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「がんばろう!日本」から「がまんしよう!日本」へ。

2011051101 東北大震災によって「がんばろう!日本」という前向きなスローガンが生まれたが、どうやらこのままいくと、この言葉は少し変更を余儀無くされる可能性が高くなってきた。どう変更されるのかというと、次の通りだ。
 
 「がまんしよう!日本

 言葉は今迄通り「がんばろう」のままだろうが、実質は「がまんしよう」ということになる予感がする。と言うか、現実を直視すれば、そうならざるを得ないと言った方が正解かもしれない。
 
 大方の予想通り、浜岡原発の停止は受託されたが、起こるか起こらないか判らない微かなリスク(仮に起こったとしても問題が発生する可能性は限りなくゼロに近い)のために、経済成長という可能性を捨ててしまった感が強い。残念ながらそれが率直な感想である。
 近い将来に東海地方でマグニチュード10クラスの世界史上最大の未曾有の直下型大地震でも発生すれば菅総理の判断は正しかったということになるかもしれないが、それ以前に別の所で大地震が発生する可能性の方が高いのではないかと思う。

 少し前に「節電」という言葉が話題となり、その後、もしかして節電する必要がないのではないか?という安堵の空気が広まりつつあった。しかし、浜岡原発の停止によって再度、西日本まで巻き込んで「節電」という言葉がブームになろうとしている。

 福島原発の事故発生後、“電気が足りなくなる”ということで「節電を促すために電気代を上げればいい」というような自由主義者とも社会主義者とも受け取れる発言が巷で話題となった。その効果の程はさておき、この場合はあくまでも「節電するため」というのが電気代を上げる目的だった。
 しかしつい最近は、「東電の賠償費用を捻出するため」に電気代を上げるという風に変わってしまっていた。さすがにこれには多くの国民が反発した。「なぜ東電の尻拭いを国民がしなければならないのか!」と憤っていた人も多かった。
 ところが今回、浜岡原発の停止によって再度、目的が「節電」にスイッチングされたと考えられなくもない。となると、国民は電気代のアップに文句を言いづらくなってしまったということである。「節電するため」という名目で電気代を上げ、気が付かないうちに「東電の賠償費用」まで支払わさせられる可能性が出てきたということだ。

 危険だと言われてきた浜岡原発を停止することに世間の注目を集めることによって、国民からの反発を恐れずに電気代を上げることを狙ったのだとすれば、相当にズル賢い人間だと言えそうだが、菅総理を観る限り、そんな考えは毛頭なく、無意識のうちに悪い方向に舵を切ってしまったように感じられる。
 今回の菅総理の要請は、勇気ある行動というような評価をする向きもあるが、私には、そうは見えなかった。自信に満ちあふれたリーダーの勇気ある行動というより、どこか後ろめたさを内に抱えているような、危なげな空気が感じられた。

 現在の日本経済は安定した電気供給によって成り立っているとも言えるわけで、電気使用料に制限を設けられてしまえば、即座に経済に悪影響を及ぼすことになる。『節電すれば不況になる』というのは経済の基本公式のようなもので、節電して好況になるというようなことは現代では有り得ないと考えた方がいい。
 『節電=不況』、この逃れようのない単純な公式が理解できるのであれば、日本経済の近未来予測をすることは至って簡単だ。

 菅総理の判断の善悪に拘わらず、日本経済は悪化することになるだろう。原発推進論者であろうと原発反対論者であろうと、それだけは避けて通れないということを認識しておく必要がある。当然、電気代の値上げだけでなく便乗的に増税も容認したということになるだろうから、その覚悟もしておかなければならない。
 この状況下で景気を改善するというようなウルトラC的な景気改善策が有るとすれば、原子力に代わる新たなエネルギーを発見することぐらいかもしれない。
 
 「1人の命は地球よりも重いか?」というサンデル教授のような哲学的な命題があるとすれば、迷うことなく「重い」と答えるのが菅総理の考え方なのかもしれない。それが善いことなのか悪いことなのかは、ここでは述べない。しかし、今回の決断が日本の向かうべき方向性を決定づけるに足る事件であったのだと仮定すれば、日本経済に大きな悔恨を残すことになる確率は極めて高いと言わざるを得ない。その確率は東海大地震が発生する確率よりも高いことは言うまでもない。
 
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