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萎縮する日本経済と5000兆円の余剰資金

2011010201 この正月に録画した『朝まで生テレビ!』を観てみた。テーマは『萎縮する日本』ということで、現在の日本の閉塞感の原因はどこにあるのか?ということが論じられており、最終的には日本が萎縮した1番の原因は「メディア」に有るという結論が朧げながらに伝えられていた。
 
 パネラーの池田信夫氏と森永卓郎氏のやり取りには笑えたが、森永氏は「お金を大量に刷ってバラまけばインフレになる」というようなことを述べていた。
 お金を大量に刷ってバラまけばインフレになるというのは、確かにその通りなのだが、それはあくまでも一時的なものである。そして、仮にインフレになったとしても、それが良いことだとは一概には言えない。いつからか日本では《インフレ=好況》《デフレ=不況》という思い込み論が常識化してしまっており、まともなインフレ論、デフレ論はほとんど聞かれない。
 多くの経済学者やエコノミストは「デフレ」を不況と思い込んでいるフシがあり、“デフレから脱することが景気回復”だというような誤った情報を垂れ流して人々をミスリードしているように思われる。
 
 「物価が上がれば景気が良くなる」というのは、100円ショップで売られている商品が200円になったとして、それで景気が良くなったと言っているのと同じようなものである。
 あるいは牛丼が250円から500円に値上がりしたとして、あなたは景気が良くなったと思えるだろうか? おそらく誰も思えないだろう。なぜなら、そこには景気の善し悪しを決める『収入』という概念がスッポリと抜け落ちてしまっているからだ。
 景気(景況感)の善し悪しというのは、物価の高低だけで決定するのではなく、物価に対する収入の高低、つまり物価と収入のバランスで決定されるものだ。物価が2倍になっても収入がそのままであれば、景気は良くなるどころか悪くなる。逆に物価が半分になっても収入がそのままであれば、景気は良くなる。こんなことは小学生でも解る理屈である。
 
 現在の日本で問題なのは“お金が足りないこと”ではなく“お金が動いていないこと”である。何兆円というお金を刷ってバラまかなくても、1400兆円とも言われる個人の金融資産(余剰資産)が有るのだから、そのお金を動かすことができれば、わざわざバラまく必要は無いわけだ。それに、お金を刷ってバラまいても、この余剰資産に加算されるだけでは、全く経済効果は無いということである。
 
 1400兆円というのは、積んでみると、実に14000kmの高さになる。日本の国土の全長が3000kmと考えれば、日本を2往復(4列並ぶ)できるというような途方もない金額である。そんなお金が日本のどこに有るのか不思議に思えるかもしれないが、これは有るか無いか判らない埋蔵金ではなく、現実に有ることが判明している資金である。
 経営コンサルタントの大前研一氏が述べているところでは、世界には4000兆円という行き場のないホームレス・マネーが彷徨っているそうだ。これが本当であれば、合計して5000兆円以上の余剰資金が有るわけだから、そのお金の一部でも市場に引っ張ってくることができれば、尚更、お金を刷ってバラまく必要は無いということになる。
 
 繰り返すが、日本経済の問題点はお金の供給量が足りないということではない。人間の血液に喩えて言い換えると、血液は十二分に有り輸血する必要はないということである。血液が足りないことが問題なのではなく、体内に滞っている血液が動いていないことが問題なのだから、その血液が滞りなく流れるようにすることができれば景気はすぐさま回復するのである。
 しかし、お金とは、需要がなければ動かない。人々がお金を支払ってでも手に入れたいと思えるような新商品や、お金以上に人々の心を酔わせる魅力的なサービスが出てこない限り、不況下にある人々はお金を使おうとはしない。そして、そういった魅力的な商品やサービスを創造するためには、束縛のない自由な環境が必要になる。
 「アレはいけない」「コレはいけない」というような規制だらけの環境では、なかなか魅力的な商品は生まれない。具体的に言えば、「こんにゃくゼリーを1cm以下にしなければならない」というような不自由な環境では、魅力的な商品など創造できるはずがないということである。
 
 もちろん、全く規制がいらないというわけではなく、時と場合によっては必要な規制もある。自由な経済活動の支障となるようなものは規制すればいい(例えば、違法コピー商品の販売など)。
 要は、規制とは自由な経済活動を縛るための規制であってはならないということである。自由な経済活動を邪魔するものだけを規制の対象にすればいいのだが、日本ではそういった区別がほとんど為されておらず、なんでもかんでも規制の対象となってしまっているために、その部分が萎縮してしまい、血液(お金)が正常に流れなくなってしまっているのである。

 人々がお金を使わなくなっている原因は、基本的には先行きの見えない不況にあると思われるが、メディアが必要以上に不況を煽っていることも1つの大きな原因になっていると思う。景気というのはその名の通り“気”のものでもあるので、あまり悲観的なネガティブ報道ばかり行うのは逆効果になってしまうということも併せて考える必要があるかもしれない。そういう意味では、『朝まで生テレビ!』の視聴者アンケートの結果(=メディアが悪い)は正しいと言える。

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