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イー・モバイルと中古パソコンのコラボレーション経営考

2009112101 先日、某家電量販店の中古パソコン販売コーナーに足を運んでみると、ほとんど半額から無料に近い価格でパソコンが販売されていた。よく見ると、価格が2段に表示されており、通常価格とは別にイー・モバイル加入サービス価格が書かれてあった。以前から新品パソコンに対しては、このテのサービスがあることは知っていた(『100円パソコン』というものも有る)が、いつの間にか中古パソコンにまで販路が拡大していたようだ。
 ちなみに『100円パソコン』については、以下の関連記事参照

【関連記事】「消費者心理」と「お役人心理」の乖離

 かくいう私もこの数年来、パソコンは中古(オークション)でしか買わなくなったので、もし現在、インターネットを利用していないユーザーであれば、イー・モバイルに加入することになっていたかもしれない。中古パソコンのマーケットは、オークションの方が大きいかもしれないが、ショップでなければこういったサービスは展開できない。そういう意味でも、これはなかなか良いところに目を付けたなと思う。(オークションにはショップも出品しているので、同じようなサービスを既に行なっている所もあるのかもしれないが…)

 通常の中古パソコン販売店とオークションの中古パソコンを比較すると、値段的にもオークションの中古パソコンの方が安価であり品数も豊富なので、ネットユーザーから見れば、中古パソコン販売店でパソコンを購入するメリットは“短期間の保証が付いている”程度のものだった。しかし、ここにきて中古ショップが大きくシェアを奪い返す可能性が出てきた。無論、イー・モバイルの加入数も今まで以上に伸びることは間違いないところだろう。

 現在のイー・モバイル(親会社はイー・アクセス)のアグレッシブな商売手法は、どこか、かつてのヤフー(親会社はソフトバンク)を思わせるところがある。当時、街中で無料の通信モデム(ルーター)が配られていた頃を思い出すが、あの頃の私は、「ヤフーはこんな無茶な商売をして大丈夫なのだろうか?」と訝(いぶか)っていた。しかし、時が経てば、ヤフーの果たした役割は実に大きかったことに気付かされる。世界一とも言われる日本のブロードバンド環境構築の立役者は、政府やNTTではなく、ソフトバンクイーアクセスだったことは誰もが認めるところで、もはや疑いを入れる余地はない。

 話をイー・モバイルに戻そう。イー・モバイルは親会社であるイー・アクセス同様、創業者でもある千本倖生(せんもとさちお)氏が会長を務めている。千本氏はNTT出身のエリートサラリーマンだったが、海外出張したことが転機となって独立した人物であり、京セラの稲盛和夫氏と組んでKDDIを創設したことでも有名な人物だ。日本にADSLを普及させたのは千本氏の功績と言っても過言ではないので、ブロードバンド環境の立役者は2人いたことになる。実際、千本氏は孫氏と並んで「通信業界のカリスマ経営者」と呼ばれている。「儲からない商売はしない」と豪語するだけあって、その経営スタイルは一見、冒険心に満ちているように見えながら、実は相当の堅実家であるらしい。ソフトバンクの孫氏の場合は、かなり大胆な経営スタイルを持った冒険家であるので、同じカリスマ経営者でも少しタイプが違っている。孫氏は“経営の天才”、千本氏は“経営の秀才”という趣きが強いと言えるのかもしれない。

 「イー・モバイルは4社目の携帯電話会社ではなく、日本初の携帯ブロードバンド会社」というのは千本氏の言葉だ。イー・モバイルの設立目的は、携帯電話会社として成功することではなく、世界的に観ても未だ高料金の日本の携帯電話通信費の合理化を行い、携帯端末によるブロードバンド革命を起こすことであるらしい。孫 正義と千本倖生は、ある意味で同じ目的を持った同志であるとも言えるが、良きライバルでもあるのだろう。
 
 イー・モバイルは本来であれば世界的にも大きな注目を浴びて然るべき企業だと思われるが、未だその企業価値に気が付いている日本人は少ないようだ。
 日本の通信インフラ構築は国内の景気にもダイレクトに作用する。現在のブロードバンド通信インフラの発達がなければ日本経済は本当に奈落の底に堕ちていた可能性も否定できない。少なくとも、今以上の閉塞感が日本経済を覆っていたことだけは間違いないだろう。
 規制を強化する(=景気を悪化させる)ことだけしか能の無い頭の固いお役人には、彼らのような改革者を少しは見習っていただきたいものだ。日本の通信インフラ構築の最重要人物でもある孫氏と千本氏の経営の真似事をせよとまでは言わないが、くれぐれも邪魔だけはしないように願いたい。青年起業家だけでなく、壮年実業家の邪魔までされてしまうと、日本経済の行き先は“真っ暗なトンネルの入口”になってしまいかねない。既に携帯電話業界にも、ハード(携帯本体)料金の値上げによる官製不況の荒波が押し寄せた後だが、こういった荒波(試練)を乗り越えて、もう1度、携帯電話業界…いや、モバイル業界に新しい風を吹かせてくれることを期待したい。

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