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法人税の減税と相続税の廃止効果

2010031401 民主党の鳩山総理が法人税の減税を訴えたことが、にわかに注目されている。これまでは「大企業は悪」と言わんばかりの左寄りの社会主義政策ばかりを述べていた民主党らしからぬ意見に、驚きを隠せない人も多いようだ。
 少しは世界経済の常識(=法人税を減税すれば税収は上がる)を知っている者にとっては、法人税の減税は当然の政策であり、心ある経済人であれば今回の政策は諸手を挙げて賛成だろう。逆に、法人税を下げることに反対するような人がいれば、その人物はただの偽善者か経済オンチだと思って間違いない。
 
 これで、相続税も減税(理想は相続税廃止)すると言えば、少しは鳩山総理の好感度も民主党の支持率も上がるかもしれないが、おそらくそこまで言及することはないだろうと思う。
 法人税については以前にも少し述べたことがある(→該当記事)ので今回は置いておくとして、今回は相続税について少し述べてみたいと思う。
 
 かつて日本の相続税の最高税率は70%という高税率だったが、現在は50%となっている。1000万円以下では10%の課税に過ぎないが、3億円以上となると50%(つまり1億5000万円)徴収されることになる。私のような一般サラリーマンにはあまり縁のない話ではあるが、この累進課税には閉口せざるを得ない。
 ギャンブルなどの泡銭で3億円儲けたというならいざ知らず、命を削って死ぬほど働いて3億円貯めた人間であっても、その半額分を強制的に相続税として徴収されるのだから堪ったものではない。そんなに税金で持っていかれるのであれば、真面目に働くのが馬鹿馬鹿しくなっても仕方がないと思う。本来、高額の納税を期待できる人の働く意欲を削ぐ(=税収減)結果になっているだろうことは想像に難くない。
 
 ところで、相続税というものは別名「嫉妬税」とも言われることがある。生まれつき先祖や親の財産が有る子供と財産が無い子供がいることは不公平だという思考がその出発点になっている。
 確かに昔の財閥のように何の苦労もなしに運だけで莫大な資産を引き継いだというような場合であれば、そういった考え方も理解できなくもない。昔の地主階級よろしく、莫大な財産を引き継いだようなドラ息子が、仕事もせずにのうのうと遊んで暮らすのは許せないという気持ちは理解できる。しかし、こつこつと努力して稼いだお金を自分の子孫に残すというのであれば話は別だ。自分で一生懸命働いて稼いだお金をどう使おうが自分の勝手であり、そのお金を子孫に残すことも別に悪いことではない。一生懸命働いて稼いだ親のお金を引き継いだ子供がいたとして、その子供に対して「アイツはズルい」などと言って罵る方がどうかしている。こういった嫉妬の感情が行き過ぎると、《生まれつき金銭的(経済的)に不平等があるのはおかしい》というような共産(共貧)主義思想に陥ることになる。
 
 相続税を増税するべきだというのは、基本的には共産主義者の発想であるが、中には共産主義者でもない人間が同じようなことを訴えていることがある。それは、相続税というほとんど動かない巨大な資産を市場に出すべきだとする意見である。これは確かに一理ある意見でもあるのだが、少し誤解を招くことに繋がる恐れもある。ホリエモンも確か後者に属するようなことを述べているが、極論であることは否めない。ホリエモンの場合、働いて稼いだお金は全て使えばよいという前提で、相続税を100%にした方が良いと述べているのだと思う。それは確かにお金が動いて経済的にも良いことなのだが、残念ながら全ての国民にそれを強制することはできない。誰もが貯金せずに手持ちのお金を全て使うようになれば、確かに景気は良くなるだろうが、それは現実的にはできない相談だ。
 ホリエモンの意見には頷くことも多く、9割がたは正しいことを述べていると思われるが、たまには誤解を招くことも述べているように見受けられる。ホリエモン自身も大前研一氏のことをそのように述べていたと思うが、100%全く間違いのない正論者というのはいないということである。もちろん、私も間違ったことを述べている可能性があることは否定しない。
 
 相続税を減税すれば、財産を持った人間と持たない人間の間に更なる格差が生じることは間違いない。しかし、巨額の財産を持っている人間であってこそ可能なことがある。それは会社を作る(仕事を作る)ことや、巨額の投資を行うことだ。そういった大々的にお金を使ってくれる人が増えれば、相続税を上げることなく景気を上向かせることも可能となる。それに、相続税として召し上げられたお金が、市場に出回らずにお役人によって無駄に使われるのであれば、相続税を上げる意味が全く無駄になる可能性がある。そういう意味でも、相続税は減税し、その浮いたお金が直接的に市場に出回った方が効率的だ。
 
 経済的に観れば、貯金するという行為は確かに悪だ。それはお金が仮死状態に置かれていることを意味する。
 「貯金することが悪いなんて信じられない」と言う人もいるかもしれないが、「不景気」とは、「誰もがお金を使わない社会」の別名である。貯金するがゆえに不景気になるというホリエモンの考えは確かに正しい。しかし、いきなり「貯金するな」と言っても、それは実現できない。ゆえに逆転の発想が必要になる。つまり、相続税を100にするではなく、逆に0にして、相続税として納めるべきお金を市場を出回らせるという発想だ。実は法人税の減税もこれと同じ効果を齎すことになる。税金として支払わなければならなかったお金を、税金としてではなく自由(消費や投資)に使うことができれば、景気が上向く可能性が高くなる。つまり、景気の上昇効果が見込めるのである。無論、その場合も、浮いたお金を使うことが前提となることは言うまでもない。

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