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書店のブックカバー節約とバタフライ効果

2010082701 最近、書店で本を買うと必ずと言っていいほど聞かれる台詞がある。それは、店員からの「ブックカバーはどうされますか?」という台詞だ。書店側にしても店員に対してコスト削減を徹底しているのかもしれないが、同時に何冊の本を買ってもこの台詞を聞くことになる。

 先日も2冊で4000円程の本を(2回)購入したにも関わらず、いずれも「ブックカバーはどうされますか?」と尋ねられた。
 新書1冊程度ではブックカバーを付けるのは勿体ないというのは理解できるのだが、単行本を数冊購入してもブックカバーを進んでサービスしないというのはどうかと思う。私の場合、現在はマイカー通勤なのでブックカバーが絶対に必要というわけではない。しかし、店員はそのことを知らないわけだから、電車通勤である場合を想定してブックカバーを付けるべきだと思う。
 アマゾンが配送料無料の大盤振る舞い(?)サービスを行っている時代にあって、ブックカバーもサービスしないというのは考えものだ。わざわざガソリン代と時間をかけて書店まで出向いて購入しているにも関わらず、その御礼(?)としてのブックカバーすら付けないという姿勢は如何なものかと思ってしまう。
 
 不況の影響で各業界が小さなコスト削減を行うと、そのコスト削減の波は様々な業界に及ぶことになる。例えば、本が売れないからという理由で、書店が経費削減のためにブックカバーを付けなくなると、ブックカバーの元になる製紙会社も影響を受け、ブックカバーを書店に販売している印刷会社なども仕事量が減少することになる。“本の売れ行きが減少している”という理由だけでなく“書店のコスト削減”という副次的な理由で様々な業界の仕事量が減少してしまうことになる。
 
 書店の小さなコスト削減でさえも巡り巡って全ての国民に影響を与えることになる。これぞ、まさしくバタフライ効果※と言えなくもないが、最終的には書店がブックカバーをケチったことによって、書店の本が売れなくなるという堂々巡りも有り得るということである。この悪循環スパイラルこそが、不況の正体である。
 逆に言うと、景気が良い時というのは、好循環スパイラルが発生しているということになる。書店は何も言わずとも勝手にブックカバーをサービスしていた時代、または、タクシーに乗っても乗車料金以外にチップを支払うという気前の良かった時代、そういった時代には好循環スパイラルが自然に発生していたわけだ。

 本来であれば、不況であるからこそお金を使わなければいけないのだが、人々は不況であるがゆえにお金を使わなくなってしまう。しかし、お金を使わなければ景気は良くならない。当たり前の話ではあるのだが、その単純な事実が解っていながら解決策を実践できないのが人間の悲しい性(さが)である。
 ゆえに政府やマスコミは「不況だから将来のためにも貯金をしましょう」というようなネガティブキャンペーンばかり行うのではなく、本来であれば「不況だからこそお金を使うようにしましょう」というポジティブなキャンペーンを行わなければならないということである。
 
※ 通常なら無視してしまうような極めて小さな差が、やがては無視できない大きな差となる現象のこと

 ところで、日本の書店業界に突如として現れたアマゾン書店は、既存書店から見ればまさに「黒船」とも呼べる存在だ。既存書店はこの巨大なオンライン書店に丸ごと呑み込まれそうな雲行きだが、はたしてこの現状を打破する策はないものだろうかと最近少し考えてみた。
 1つだけ浮かんだ案は、いくつかの書店が連合して、半径30キロ程度の地域単位で「ミニアマゾン書店」とも言えるような書店を試験的(?)に作ってみればどうかというものだった。(東京、大阪、名古屋などの都市部が中心になる)
 「それではアマゾンの真似をしただけで無意味だ」と思われる人がいるかもしれないが、その書店はアマゾンではできないサービスを行うことが可能だ。そのサービスとは「無料の即日配達」というものだ。(アマゾンでも即日配達が可能だが、距離的に不可能な場合もあり、500円の追加費用がかかる)
 半径30キロ程度であれば、電話やネットから注文すれば、その日のうちにバイク便なり宅配便で配達可能だ。要するに地域限定の日本版アマゾン書店を作ってみてはどうか?ということである。
 日本ではいろんな意味で無理があるかもしれないが、それぐらい抜本的な変化でも起こさない限り、アマゾンという巨船には対抗できそうにない。元々、消費者寄りの発想が乏しかった既存書店がアマゾンという消費者寄りの書店に対抗するためには、消費者の痒い所に手が届く商売方法を考えて実践するしかない。書店がピザのような感覚で本を販売してはならないという決まり事はないわけだから、本の宅配商売が有ってもおかしくはないだろう。
 
 既存書店がこのまま何の変化もせずに過ごしていると、あるいはミニアマゾン書店の設立もアマゾンに先を越されてしまう可能性もある。地域限定の(と言うか、全ての地域にネットワーク化された)アマゾン書店などが現れると、それこそ、日本の既存書店は全て呑み込まれてしまうことになるかもしれない。
 近い将来、日本の書店は全て『アマゾン書店』になってしまったというようなニュースが聞かれないことを願いたいものだ。

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コメント

アマゾンが無料配達してる時代に書店がブックカバーすらケチるとはサービスがなっとらんとのことですが、まぁ私もケチな店だなとは思います
でも黙ってカバーをサービスして使わない人に捨てられるのが一番もったいなくないですか
他の例だとマイ箸持ってる人がお弁当買ったら割りばしつけられて、せっかくだから割りばし使って食べるみたいな
買う時にひとこと確認するだけで無駄が省けるならやる意味はあると思います好況不況と関係なく
むしろ調子がいい時になぁなぁのサービスするのが問題だと思います
企業が不況のためにコスト削減したら収益増えたなんて聞きますが好況の時に同じことしてたらもっと稼げたんじゃないかと
経済っていろんな無駄の上に成り立ってるんですかね
古い記事への勝手なコメントですが最後まで読んで下さりありがとうございました。

投稿: へたれ学生 | 2011年11月25日 (金) 22時28分

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