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リスクを無視する司法関係者達

2010103001 昨日、以下のような興味深い裁判報道があった。

 高木証券から不動産投資ファンドを購入した大阪府内の60〜70代の男女3人が「十分なリスク説明なしに購入させられ損失を被った」として、同社に計約2億3400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で大阪地裁は28日、同社の説明義務違反を認め、計約7900万円の支払いを命じた。【日本経済新聞より】

 高木証券の営業が実際にどのような勧誘をしたのかは定かではないが、常識的に考えれば、これは無茶苦茶な判決であると言える。訴えを起こす方も起こす方だが、判決を出す裁判官も裁判官である。
 「ファンド」と名の付くものには基本的にリスクは付き物であり、購入した債券が暴落してしまったとしても、それはあくまでも自己責任である。監禁でもされて無理矢理に買わされたとか、「100%損はしない」という契約でも結んでいない以上、責任は買った本人にあると考えるべきだ。仮に詐欺まがいの強引な勧誘であったとしても、最終的に買うか買わないかを判断する自由が本人に与えられていたのであれば、やはり買った側にも大きな責任がある。それがまともな資本主義社会の常識だ。リスクを背負うことが嫌なのであれば、初めからファンドなどを購入せずに銀行の定期預金でも選択するしかない。

 「証券会社のリスク説明が不十分だった」ということらしいが、買った本人自身は全くノーリスクで高額な運用益を得られるとでも思っていたのだろうか? もしそんな都合のよいファンドがあるなら、世間一般の人々はこぞって銀行預金を解約して、ファンドに資金を注ぎ込むようになるだろう。しかし実際にはそんなことが起こっていないということは、値下がりリスクが有るということであり、それを知らなかったというのは、あまりにも都合のよい話である。もし逆に大きく儲かっていればどうしたのだろうか? 「説明もなしに儲かったので寄付します」とでも言うのだろうか?

 3人で2億円以上も損害賠償請求しているところをみると、おそらく1人当たり1億円近い資金を注ぎ込んだのだろうと思われるが、一体どれだけの資産があれば、それだけの資金を不動産ファンドに注ぎ込めるのだろうか? それだけの余剰資金を保有している人達が、投資やファンドに全く関心が無かったというのも可笑しな話である。

 この訴えに対し、大阪地裁は原告側の過失を約3割とし、3割分である7900万円の支払いを高木証券に命じた。原告側(訴えている側)の過失が3割で、なぜ被告側(高木証券)の支払う損害賠償額が3割になるのかは意味不明だが、結局、7割はリスク説明を怠った高木証券が悪いということらしい。しかし、7割や3割という数字は、一体なにを基準に決められたのだろうか? 損害賠償請求額が1億円であれば3000万円、3億円であれば9000千万円になってしまうのだろうか? こんな数字に法的根拠があるとは到底思えない。どう考えてもこれは単なる心証判断であり、こんな感情論に傾いたいい加減な判決を出してしまうと、今後も投資で損害を被ったという訴訟が相次ぐことになる可能性も否定できない。
 そんなことになると、証券会社は、ほとんど無意味なコンプライアンス(徹底的な説明をする義務)を行わなければならなくなり、説明不要のお客にさえも、1から100まで事細かく説明しなければならなくなってしまう。それが如何に非効率なことか解らないのだろうか? そもそもそんな窮屈な社会になれば、証券会社は訴訟リスクを恐れて縮み上がり、ただでさえ投資意欲の減退した日本社会がますます投資不足となり、日本経済も疲弊していくことに繋がってしまう。

 無意味で幼稚な裁判ごっこが日夜繰り広げられると、裁判官や弁護士などの司法関係者は忙しくなるかもしれないが、日本経済は無茶苦茶になってしまう危険性がある。裁判官が市場を無視したデタラメな判決を出してしまうと、社会的な混乱が発生し、経済が破壊されてしまうかもしれないというリスクをもっと考えなければならない。
 今回の判決にしても、感情論ではなく、何がいけなかったのか?という本質をもっと追及するべきだ。それができないのであれば、なんのために裁判官が存在しているのかが分からなくなってしまう。一般人にでもできるような場当たり的な判決を出すだけなら、裁判官の威厳など無いに等しい。

 ライブドア事件の時もそうだったが、この国の司法関係者(検察や裁判官)はもっと市場経済について勉強する必要があると思う。本来、司法関係者は、一般人を超越した高度な知性を有していなければ仕事が務まらないはずだ。一般人から尊敬されるべき裁判官が、市場経済を理解せず、リスクについての認識もほとんど皆無では話にならない。
 市場やリスクに無知な共産主義者が市場経済を判定すれば、どう転んでも「市場経済は悪」という判決に成らざるを得ないわけだ。現代の司法関係者は法律以前に市場経済、いや、まず常識を学習した方がよいのではないかと言いたくもなる。

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