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BOOK『マスゴミ崩壊』

2009100601 数少ない日本経済楽観論者であり、2ちゃんねるからデビューしたという特異な経歴を持つ注目の経済評論家 三橋貴明氏の最新作。「マスゴミ」というネットスラング(隠語)を本のタイトルにするところなどは、如何にもネット論者という感じだが、内容の方は非常に真っ当な正論が展開されている。私は三橋氏の本は初めて読んだのだが、なるほど、その人気の秘密がよく解った。三橋氏は中小企業診断士を職業としておられるらしいが、コンサルタント的な視点から鋭くマスコミの問題点を糾弾している。日本のマスメディアの問題点を取り扱った書物は数多いが、この本は非常に分かりやすく書かれており、万人受けする内容だと思う。
 
 日本のマスコミのデタラメさ加減は知る人ぞ知るところだが、これまでは非常に強固なベールに覆われていたために、実際にマスコミ被害にあった人にしかその問題点は見えにくくなっていた。しかし、インターネットの急速な進展により、徐々にそのベールは剥がされようとしている。

 マスコミというものは、本来であれば国家権力を監視する役割を担った存在であり、司法、行政、立法に続く「第4権力」と呼ばれている。しかし、この国のマスコミは、権力を監視するというよりも、権力におもねるという感じになってしまっている。
 と言っても、マスコミに携わっている人間がデタラメな悪人ばかりだというわけではない。日本のマスメディアとしての構造自体がデタラメであるがために、その中に入った人間もその色に染まってしまっているというのが実情だろうと思う。誰も、はじめから権力におもねるためにマスコミに入るわけではない。大抵は夢と希望を持って、真実を追求し、社会悪を糾弾するという正義の心からマスコミの世界に入るのだろうが、そこに入った者は、どういうわけか“自らが社会悪となってしまう”という危険なリスクを背負うことになる。不幸にもそのリスクに破れてしまうと、権力の走狗と成り果ててしまう。
 社会悪と化したマスコミを監視する組織自体がないために、誰にもそれを止めることができない。なまじ、『国家第4権力』などという巨大な権力が与えられているがために、その暴走は『国家(権力)』と並ぶ程に始末に負えなくなる。

 「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という有名な諺があるが、日本のマスコミ社会というものは、虎穴に入ってしまえば自らが虎になってしまう。言わば、「ミイラ取りがミイラになる」というような社会になってしまっている。
 これは、ある意味で官僚の世界と同じ構図だとも言える。システム自体がデタラメなので、そこに入った人間が如何に優秀であっても無意味化してしまい、理想とは程遠い悲劇を演じることになる。
 それでも一部の優秀な人間は、大マスコミから独立して正論を述べるに至るが、その声はいつもマイノリティー(少数派)であり、マジョリティー(多数派)になることは難しい。そういった事情から、本音を捨てて建前の社会に閉じ篭ることになる。(この時点でジャーナリズム精神を失うことになる)
 この、現代マスコミ社会を覆っている悪循環を断ち切ることは不可能だと思われていたが、前世紀末に1つの希望が生まれた。それが、他ならぬIT革命(インターネット)だった。

 奇しくも冷戦の終結とともに、アメリカは戦争で利用されていた通信技術をオープンにした。その技術は秒進分歩で進化し、瞬く間に世界中に浸透した。インターネットが拡大するとどのような世界になるのかということが、時の権力者には理解できなかった。それゆえに、インターネットの拡大を取り締まるような権力者は(幸いにも)現れなかった。IT革命の行き着く先には、『真贋の分別』という開かれた社会が待っていることなど夢想だにしていなかった。
 
 21世紀が、総ての人に正しい情報を与え、誰にも邪魔されずにその情報を共有できる開かれた社会に向かって進んでいるのであれば、嘘で塗り固められた組織に未来はない。それは至極当然の帰結でもある。国家第4権力者たる日本の大マスコミであろうと、いつまでも閉ざされた社会に居座り続けていられるような時代ではないということを知るべきかもしれない。そのことは、他ならぬマスコミ人自身が1番理解しているのではないだろうか。『マスゴミ崩壊』とは実は、マスコミに携わる人間達こそが夢みた理想であるのかもしれない。

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