« 漢字の読み書きとリテラシー | トップページ | 交通費無料ビジネスの台頭 »

タイムカードという『性悪説アイテム』

2010112901 シチズンHDが男性ビジネスマンを対象に行った生活アンケート調査によると、1日の勤務時間は8時間39分となり30年前の水準まで減少したらしい。その原因は「不況によって残業時間が減少した」ことであるらしい。
 
 この調査した勤務時間に「サービス残業」というものが入っているのかどうかは分からないので何とも言えないが、世の中には不況によって逆に勤務時間が伸びたという人も大勢いるのではないかと思う。
 不況の影響で人員整理(リストラ)がなされ、それまで2人で行っていたような仕事を1人でこなさなければならなくなったという人であれば、当然のことながら勤務時間が伸びてしまう。1人でできるような仕事を2人で行っていたというような場合は話は別だが、サボらずに目一杯働いていた人であれば、不況の影響で勤務時間が伸びたという人も大勢いるはずだ。
 日本全体としてのビジネスマンの勤務時間は減少したのかもしれないが、それはあくまでも平均値であって、個別に観れば、仕事が忙しくなった人と仕事が暇になった人の生活格差は拡大しているはずである。
 
 仕事を行う能率性というものには大きな個人差があり、勤務時間の長短によって一概にその人物の仕事量を計ることはできない。それゆえに勤務時間の調査というものは、マクロ的には参考になったとしても、ミクロ的に観れば、曖昧な調査になりがちである。
 その曖昧な勤務時間を計るアイテムとして『タイムカード』というものがある。サラリーマンであれば知らない人はいない定番アイテムだ。ちなみに公務員の世界には基本的にタイムカードというものは存在しないらしい。【参考文献:公務員の異常な世界】

 私もタイムカードとは長い付き合いになるが、随分と前からタイムカードというものには、ある種の疑問を抱いている。何が疑問であるのかというと、一律に全ての従業員の労働価値をタイムカードで計るということに対してである。現代のような労働自体が複雑化した社会で、能力の違う個々人の労働価値を時間だけで計るというのは、どう考えても無理があると言わざるを得ないからだ。

 企業がタイムカードを使用するのには主として2つの目的がある。1つは、従業員が時間通りに出社しているか(遅刻していないか)を調べるため。そして、もう1つが、退社時間がいつだったか(残業を何時間行ったか)を調べるためだが、現代ではタイムカードの目的自体が有効に機能していないのではないかと思う。交代制のシフト勤務のような仕事であればタイムカードの必要性も有るのかもしれないが、一般的なサラリーマン勤務であれば、特に必要だとは思えないというのが率直な感想だ。
 
 まず、1つ目の目的からいくと、朝から遅刻せずに真面目に出社してくる従業員にとってはタイムカードを押す必要性はあまり感じられない。私も毎日始業時間の30分前には会社に到着しているが、始業前に仕事を行っていたからといって早出手当が付くわけでもない。しかし、毎日30分前から仕事を行っていたとしても、ある日、1分でも遅刻すれば、遅刻扱いとなって減給となってしまうのだから、よく考えると不条理なカードである。勤務時間的には1日30分として1ヶ月間(20日間と考える)で10時間分の貯金(貯時間)があるはずなのに、1分遅れただけでマイナスとなってしまうのだから、真面目に働いている人間が馬鹿を見るカードとも言える。
 私が思うに、出社時にタイムカードを押す必要があるのは、頻繁に遅刻するような(時間の貯えが無い)人だけでいいのではないかと思う。
 
 2つ目の目的の場合も、現代ではタイムカードの退社時間通りに残業代が支給されるような会社はあまりないと思われるので、残業時間をタイムカードで運用する必要性はないような気がする。流れ作業のパートタイム勤務であれば時間通りに残業代が支給される必要があると思うが、大抵の仕事は時間で計れないものであるので、タイムカード通りに残業代を支払うようなバブリーな会社はもはやほとんど存在しないのではないかと思う。
 現代は公務員の『空残業』というものが問題となる時代(それが真っ当な時代だと言えるが)であるのだから、空残業が許されるような民間企業はそうそう無いはずだ。ウチの会社もそうだが、現代ではタイムカードとは別に『残業申請書』を提出しなければならないような会社が増えている。
 個人的には残業時間の申請制度には賛成だが、そういう制度が有る会社であれば、尚更、タイムカードを押す必要は無いのではないかと思う。
 
 以上のことから何が言えるのかと言うと、「真面目な従業員にとってタイムカードを押すメリットは無い」ということである。
 早出と残業は管理せず、遅刻と早退だけは都合よく管理するというのだから、真面目な従業員にとってはデメリットしかない。しかし、遅刻ギリギリに出社してくるような人や、定時まで働けばそれでいいというような人にとっては、労働者としての権利を要求できる切り札的なカードになっているのかもしれない。
 
 なんにせよ、現代のタイムカードとは、従業員のプラス面を計るカードではなく、マイナス面のみを計るカードに変貌してしまっているということである。つまり、不真面目な従業員にしか意味を為さない有り難迷惑な『性悪説アイテム』というのが、タイムカードの実態なのである。

 しかし考えるに、「性悪説」で国家を運営していると思われるお役所に『性悪説アイテム』であるタイムカードが存在しないというのも可笑しな話である。

にほんブログ村 経済ブログへ

|

« 漢字の読み書きとリテラシー | トップページ | 交通費無料ビジネスの台頭 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

> ちなみに公務員の世界には基本的にタイムカードというものは存在しないらしい。【参考文献:公務員の異常な世界】

お願いです。
役所の外郭団体で、少々、非常勤職員をやってただけの人の本を真に受けないでください。

私、都道府県・市町村・外回り等、複数の役所をハシゴしましたが、タイムカードが存在しなかったのは、1部署だけ。
職員2・3人の出先にすら、タイムカードは存在しましたし、残業申告も普通に存在しましたよ。
タイムカードのなかった唯一の部署は、深夜勤務(=もちろんサビ残)が日常でしたので、タイムカードをきっちり押すと、労働基準監督署に差し込まれる証拠にww
まぁ、すでに時効ですが。

投稿: k.k. | 2010年12月 6日 (月) 21時55分

k.k.様

コメント、有り難うございます。

 タイムカードのある役所が存在していたとは知りませんでした。しかし、ネットで“公務員”“タイムカード”で検索すると、公務員がタイムカードを使用していないことが結構問題視されているみたいです。公務員に転職してタイムカードが無かったことに驚かれたと言っている人もいるみたいです。果たしてどちらが本当なんでしょう?

投稿: 管理人 | 2010年12月 6日 (月) 23時17分

レスありがとうございます。

あくまで、私の経験則なので、全国津々浦々までは保証できませんが、勝手な想像をすると。

タイムカードがない → 問題になる → ネタになる。

タイムカードがある → 当然のこと → ネタにならない。

・・・程度のものではないかと。

興味がおありのようでしたら、とりあえず、お住いの自治体にTELすれば、業界の一端は垣間見れるかと存じます。

おじゃましました。

投稿: k.k. | 2010年12月19日 (日) 23時14分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/199859/50166477

この記事へのトラックバック一覧です: タイムカードという『性悪説アイテム』:

» タクティクスオウガ 運命の輪 [ゲーム攻略]
ストーリーがゲーム攻略 [続きを読む]

受信: 2010年12月 9日 (木) 14時26分

« 漢字の読み書きとリテラシー | トップページ | 交通費無料ビジネスの台頭 »