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間違った学歴社会から生まれた官僚の正体

2010081401 今月、人事院は国家公務員一般職の月給とボーナスを引き下げるよう内閣と国会に勧告した。これが実施されると、国家公務員の平均年間給与は633万円程度になるらしい。ボーナスも年間3.95ヶ月分となるらしく、ボーナスが4ヶ月割れとなるのは実に47年ぶりであるらしい。

 ボーナスが4ヶ月分を切った程度で大騒ぎ(?)になるところを観ても、国家公務員というものが如何に世間ズレしているかがよく分かる。民間では、バブル景気が弾けてからは、ボーナスが4ヶ月分も支給されるような会社の方が珍しいと思うが、彼ら公務員はバブルが崩壊してからも全く不況の影響を受けずに、ボーナスが4ヶ月分以上も支給され続けてきたことになる。むしろ、そのことの方が大きな問題だと言える。
 
 現在の公務員の給料が異常に高いことは今更言うまでもないことなので敢えて追及するつもりはないが、問題は人事院の次の発言だ。
 
「民間に比べて賃金の低い30代までの若年層の月給は、士気低下や新卒者の公務員離れを避けるため引き下げない。」

 新卒者の公務員離れを防ぐとのことだが、なぜ公務員離れがいけないことなのかが私には理解できない。むしろ、公務員離れが起こった方が良いのではないかとさえ思う。国家公務員試験に合格するような有能な新卒者であれば、わざわざ公務員にならなくても、民間の企業に就職すれば良いのではないか?と思うのだが、何か間違っているだろうか?

 公務員というものは、その名が示す通り、パブリックサーベント(公僕)である。公務員というものは必要最低限の人数は必要だが、社会情勢とともに人員も調整する必要がある職種である。そして、公務員の最大の特徴は“富を生まない”ということである。公務員自らは間接的には富を生み出すことはあっても、直接的には富を生み出すことはできない。ゆえに本当に有能な人間であるのなら、富を生まない公務員仕事を選択するよりも、富を生み出す仕事を選択してもらった方が良いに決まっている。もし「お国のために国家公務員になる」と言う人がいるのなら、「お国のために民間企業に勤める」と言うべきだと思う。なぜなら、「お国のために税金で仕事をする」よりも、「お国のために税金を納める仕事をする」と言う方が理に適っているからだ。
 
 日本では学歴の高い人間ほど、公務員に憧れるという傾向がある(国家公務員と地方公務員の違いは考えないものとする)。なぜ公務員に憧れるのかを聞いてみると、おそらく返ってくる答えは「安定しているから」ということになるのだろう。しかし、『安定』を手に入れるために学生時代に必死に受験勉強(主に暗記)をするというのはおかしくないだろうか? また、安定している職業が高給というのもどこかおかしい。そして、その『安定』自体が誰かの犠牲の上に成り立っている見せかけの『安定』でしかないとすれば?

 勉強をして有能な人間になったのであれば、本来であれば、有能な人間にしかできない“高度な仕事をすること”が目標になるはずだ。しかし日本の場合は、公務員になって“楽をすること”が目標になってしまっている。これでは何のために学問をしているのか分からないとも言える。
 無論、公務員の仕事が全て楽だとは言えないし、忙しく働いている公務員もいるとは思うが、総合的に観れば、公務員仕事は楽だということに疑いの余地はないだろう。実際にお役所などでは1日に10分程度しか働いていない公務員もいる。「そんな人はいない」との反論があるかもしれないが、実際に公務員として働いていた人が言っているのだから間違いはないだろう。(参考文献『公務員の異常な世界』)
 
 有能な人間が有能な人間にしかできない高度な仕事をして高給だというのであれば誰も文句はないだろうが、有能な人間が誰でもできるような簡単な仕事をして高給だというのでは誰も素直には納得がいかないだろう。況してほとんど仕事もしていない人間が高給だというのであれば尚更だ。
 いつ失職するか分からないようなリスクの高い仕事をして高給であるのなら誰も文句は言わないだろうが、どんな不祥事(ミス)を起こしても決してクビにならない人間が高給であるのであれば誰も素直には納得できない。
 “有能な人間が高度な仕事をして高給を得る”という当たり前の労働市場法則が機能していない不条理なシステムがこの国には存在している。その間違ったシステムを維持し続けているものこそが、日本の学歴制度だ。
 
 日本の学歴制度というものは、基本的に中国の科挙の制度を見本としているがために、学生の最終的な目標が最高学府(東大法学部)に入学し、最も優秀な人間達が官僚になることになってしまっている。本来、最も優秀な人間であれば、自分で起業するなり、もっと高度な仕事を行うことで国を発展させるということを目標にすべきところが、そうはなっていない。その間違ったシステムが日本の未来に暗い影を落としていることは言うまでもない。皮肉にも現代では優秀な人間が官僚になり国を富ますどころか国を破壊することが仕事になってしまっている。そういう悪夢のような現状を打破するためには、この国の間違った認識自体を根本的に変えなければならない。
 しかし日本の官僚制度を改革することはアメリカのCIAでも不可能だと言われている。そのことからも、間違った学歴社会を打破することも不可能に近い難題だと言える。日本社会に頑として根を張り続ける官僚制度こそ、まさにホッブズの言うところの「リヴァイアサン」そのものであるのかもしれない。
 

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社会問題」カテゴリの記事

コメント

確かにそのとおりですね。
民間には優秀でない人材が溢れてます。
優秀でないがゆえに、企業することもできず、高度な仕事もできず、公務員を圧倒するような年収も稼げないから、税収も落ちます。
せっかく優秀な人が官僚になっていて、強力なライバルがいないはずなのに、無能であるから起業も高度な仕事もできない。
できることと言えば、公務員は無能な自分以下の給料であるべきだ、と叫ぶことくらいです。
ま、優秀な人が民間に入ってきてガンガン稼いでも、優秀でない人の給料が上がるかというと、それはどうかな、と思いますけどね。

投稿: クロコダイルPOP | 2010年8月16日 (月) 23時21分

クロコダイルPOP様

コメント、有り難うございます。

 官僚の明晰な頭脳があればどこの企業の入社試験でもパスするかもしれませんが、必ずしも“仕事ができる”とは限りません。その証拠に官僚を辞めて民間企業に転職するような人は滅多にいません。
 本当に優秀だと言えるのは、官僚を辞めても民間企業で務まるような人間でしょうね。しかし、そういった本当に優秀な人間は、民間で務まらない官僚達から嫉妬されるというのが日本という国です。優秀な官僚が民間企業に行きたがらない理由は案外そういうところにあるのかもしれません。

投稿: 管理人 | 2010年8月17日 (火) 21時10分

んー、民間企業で仕事ができないと、本当に優秀とは言えないので、給料を下げろっていうことでしょうか?
イチロー選手も野球選手でなければ億単位の年俸は貰えなかったかもしれないし、小室哲哉も民間企業で働いていれば100億稼ぐことはできなかったはずです。
民間企業に適性が無い人に、給料高くてムカつくから民間企業にいけ、というのは無茶な気がします(苦笑)。

投稿: クロコダイルPOP | 2010年8月17日 (火) 23時34分

クロコダイルPOP様

コメント、有り難うございます。

>んー、民間企業で仕事ができないと、本当に優秀とは言えないので、給料を下げろっていうことでしょうか?

 別に給料を下げろとは言っていません。本当に有能な人であれば、官僚でも民間でも独りでも仕事ができると言っているだけです。ただ、ほとんど仕事をしていない人間が高給だというのは常識的におかしい(=給料を下げるべき)とは思っています。

>イチロー選手も野球選手でなければ億単位の年俸は貰えなかったかもしれないし、小室哲哉も民間企業で働いていれば100億稼ぐことはできなかったはずです。

 民間企業で仕事ができる人だけが優秀だと言っているのではありません。それにイチローと小室哲哉は“公務員”ではなく、職業的に独立を果たした人間です。

>民間企業に適性が無い人に、給料高くてムカつくから民間企業にいけ、というのは無茶な気がします(苦笑)。

 民間企業に適性が無い人は、公務員になるよりも独立して起業するという道もあるということです。先程のイチローや小室哲哉のような才能がある人がわざわざ公務員になる必要はないということですね。彼らがその才能を発揮することによって経済効果は上がったはずですから、公務員になるより良かったはずです。まあ小室氏の場合は別の問題が発生しましたが…。

投稿: 管理人 | 2010年8月18日 (水) 21時16分

公務員の給料についての話になると、「もし民間企業なら」みたいな仮定で語られることが多いですよね。
で、思うんですよ、もし民間企業なら、高い給料を貰いたい場合、収益をアップさせるような働きをすればいいわけです。
つまり公務員が高給を貰いたいなら、税金を沢山納めてもらえるようにすればいい。
もうひとつ、もし民間企業なら、給料のランクが低い者の仕事は高い者よりは、常識的に質が悪かったりします。
そもそも、公務員の給料が高いというのは誤解で、民間企業の給料が低いんじゃないかっていう疑いもあります。
それは、無駄な頑張りをするだけの無能な民間企業の社員のせいかもしれないし、内部留保ばっかり増やし続けて社員の給料を上げない経営者のせいかもしれないです。

クドイかもしれませんが、「もし民間企業なら」、給料が下がるのは売り上げや収益の悪化が起点になることが多いので、公務員の給料が民間企業より割高になったのは、納税者の稼ぎが悪いってことでもあり、税金が安すぎるってことでもあるんですよ。

PS.いつも丁寧な回答ありがとうございます。

投稿: クロコダイルPOP | 2010年8月19日 (木) 22時50分

クロコダイルPOP様

コメント、有り難うございます。

>もし民間企業なら、高い給料を貰いたい場合、収益をアップさせるような働きをすればいいわけです。

 ほとんどの民間企業は能力給ではなく年功給であるため、どれだけ仕事をこなしても分配(悪く言えば搾取)制度が優先され、給料は一律平等というような感じに近いと思います。頑張った人間が損をするという悪い意味での共産主義になっているというのが日本企業の特徴ですから。

>つまり公務員が高給を貰いたいなら、税金を沢山納めてもらえるようにすればいい。

 その通り。しかしそれができていない…と言うよりも逆のことを行っているのが、この国の役人達の実態です。この件については、いずれブログの記事に書きたいと思っています。

>もうひとつ、もし民間企業なら、給料のランクが低い者の仕事は高い者よりは、常識的に質が悪かったりします。

 それは経験上、一概には言えないと思います。年功序列制度というものは、基本的に仕事の能力を無視した制度ですから、個人の仕事の質を正当に評価できないのは至極当然のことです。

>そもそも、公務員の給料が高いというのは誤解で、民間企業の給料が低いんじゃないかっていう疑いもあります。

 私が言いたいのは、同一労働同一賃金が実現できていないということです。公務員であれ民間であれ、それは同じことです。

>公務員の給料が民間企業より割高になったのは、納税者の稼ぎが悪いってことでもあり、税金が安すぎるってことでもあるんですよ。

 ?? それは論理的に矛盾していないでしょうか? 納税者の稼ぎ次第で公務員の給料が決まる(納税者の稼ぎが悪い)のであれば、公務員の給料も民間に比例して下がるのが普通ではないでしょうか? 民間の稼ぎがよくて公務員の給料が高いというのであれば、あなたの言われる通りかもしれませんが、実際は逆の状態になっています。
 もう1点追加すると、民間企業は無い袖は振れません。しかし公務員の場合は無い袖が振れます。税収が足りないのに給料がほとんど下がらないということは、公務員の場合、税収とは無関係に給料設定がなされているということです。
 民間企業は無い袖は振れないので、ある程度の内部留保がなければ経営を続けていくことができなくなるリスクがありますが、公務員の場合は元々、内部留保などをする必要がないわけですから、民間人と公務員を同じ土俵の上で考えることには無理があると思います。

投稿: 管理人 | 2010年8月20日 (金) 22時21分

そのとおりです。
民間は民間であり、公務員は公務員です。
民間企業にも、数は多くないですが、低労力でありながら、わりと賃金が高い仕事があります。
もし民間企業なら、「うらやましい」とか「俺もやりたい」ですむ話であり、ヒステリックに「給料を下げろ!」ということにはなりません。
さらに、もし民間企業なら、購入者側の賃金低下によって払える金額が減った場合、買えるサービスの質も悪くなりがちです。
でも、賃金が2000万円と200万円では、納税額もひと桁違うから、賃金200万円の者は舗装された道路を通るな、とは言えないわけです。
民間企業なら言えることが言えない。
僕が言いたかったのは、「もし民間企業なら」と「公ぼくなのに」という言葉を、ズルく使い分けるマスコミのやり方に影響されちゃってませんか?、ってことです。

投稿: クロコダイルPOP | 2010年8月21日 (土) 15時53分

いつも楽しく観ております。
また遊びにきます。
ありがとうございます。

投稿: 履歴書の添え状 | 2010年9月 3日 (金) 10時35分

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