« 社内カレンダーと建前社会の関係性 | トップページ | イー・モバイルと中古パソコンのコラボレーション経営考 »

ベーシックインカム制度の大前提と可能性

2009111201 このところの世界経済の先行き不透明感の影響か、はたまた現代日本に突如出現した社会主義政党の影響かは分からないが、「ベーシックインカム」という言葉がよく聞かれるようになってきた。「ベーシックインカム」とは、簡単に言えば『政府が全ての国民に対して毎月最低限の生活を送るために必要な現金を無条件で支給する制度』のことだが、現在のところ、支給される金額は5万円から8万円というラインが基本(ベーシック)と考えられているらしい。
 このベーシックインカムについては、様々な有識者が意見を述べており、ネット内でも賛同する声が多いようだ。ただ、1人につき無条件に5万円以上も支給するのは現実味に欠けるという意見も多い。1人5万円だと単純に1億人に支給すると考えても、総費用5兆円ということになるので、1年間で60兆円も必要になる。なるほど確かにこれでは現実味が無いと言わざるを得ない。少し前に麻生元総理が選挙対策(?)で定額給付金というものを実施したが、あの時の総費用が2兆円程度だったことを考えても、いかに膨大な金額かが分かる。今年の法人税収が40兆円未満だったことから考えても相当無理のある金額だと言えるだろう。

 私も基本的にはベーシックインカムには賛成の立場だが、いくつかの条件が必要だと思う。まず、ベーシックインカム制度の最大の目的は、“飢え死にするような人や、経済的な理由による自殺者を減少させる”ということでなければならない。あくまでも生活するうえでの最低限の所得を保証すること(=セーフティ・ネットを張ること)が目的であり、決して働かない(または働きたくない)人間の面倒をみるための制度であってはならない。“働けない”と“働かない”と“働きたくない”の3つをキッチリと分けて考えなければならない。この3つを同じものだと混同すると、単なる社会主義的なバラマキ制度に堕してしまうので注意が必要だ。

 【セーフティー・ネットの対象となるのは“働けない”のみ】

 この大前提を曖昧にすると、「働かざる者食うべし」というような無茶苦茶な社会が出来上がることになる。もっとも、そんな社会が出来上がった時点で国家は崩壊することになるかもしれないが…。
 
 そういった危険性も考えると、やはり5万円以上というのは少々高いのではないかと思える。最低限の保証という意味では、2〜3万円程度が妥当ではないかと思う。「2〜3万円では生活できない」という意見もあるかもしれないが、普通に生活できてしまっては困るのだ。生活できるかできないかのギリギリのラインでなければ、この制度を悪用する邪(よこしま)な人間が必ず大量に出てくる。そうならないためにも、それほどメリットの無い制度で抑えておかなければならない。中には「2万円でも充分生活ができる」と言うような人もいるかもしれないが…。

 それと、ベーシックインカムが無くても充分に生活できるような人は自主的に辞退することが望まれるが、それは公平性の観点からも無理があるし、もらった人と、もらっていない人、あるいは、もらったりもらわなかったりする人の管理が大変になる(=余計な役所が出来上がる可能性がある)ので、あくまでも国民全員を対象としなければならないだろう。となると、やはり5万円というのは無理があり、3万円でも難しいかもしれない。現在の生活保護等を全てゼロクリアしてベーシックインカムに一元化すれば、5万円以上でも可能かもしれないが、これもいろんな意味(?)で無理があるだろう。
 
 まあそれでも、取り敢えずは国民全員に一律支給すると考えよう。しかし、その場合でも、お金をどう利用するかという目標もある程度は明確化する必要があると思う。
 例えば、1、返却する 2、寄付する 3、投資する 4、消費する というような明確な選択肢を設けて、なるべく貯蓄にはまわさないということにしなければ、景気は全く良くならない。生活費として使用(消費)する分には問題ないが、全く使用しないで貯金するような人が大量に出てくると、ベーシックインカム制度による副次的な経済効果は見込めなくなってしまう。
 こう書くと、「ベーシックインカムは景気云々とは無関係でよいのではないか?」との反論があるかもしれないが、それは見当違いというものだろう。“ベーシックインカム制度による副次的な経済効果”というものは極めて重要であり、むしろ、その可能性のためのベーシックインカム制度だと言ってもいいと思う。

 「ベーシックインカム」と聞くと、単なる《所得の再分配制度》というような負のイメージを抱いてしまいがちだが、最低限の保証が為されていることによる安心感から得られるリスクテイク発想、これこそが重要だと思う。
 失敗すれば何もかもを失うかもしれないという不安感を抱えたままでは、なかなか起業する人も現れないし、ベンチャー企業も出てこない。新しい産業を創り出すリスクテイカーが出てくる環境を用意するという意味でも、ベーシックインカム制度は有効かもしれない。それに、芸術家や作家、漫画家、デザイナー、アーティストなど、定期的な収入が保証されておらず、無収入期間が長引くと商売を続けていけなくなるような仕事をしているような人には、その才能を生かす意味でもベーシックインカムは必要だろうと思う。
 ベーシックインカムがあると、企業の行き過ぎた安値受注という負の循環も少しは改善されるかもしれないので、市場原理も少しはまともに機能する可能性が出てくる。(行き過ぎた安値受注と市場原理については以下の関連記事参照)

(関連記事)スケープゴートにされた市場原理

 一見、社会主義的な臭いのする制度であっても、結果としては資本主義的な合理化社会が出来上がるのであれば、誰も(右も左も)反対するわけにもいかないだろう。そういう意味では、ベーシックインカム制度は理想的な制度となる可能性を秘めているとも言える。
 しかし、よく知られているように、この日本という国は、リスクをとる起業家やベンチャー企業に冷たいということで有名な国でもある。リスクテイカーが現れても、あまり歓迎されないという別の意味でのリスクが存在するため、本来、成功するべき起業家も育たないという負の側面がある。ホリエモンなどはその良い例で、リスクをとって成功者となっても、見えない権力と嫉妬の渦に呑み込まれてしまったことは記憶に新しい。ちなみにそのホリエモンもベーシックインカム制度は肯定しているようだが、今後の世界経済の動向次第では、ベーシックインカム制度の実現を求める声が他からも数多く出てくるかもしれない。
 
 ベーシックインカム制度を実現できれば、国民の精神的な安堵感が増すことはほぼ間違いなく、人生における経済的な絶望感を味わう人も減少し、毎年3万人ともいわれる自殺者が大幅に減少することも確実だろう。そう考えると、なにやら夢のような制度だと思われるかもしれないが、大きなリスクを抱えていることもまた事実だ。ベーシックインカム制度も、その他多くの社会保障制度と同様にリスクが伴うものであるということだけは、くれぐれも忘れてはならない。

にほんブログ村 経済ブログへ

|

« 社内カレンダーと建前社会の関係性 | トップページ | イー・モバイルと中古パソコンのコラボレーション経営考 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

供給過剰時代の景気にはベーシックインカムが必要不可欠

政治家もエコノミストも国民を豊かにするにはパイを大きくする必要があると言っている
しかしパイは十分に大きい、むしろ大き過ぎで供給過剰になってる、
供給過剰なのだから消費を増やせば良いだけのこと、それには貧乏人に金をくれてやれば済むだけのこと
こんな簡単なこと何故やらないのか、

貧乏人だけに金を配るのは不公平というなら国民全てに現金を支給すれば良い、これがベーシックインカムだ

財源は増税でも国民全てに現金を支給するのだから差し引き増税にはならない、むしろ減税になる

投稿: 民主太郎 | 2010年2月19日 (金) 21時38分

はじめまして。
ベーシック・インカムについての、簡単なアンケートを作ってみました。
ご迷惑かとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

色々と考えてみて、今回はBIの金額を月5万円~10万円としてみました。
出来るだけ沢山の方に参加して頂きたいので、twitterなどで紹介して頂けると、とてもありがたいです。

【問1】
もし、月5万円のベーシックインカムを一生涯もらえるとしたら?
http://research.news.livedoor.com/r/43444

・おもに生活費に使う
・おもに貯金する

【問2】
もし、月8万円のベーシックインカムを一生涯もらえるとしたら?
http://research.news.livedoor.com/r/43603

・おもに生活費に使う
・おもに貯金する

【問3】
もし、月10万円のベーシックインカムを一生涯もらえるとしたら?
http://research.news.livedoor.com/r/43672

・おもに生活費に使う
・おもに貯金する

投稿: kyunkyun | 2010年4月11日 (日) 15時04分

歯並び悪い低学歴は笑うな不気味

大企業に入れない奴隷階級は介護でもしてろ

在日ですか?


反ベーシックインカム

投稿: 低学歴ほど外国で暮らしたことがない | 2015年1月16日 (金) 12時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/199859/46747044

この記事へのトラックバック一覧です: ベーシックインカム制度の大前提と可能性:

« 社内カレンダーと建前社会の関係性 | トップページ | イー・モバイルと中古パソコンのコラボレーション経営考 »