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アマゾン1円販売モデルの行方

2010091801 このところ、商品の配送料を無料にして話題を集めていたアマゾンだが、またまた思い切った(?)値下げを行ったようだ。既にご存知の方も多いと思うが、アマゾンマーケットプレイスで販売されている書籍の配送料が340円から250円に値下げされた。(今のところ半年間限定での試行ということらしい)
 
 古本の配送料が340円から250円に下がるのは消費者にとっては有難いことだが、出品者にとっては悩ましいところだろうと思う。出品者達はマーケットプレイスというオンライン古本市場でこれまで築いてきた独自のビジネスモデルをまた1から組み直さなければならなくなる。例えば、マーケットプレイス名物(?)だった“1円商品”は姿を消すことになるかもしれない。(理由は後述する)
 
 私もマーケットプレイスはよく利用する。もちろん、買うオンリーなので、今回の値下げは喜ばしい。私の場合、基本的に新書などは通常の書店で買うことにしている。仮に1冊800円程度の新書がマーケットプレイスで半額で出品されていたとしても、配送料の340円が加算されることで結局、新品で購入する金額とほとんど変わらなくなる(400円+340円=760円)ためだ。
 しかし、今回のような値下げが行われると、先の例で言えば、400円+250円=650円となるので、少し考えさせられる。あくまでも半額以下で販売されていた場合の話だが、毎月数冊以上の新書を購入するような多読の人ほど、マーケットプレイスに傾斜していくのではないかと推測される。
 
 話を1円販売モデルに戻そう。アマゾンマーケットプレイスではよく1円で古本が出品されている。かつては私も、1円で販売してどうやって利益を出しているのか不思議に思っていたことがあったが、調べてみると、その謎のビジネスモデルは以下のようなものだった。
 
 (1円+340円)ー(160円+80円+100円)=1円
 
 上記計算式を項目名で表すと以下のようになる。
 
 (商品+配送料)ー(郵送料金+カテゴリー成約料金+基本成約料金)=1円
 
 これだと、確かにマイナスにはならない。本当は上記式の右側の項目には「販売手数料」(15%)というものも存在するが、1円の商品であれば販売手数料はかからない。(1円に15%を掛けても0円になるため)
 しかし、1円の利益では手間代を考えるとマイナスなので、この状態では誰も1円では出品しないだろう。ではなぜ、1円で出品している人がいるのかというと、大口業者(書店など)の場合は、基本成約料金である100円を支払わなくてもよい(その代わりに月額4900円の登録費用がかかる)という決まり事があるためだ。1ヶ月に50個以上の商品を売買する業者であれば、4900円の固定料金を支払った方がプラスになる。
 大口業者の場合、1円で出品しても101円の利益が出る販売モデルとなっているために、1円商品というものが存在しているわけだ。
 しかし、今回の値下げによって、利益率は大幅に減少することになる。配送料は90円値下げだが、出品者がアマゾンに支払うカテゴリー成約料金は逆に80円から60円に値下げされるそうなので、実質の利益は70円下がることになる。一応、数式化すると以下のようになる。

(個人の場合)
 (1円+250円)ー(160円+60円+100円)= ー69円
 
 大口業者でない場合、明らかにに赤字(69円の赤字)となるので、70円以下で出品する個人出品者はいなくなるだろう。
 
 では大口業者の場合はどうか? 以下に数式化すると、
 
 (1円+250円)ー(160円+60円+0円)= 31円
 
 大口業者の場合、配送料が250円になったとしても、まだ31円の利益が出る計算になる。さらに大口業者の場合、大量の商品を取り扱っていれば一括発送によって郵送料も若干下げることができる可能性もある。
 しかし、1冊30円程度の利益では梱包する手間や人件費を維持できなくなる可能性があるので、結果的には、1円販売モデルは消滅するか、残ったとしても激減することになるだろうと思う。それこそ、“珍しい”という意味でのアマゾン名物となる可能性がある。
 
 見せかけ上、本を1冊1円で販売できるというビジネスモデル自体が、本当に正しい販売モデルだったかと言えば、何とも言えない部分があるが、1円の商品が70円になったとしても支払う合計額が同じであるなら、誰も文句はないはずだ。
 それと、アマゾンはアフィリエイトも行っているが、1円の商品では紹介手数料を支払うことができないという難点があった。3.5%の紹介料を支払うアフィリエイトの場合、商品の値段は最低でも29円にしなければ成り立たない(29円×0.035=1.015円)わけだから、アフィリエイターにとっても今回の料金改定は納得のいくものなのだろうと思う。
 
 アマゾンマーケットプレイスの1円商品販売モデルは、販売トリックとしては成り立つビジネスモデルだったわけだが、その販売モデルが崩壊したからといって、消費者が損をするわけではない。では販売者が損をするのか?と言えば、そうでもない。元締めのアマゾン自体の売上げはおそらくアップするだろうし、出品者もこぞって値上げをすれば損はしない。大口業者と個人出品者の売上の差が開くことにはなるだろうが、その責任がアマゾンにあるわけでもない。アマゾンのシステムの隙間を埋める形で出品者達が勝手に築いた商売が成り立たなくなったとしても、それがアマゾンの責任だとは言えない。
 
 しかし、アマゾン自体もマーケットプレイスに集った個人出品者から元締め料を取っていたわけだから、アマゾン側としてもビジネスパートナーである個人出品者の動向を無視するわけにはいかないだろう。今後も増え続けることが予想されていた個人出品者がこれを機に減少に転じれば、考え直す可能性もあるだろう。
 これまで配送料の関係でマーケットプレイスで購入されていなかった商品の売上げは間違いなく伸びるだろうが、アマゾン側としては、マーケットプレイスの出品者自体が減少しても困るわけだから、配送料250円モデルは本当に期間限定で終了となる可能性も否定できない。
 同じように期間限定だったはずの牛丼1杯250円セールは未だ続いているようだが、アマゾンマーケットプレイスの配送料250円セールは果たしてどこまで続いていくのだろうか? アマゾンの新ビジネスプランは功を奏するか? その結果をブログで報告するまでの間、興味深く観察させてもらおうと思う。

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