« 郵政国営化で確定する日本の未来 | トップページ | “浦島太郎状態”に陥った理容業界 »

新『メーデー』のススメ

2010050301 今年のゴールデンウィークも例年通り、メーデーが開催された。私は労働組合とはご縁がないのでメーデーなどというものに参加したことはないが、もしご縁があったとしても、そんなお祭り(?)には参加しようなどとは思わないと思う。その理由は「偽善者にはなりたくないから」の一言に尽きる。
 
 昨年のメーデーでも、非正規労働者や派遣労働者についての問題が取り沙汰されたそうだが、よくよく考えると、いや、考えるまでもなく、こんなのは偽善でしかない。
 もともと労働組合というものは日本の全労働者を対象にした組織ではなく、大会社中心の正規社員を対象とした既得権益護持組織である。労働組合というものは基本的に正社員の給料をベースアップすることが目的の組織であり、残念ながら非正規労働者を護るような組織ではないのである。
 昨年、派遣切りされた派遣労働者が労働組合に対して労働条件の改善を訴えているようなシーンをテレビで観たことがあるが、こんなのはお門違いもいいところであり、全く無意味なわけだ。
 労働組合と非正規労働者というものは決して手を取り合うべき存在ではなく、本来であれば対立するべき存在である。こんなことは考える必要もない常識だと思われるのだが、どういうわけかこの国の多くの労働者にはそれが解らないらしい。

 メーデーというものが、労働組合が主体というわけではなく、本当に全労働者の祭典だということであれば、正社員と非正規労働者が混在していることも頷けなくもない。しかし、今年のメーデーでも、その両者が口を揃えて訴えていることは「賃金をアップしろ」ということであり、賃金が上がらない理由は「一握りの大企業が内部留保を増やし続け、労働者に還元しない」ことであるらしい。
 この両者が同じ理由によって賃金アップを訴えているのであれば、それは大いなる矛盾を抱えていると言わざるを得ない。
 
 大企業の内部留保論(=大企業悪玉論)というものは今に始まったことではないが、今となっては“労働者の訴え”と言うよりも“共産主義者の演説”のように聞こえてしまう。
 本当に過剰な内部留保を行い、労働者に正当な報酬を還元しない悪徳企業もあるとは思うが、多くの企業はそんな理由で給料を上げれないわけではないだろう。バブルの絶頂期であれば、「もっと給料を上げろ」と言う台詞に違和感は無かったかもしれないが、現代のような経済環境下において「もっと給料を上げろ」と言っても、なんの説得力も感じられない。今の時代で給料を上げるためには今まで以上に仕事を多く行うことが必要であり、同時に仕事の質も上げなければならない。いや、実際に多くの労働者は仕事の質も量も上げてはいるが、それでも給料は上がらない。むしろ、下がっている人の方が多いかもしれない。それは、世界経済における日本の立場的な問題が表面化した姿であり、努力したとて報われる保証は無いという厳しい労働環境が現れたということの証明でもある。
 
 そんな日本経済の優位性が損なわれた厳しい時代にあって、ほとんどなんの努力もせずに「給料を上げろ」と叫んでも虚しいだけである。そんなことを叫ぶためにメーデーなどというお祭りに参加している暇があれば、仕事の能率を上げることでも考えた方がまだましというものだ。繰り返すが、仕事の能率を上げたところで給料が上がる保証はない。それは、企業が給料を出し惜しみしているせいではなくて、世界経済における日本企業の生産性が落ちているせいだ。現代の日本は世界一物価が高く、世界一税金(間接的な税金を含む)が高いと言われている国である。如何に高い技術力を有する国とはいえ、そんな悪条件を抱えた国が成長著しい世界の新興企業とどこまでまともに競争していけるかは不明であり、現にその優位性を失いつつある日本経済の問題点が目の前に突き付けられているということである。その本質を理解せずして、「大企業は悪」などという世迷い言をいつまでも叫んでいても無駄というものだ。そのことをまず理解しない限り、労働条件改善の出発点に立つこともできないだろう。
 結局のところ、自分自身が置かれた立場を理解せずして、社会を改善することなどはできないということである。
 
 メーデーに参加すれば給料が上がるなどという夢のような時代はもはや終わった。これからは、メーデーに参加している無駄な時間を日本経済の生産性を考える日にでもした方がよいのではないかと思う。つまり、メーデーというものを“労働者が叫ぶ日”ではなく、“労働者が思考する日”に変える必要があるということである。
 もっとも、建前しか報じないテレビのニュースや新聞の記事を基にして思考しても全く無意味だ。日本の労働における本音論を基に思考しない限り、何の解決にもならない。そのためには、5月1日を『読書の日』という祝日にでもした方が良いかもしれない。
 
にほんブログ村 経済ブログへ

|

« 郵政国営化で確定する日本の未来 | トップページ | “浦島太郎状態”に陥った理容業界 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/199859/48248506

この記事へのトラックバック一覧です: 新『メーデー』のススメ:

« 郵政国営化で確定する日本の未来 | トップページ | “浦島太郎状態”に陥った理容業界 »