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日本経済を蝕むアリジゴクの正体

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 「蟻地獄」という言葉を聞いたことがないという人はいないと思う。ウィキペディアの説明文を借りると、『さらさらした砂地にすり鉢のようなくぼみを作り、その底に住んで迷い落ちてきたアリやダンゴムシ等の地上を歩く小動物に大あごを使って砂を浴びせかけ、すり鉢の中心部に滑り落として…』とある。この蟻地獄を創り出しているウスバカゲロウの幼虫のことを通称「アリジゴク」と呼ぶ。
 
 さて、なぜ経済関係のブログにそのような昆虫の名が登場するのか疑問に思われた人もいるかもしれない。しかし、現在(と言うよりかなり前から)の日本社会の構造を比喩的に表現すれば、まさにこの「蟻地獄」という形容がピッタリと当て嵌まるように見える。そのことを少し具体的に説明してみよう。
 
 この「蟻地獄」という言葉は、1度その穴に落ちてしまうと、なかなか這い上がることができないという意味合いでよく使用される。一般的には、「商売に失敗した者」や「多額の借金を背負った者」、あるいは現代的に言うなら「負け組」と言われる者がこの蟻地獄に落ちた者と言えるのかもしれないが、ここでは「嫉妬心が強い者」として取り扱うことにする。数多くの嫉妬心が強い人間達が、この蟻地獄に落ちている様を想像してみよう。
 
 その蟻地獄では誰もが蟻地獄の外に這い上がろうと懸命になっている。しかし足場の悪い砂地が邪魔をしてなかなか這い上がることができない。彼らは自分が這い上がろうと必死になり、自分の上を歩いている他人の足を掴み引っ張ることでその蟻地獄から抜け出そうとするのだが、落とされた人間もまた同じように他人の足を引っ張るため、永遠に同じことの繰り返しで誰もその蟻地獄から抜け出すことができない。
 この喩え話は、他人に対する妬み根性を持っている人間はいつまで経っても貧しさから解放されないということを説いている。自分の上を歩いている人間の足を引っ張るのではなく、お互いが協力して後押しすれば、まず1人が脱出することができる。1人だけでも抜け出すことができれば、後はその人物に上から1人ずつ引っ張ってもらえば全員、蟻地獄から脱出することができるにも関わらず、嫉妬に狂った人間はそんな単純なことにも気が付かない。
 これはまさに、現代の日本社会の姿そのものであるとも言える。
 一部の成功者や起業家の足を引っ張るのではなく、持ち上げることができれば、その一部の成功者が生み出す富によって多くの人を救うことができるのだが、そのことに全く気が付かず、一部の成功者を「拝金主義者だ」などと言って蟻地獄の中に引き摺り降ろして喜んでいる(=嫉妬心を満足させている)というのが嫉妬深い人々の姿だと言える。金持ちを貧乏にすることで「格差が無くなり平等になった」と喜んでいる姿というのは実に愚かしい。「お金持ちを貧乏にしても貧乏人がお金持ちになるわけではない」というサッチャーの名言の見本のような社会が現代の日本の姿と言っても過言ではない。それは、全員が貧乏になるという狂気の社会なのである。
 
 アメリカでマイクロソフトのビル・ゲイツやアップルのスティーブ・ジョブズが現れると、人々は彼らを羨み、カリスマとして持ち上げた。そして彼らはその才能を遺憾なく発揮し大成功者となり、多くの国民に富の再分配を為した。それは褒めて持ち上げてくれた人々に対する報酬でもあった。彼らは意識してか意識せずしてか蟻地獄社会から抜け出す方法を本能的に実践していたということになる。ある意味で彼らは国民が一丸となって国を富ませることに成功したのである。アメリカの大富豪というのは、ほぼ例外なく慈善家でもあるという事実がそのことを物語っている。
 「国家の品格」とか「互助の精神」とか「友愛の精神」などと綺麗事を言っているわりに実際には逆のことばかり行っている日本とは大きな違いだ。

 アメリカでは成功者はその名の通り英雄となるが、日本では英雄ではなく、「格差を生み出した犯人」というような扱いになる。成功者のちょっとしたアラを見つけ出して、その悪い部分だけが針小棒大に報道される。そういった報道は《自分よりも優れた人や幸福な人が許せない》というような嫉妬心を抱いている人々に礼賛され、いつしかその成功者は“悪人”というレッテルを貼られることになる。
 
 蟻地獄に落とされた成功者達は、決して彼らに感謝の心を抱くことはないだろう。再び、自らの才能によってその蟻地獄から抜け出せたとしても、もはやその蟻地獄でもがいている人々に助けの手を差し伸べることはないだろう。そしてそのことを批判する権利はもはや誰にも無いのである。
 日本社会に蟻地獄を創り出しているのはアリジゴクという昆虫ではなく、この国の嫉妬深い国民なのだ。「格差は悪」などと叫んでいる者達が、実は日本を蟻地獄のような社会にしてしまっているだけのことなのだ。多くの貧困を生み出している元凶は、格差ではなく、自らの貧しく嫉妬深い心なのである。
 
 日本経済が現在のような蟻地獄不況から抜け出すために必要なことは、多くの国民が蟻地獄から抜け出す手段を学ぶことだ。その手段を学ぶためには、まず、今までの誤った常識《お金持ちを貧乏にすれば貧乏人はお金持ちになる》を捨てなければならない。そして【お金持ちを持ち上げれば貧乏人もお金持ちになる】という真実を受け入れることだ。
 「そんなことは受け入れられない」「他人の施しを受けるのはプライドが許さない」と言う人もいるかもしれないが、そんなことを言う気概があるのならば、他人の足を引っ張るような姑息な真似は止めて、自らが成功者になれるように努力すればいい。結局、そういった言い訳も自らが他人よりも劣っているのが許せないという妬みの心でしかないのである。

 2010年が日本経済の蟻地獄脱出元年になることを願いつつ…。

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コメント

蟻地獄ですか。

多分、みんな、今までのやり方でうまく行かない状況を初体験しているのではないでしょうか?

日本の場合、今、山の裾野部分が力をつけて来ているのかもしれません。

さらに突破口を開く創造や牽引者も、また徐々に出てきつつあるのかもしれません。

求められているのは、仕事の創造だと感じています。

投稿: ひよどり | 2010年1月 4日 (月) 17時49分

ひよどり様

 コメント、有り難うございます。

 現在の日本に“仕事の創造”が必要であることはその通りだと思います。しかしながら、仕事が無いために、余計な仕事を無理矢理作っているという現実も見過ごすことができません。
 公共事業やお役所仕事(そのどちらも必要であるものと必要でないものがあります)は言うまでもありませんが、民間の企業であっても、やるべき仕事が無いため、無理矢理に仕事を長引かせるようなことを行っている人達もいます。特に大企業ではそういったことが行われていても気付かれないケースがあるようです。身も蓋もない言い方をすれば、「仕事をしているように誤摩化している」ような人達が存在しているわけです。
 こういった無駄をそのまま放置した状態では、新しく仕事の創造を行う人が現れても、なかなかスムーズにはいきません。中にはそういった社会の効率化を良しとしない勢力がいるわけです。
 “仕事の創造”が絶対的に必要な社会でありながら、“仕事の創造”が遅々として進まない社会であるなら、それはまさに悪夢のような社会と言えます。そういった悪夢から覚めるために必要なことは何か? それが本記事のテーマです。

投稿: 管理人 | 2010年1月 4日 (月) 18時30分

確かに効率より仕事量をアピールする人もいますね。

(でも企業としてはまだ余裕がある状態ですね)

投稿: ひよどり | 2010年1月 4日 (月) 20時32分

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