう1つが「世間一般に広まることを防ぐ目的」だ。この2段階のストッパーとして覚せい剤の使用・所持は規制されているわけだが、この2つはよく考えると似て非なるものだ。1段階目は『個』の問題であり、2段階目は『公』の問題という大きな違いがある。
1段階目というのは、“個人の肉体を自分自身で傷付ける”という意味では、『自殺未遂』というものに似ているとも言える。
もし、自殺というものが法律で禁止されていたとすれば、自殺未遂を図った人間は「ケシカラン」ということになるのだろう。それは法律を犯したことに対する「ケシカラン」であって、決して他人を傷付けたという意味での「ケシカラン」ではない。
他人まで巻き添えにした自殺(自爆テロなど)は、万人が「ケシカラン」と言うべきものだが、誰にも迷惑をかけていない自殺を同じように「ケシカラン」と言うのはどうだろうか?
無論、宗教・倫理的な意味合いで「自殺は悪だ」という別の観点から見た意見もあるだろうが、話の都合上、そういったものは省く。(ちなみに私も自殺否定論者です)
酒井法子は確かに法を犯した。そして世間一般にもお騒がせしたことは事実であるので、擁護するつもりはさらさらないが、単に『覚せい剤』という言葉からイメージだけで批判している人には、もう少し冷静に考えてみることをオススメしたい。
覚せい剤を使用することは確かに悪だ。しかし、その悪にも段階があるということも考えてみよう。何事についても条件反射的に決めつけるのではなく、別の見方もあるということを考えてみよう。そして、多くの国民にそういった複眼的な視点が欠けていることこそが、この国の閉塞感の主因になっているという事実にも目を向けよう。
この記事で述べたかった結論はそういうこと(=思考停止注意報)であって、覚せい剤云々はあくまでも喩えであるので、話の本題を曲解しないように願います。
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コメント
覚せい剤を使うと言うことはそれを売買している
事を認める事です。
投稿: | 2011年5月29日 (日) 15時28分
同感です!
日本人はこんなにもリンチ気質でしたっけ?
投稿: あひる | 2012年1月18日 (水) 00時22分