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現代の政治家の仕事とは?【政権交代<政治変革】

2009090701 政権が自民党から民主党に移り「政権交代」が現実のものとなったが、世間では民主党政権に対しての期待と不安が入り混じった玉虫色ムードが漂っている。
 大抵の人々は、「民主党は国民に何をしてくれるのか?」という期待を抱いているようだが、政治家とは本来、国民に対してどのようなことをするべきなのだろうか? そして国民は政治家に何を望むべきなのだろうか?

 政治家という職業は、富を生み出す職業ではない。富を生み出すことができないのであれば、どこかから富を調達しなければならない。その“どこか”というのは、無論、国民であり、富というのは税金を意味している。
 単純にそう考えると、良い政治家とは国民からより多くの税金を徴収することができる政治家だということになってしまいそうだが、それは時と場合による。高度経済成長期のように富も仕事も有り余っている時代であれば、その有り余っている富(税金)を少しでも多くかき集めて、多くの人に分配することができる「ねずみ小僧」のような政治家が重宝されたのかもしれないが、現代のような富も仕事も激減しているような時代では、有り余っている富が無いため、国民から税金を集めることが必ずしも良いことではなくなってしまった。社会主義的な分配行為が善ではなく悪になる時代を迎えてしまったとも言える。これは要するに、“お金を集めてバラまく”という政治家の仕事自体が意味を為さなくなったということである。豊かな社会では「ねずみ小僧」はヒーローとなるが、貧しい社会での「ねずみ小僧」は、単なる「泥棒」に変化してしまいかねないということでもある。

 こう書くと、「では政治家はいらないのか?」という意見が出てくるかもしれないが、政治家が不要と言っているわけではない。不要なのは、“お金を集めてバラまく”というシステムであって、政治家の方ではない。
 では、政治家はどんな仕事をするべきなのかというと、集めるべき税金が減少しているのだから、いかに企業や個人が税金を多く支払ってくれる環境を創り出すかということに尽きるだろう。税金を如何にして多く集めるべきかという目的は同じであっても、手段が全く違ってくるわけだ。“お金を集める”という発想から、“お金を創る環境を創造する”という全く新しい政策を立案するという重責を背負わなければならないということだ。しかし、現状はどうなっているかというと、そんな素振りは微塵も感じられない。
 
 今日も鳩山氏が、温室効果ガスの25%削減案をマニフェストとして述べたそうだが、景気の回復と、(日本だけが熱くなっている)温室効果ガス削減のどちらが大事なのか?とお聞きしたくなる。「日本(だけ)は温室効果ガス25%削減を実現します」と言うのは、言葉を変えれば、「日本(だけ)は、国際経済競争はせずに衰退国家を目指します」と言っているのと同義とも言える。以前にも述べた(→“環境の改善”より重要な“景気の改善”)が、手段(環境改善)と目的(景気回復)を履き違えてしまっては誰も救われなくなる可能性がある。
 鳩山氏の優先順位は、1(政権交代)2(環境改善)3(景気回復)の順になっているのではないかと思われるが、本来であれば、1番目に(景気回復)が来なければならない。

 話が横道に逸れたので元に戻そう。
 “お金を集める”という作業を、潮干狩りに喩えてみると、昔のように集めるべき自然の貝がいくらでも海岸に生息しているのであれば、政治家の仕事は、その貝を拾って皆に配ればそれでよかった。しかし、拾うべき貝が激減しているのであれば、政治家の行なうべき仕事は、貝を集めることではなく、貝をバラまくことでもなく、貝を増やすことでなければならない。しかし、政治家には貝を創り出すことはできない。貝を創り出すことができるのは、その海で貝を養殖できる人間、つまり、民間の人間だけだ。であれば、政治家のするべき仕事は、その民間の人間が多くの貝を育ててくれるような環境を整えることであるはずだ。
 しかし、当の政治家達は、相変わらず、お金をバラまくことしか考えておらず、国民の方もバラまいてくれるお金の量に期待しているだけという体たらくぶりだ。
 
 富を産み出す環境を整えることが政治家の仕事であるが、政治家には直接、富を創り出すことができない。富を創り出すことのできるのは政府ではなく、一人一人の国民だという当たり前のことが完全に忘れ去られている。現代の日本は、不況である以前に、思考停止に陥っている政府と国民にも大きな問題があると言える。

 それと、もう1つ追加しておくと、政府は富を生み出すことのできる民間人の活動の邪魔を極力しないことだ。できる限り民間に自由を与え、個人の活動を制限しない方が、税収は上がる。それにも関わらず、規制、規制で自ら不自由な環境を創り出してしまっては、何のための政府か分からない。税収を上げてこそ、公務員は収入を得ることができるという基本的な立場さえも忘却してしまっている。
 現代の日本は、お役人自らが不必要に民間を縛り、その結果、税収が激減しているにも関わらず、自分達お役人だけは給料がほとんど下がらないという無茶苦茶な状態に置かれている。
 税収を上げるためには、民間の邪魔をしないこと。これに尽きる。これさえ守ることができれば、税収は100%上がる。民間の邪魔をせず、民間が働きやすい環境を創造すること。現代の政治家の仕事とは、お金をバラまくという単純な仕事ではなく、もっと高次なものに変化しているのである。大事なことは「政権交代」ではなく、「政治変革」なのだ。

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