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デフレとインフレの知られざる誤解

2009122001 最近、またもや「デフレ」という言葉が聞かれるようになってきた。昨年は、ガソリン等の商品価格が急騰し、「インフレ」や「スタグフレーション」という言葉が世間を賑わせていたが、ここに至ってようやく、世界は“デフレ基調”であったことが認識され始めたようだ。デフレ論で有名な長谷川慶太郎氏の言がどうやら正しかったようである。
 マスコミや御用学者達は、一部商品の一過性のバブル現象を「インフレだ!」「スタグフレーションだ!」とさんざん騒いでいたことになるが、毎度のことながら間違った情報を垂れ流していても、全く反省の色が窺えない。
 
 日本のマスコミの場合、「デフレ」という言葉が《不況》を意味するものとして取り扱われているが、これも大きな誤りだ。そのことについては以前にも述べた(該当記事→「デフレ脱却」というお題目)が、デフレには「良いデフレ」と「悪いデフレ」がある。
 グローバル経済下においては、物価が高いまま維持されてきた日本のような国は、真っ先にデフレの波に呑み込まれてしまう。これは自然現象のようなもので、完全な鎖国でもしない限り避けて通ることはできない。しかし、物価が下がるということは、大部分の国民(一般消費者)にとっては良いことであるはずだ。大きな例で言えば、マイホームやマイカーの値段が半額になれば消費者にとっては嬉しいニュースのはずであり、小さな例で言っても、300円で販売されていた文房具が100円で買えるようになれば消費者にとってはプラスのはずだ。

 デフレにおける問題点というのは、デフレによって下落した物価に対して、どれだけ収入が減少するかということだ。家や車の値段が半額になったとしても、収入が半額まで下がらなければ実質はプラスということになる。収入が物価と同じように半額になればプラスマイナス0(デフレによって価格が下がらなかった物があるとすれば、マイナス)だが、収入が半額以下になれば当然マイナスになる。
 物価の下落率よりも収入の下落率の方が小さい場合は「良いデフレ」となるが、逆に物価の下落率よりも収入の下落率の方が大きい場合は「悪いデフレ」となる。つまり、お金と商品の交換価値の比率が問題となるだけであり、デフレやインフレという現象自体に良いも悪いも無いのである。あくまでも、物価と収入の相関関係における良い悪いでしかないということだ。
 たったそれだけのことであるのだが、なぜかこの国ではこんな単純なことがまともに認識されておらず、大部分の国民は《デフレ=悪いこと》だと思い込まされている。そのためか、マスコミが「デフレ」「デフレ」と騒ぐと、国民は条件反射的にパニックに陥ってしまう。
 
 デフレとインフレは基本的に以下の4点に分けられる。

 「良いデフレ」……物価下落率 > 収入下落率
 「悪いデフレ」……物価下落率 < 収入下落率
 「良いインフレ」…物価上昇率 < 収入上昇率
 「悪いインフレ」…物価上昇率 > 収入上昇率
 
 以上が、デフレ・インフレの正しい認識になる。こんな小学生でも理解できそうな単純明快なことが、この国の似非エコノミストにかかると、トンデモなく難解な経済現象に変化してしまう。簡単なことを敢えて難しく説明することに長けているデタラメな学者がいかに多いかがよく分かる。
 
 先日の「ドバイ・ショック」にしても、ドバイ経済が破綻しているというのは1年前のニュースだったと思うのだが、同じ放送(実際に1年前の映像が流されていた)をテレビで流すと、《またドバイ・ショックが起こった!》というふうにパニックになる。ドバイ経済が破綻状態であることは既に報道されていたことであるので、政府が借金返済の繰り延べを行ったところで今更驚くようなことでもない。
 狡賢い人達はこういったジャパン・パニック(思考停止パニック)に乗じて大儲けしているのではないかと思う。「右を向け」と言えば、全員素直に右を向いてくれるのだから、「これほど楽な商売はない」というのが彼ら(?)の本音ではないかと思う。お断りしておくが、私は陰謀論の類いを述べているのではない。あくまでも現実的な話だ。

 「デフレ」という言葉が多くの国民に誤って認識されていることは間違いないところだが、これと同じようなものに「市場原理」という言葉がある。このことも以前に述べた(該当記事→スケープゴートにされた『市場原理』)が、ほとんど総ての国民が間違った認識を共有してしまっているため、まるで真実であるかのように誤った情報が独り歩きしている。
 有名なエコノミストの中にも「市場原理は崩壊した」などと宣っている人物が何人もいるが、こういった人達は「デフレ」と同じように、言葉が真に示す意味(つまり言葉の中身)を考えたことがないのか、はたまた、感情的にしか市場を観ていないのだろうと思う。
 彼らは、《デフレ=悪》と同じように《市場原理=悪》という思い込みから論理を展開しているため、その言葉も文章も全く心に響かない。こういった人々というのは、《金持ち=悪》というような何の根拠もない思い込み論を展開しているオメデタイ人々とほとんど変わらない。思い込みが強過ぎて、物事の本質が見えず、デタラメな論理を展開することによって、自分だけでなく他人をも自らの無知によって生じた闇(の思想)の中に引きずり込んでしまう。まさに彼らは、人々を惑わす「邪教の教祖」ならぬ「邪学の教祖」と成り果ててしまっているわけだ。教育や宗教など、何事にも良い悪いがあるように、経済にも良い悪いがある。経済現象のデフレにも良い悪いがあることは先に述べた通りだ。
 間違った思想を垂れ流す邪学【邪悪な経済学】の教祖にはくれぐれも御注意の程を。
 
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コメント

良いデフレ、悪いデフレなど。よくわかりました。ありがとうございました。

ところで、ど素人なので話がはずれてしまうかもしれませんが、地球温暖化は本当にCO2のせいでしょうか?

経済は成長するものならば、国債なども増大してゆくのは、当然ではないのですか?

お金持ちの人は、新たな創造に投資をして本来の働きをすれば良い。

競争が大好きなワーカーホリックは、残業もいとわずに働いて、純粋に利益を追及すれば良い。

可能な限り地球を開発すれば良い。それが人間の仕事なら、お金を官民で回してゆけば良い。

国民のローンも圧縮して、銀行同様に助ければ良い。

素人はそんなことを考えてしまいます。

投稿: ひよどり | 2009年12月21日 (月) 19時25分

ひよどり様

 コメント、有り難うございます。

>地球温暖化は本当にCO2のせいでしょうか?

 地球温暖化CO2犯人説については、当ブログでも何度が間接的に触れていますので、そちらを参考にしていただければと思います。
 環境関連の書物を何冊か読んだ上での感想を正直に述べさせていただくと、地球温暖化CO2犯人説は極めて怪しいと思います。
 ただ、たとえ嘘であったとしても、エコ政策という景気刺激策に利用し、本当に景気を良くすることができるのであれば、嘘も方便として許されるのではないかとも思っています。(この件も以前の記事に書きましたが)
 しかし、民主党が嘘を利用して景気回復するというような気の利いたウルトラCを演じることができるかどうか…これまた非常に怪しいと思っています。

投稿: 管理人 | 2009年12月21日 (月) 22時45分

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