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『月給制』の崩壊を齎す民主党

2011081201 この記事を読んでおられる人の中にも、震災(及び節電)の影響で仕事が減少したことを肌で感じておられる人が結構おられるのではないかと思う。
 また、仕事が減少することによって、「日本のサラリーマンの月給制というものが時代にそぐわなくなっている」ということに改めて気が付いた人も少なからずいるのではないかと思う。

 日本の多くの企業で採用されている月給制というものは、一般的に「固定給」と呼ばれるもので、1日にどれだけの仕事をしなければならないというノルマは無いものの、1ヶ月当たりのノルマというものは一応、存在する。1ヶ月の内に20日間働いたとして、その平均値でノルマを達成すればよいというリスクヘッジ型の給料制度でもある。

 しかし、リスクヘッジと言うからには、仕事を平均以上(=給料以上)こなさなければならない日が何日かは存在しなければならない。もし全ての日がノルマ未達成であれば、月給制度というもの自体が成り立たなくなる。

 そのため、日本の企業ではより大きな枠組みでのリスクヘッジが採られている。それが、部署間のリスクヘッジであったり、人事間でのリスクヘッジであったりする。
 前者の場合、ある部署が赤字でも、別の部署が黒字であれば、リスクヘッジとなり、後者の場合は、ある人物が万年赤字でも、ある人物が万年黒字であれば、リスクヘッジとなる。

 ちなみに、人事部などの事務部門は基本的に利益を生む部署ではないため、他の部署でそれだけの余剰利益を稼がなければならない。それができないとなると、真っ先に人員整理されるのが事務部門であったことはバブル崩壊時に多くの企業が実体験したことでもある。

 企業全体の平均でノルマを達成し採算を取ることができれば、その企業はなんとか経営していくことができる。そのような互助的な組織が日本企業の良いところでもあり悪いところでもあったが、不況の色が濃くなるにつれて、そういったリスクヘッジ型経営というもの自体が、根本的に成り立たなくなってしまったという企業は増加しているものと思われる。

 話を20数年前まで遡ると、バブル期までの日本の企業は、どこもかしこも仕事が有り余っている状態であり、リスクヘッジの月給制度というものは名ばかりで、過剰な利益が企業に転がり込み、多くのサラリーマンは本来得られるべき利益を享受することができないという、言わば搾取の対象だった。
 「年功序列」や「終身雇用」や「退職金」「企業年金」などという甘い言葉が存在したがために、搾取されていることを気にすることなく過ごすことができた時代だった。この時代では、企業的な“アメ”と“ムチ”が上手く機能していたとも言える。
 しかし、経済がグローバル化し、なおかつ日本のバブル経済が崩壊した時点で、そういった時代は取り敢えず終焉を迎えた。

 その時代の名残りか、今現在でも「企業悪玉論」や「企業内部留保論」というものが聞かれるが、こういったことを述べている人々の大部分は20年前から思考が停止してしまっている状態だと言えるのかもしれない。

 さて、もう一度、話を月給制に戻そう。
 現在の震災節電不況(民主党不況と言った方が正解かもしれないが…)で、仕事が必要以上に減少し、個人的なノルマも部署間のノルマも人事間でのノルマも達成できなくなってしまえば、企業が採るべき手段は基本的に次の2つしかない。

 1、経営破綻を待つ。
 2、リスクヘッジ経営を止める。(リストラも含む)

 1か2を選べと言われれば、通常は2を選択し、それが不可能となれば、1の選択を余儀無くされるというのが一般的であるが、日本の場合、2を選択することが極めて困難というお国柄(?)であるために、敢え無く1を選択せざるを得ないという企業も有るかもしれない。
 “リスクヘッジ経営を止める”ということは“出来高制に移行する”ということでもあるので、年功序列制度の根付いた日本の企業では、おいそれとは実現できない。
 
 しかし、よくよく考えると『月給制』というものは、計画経済寄りの社会主義的な制度である。仕事量の多寡に関係なく毎月決まった給料を支払うという制度は、計画することが可能な経済状況でしか成り立たない。では、計画することが可能な経済とはどんな経済状況か? それは、“成長または安定した経済状況”に他ならない。具体的に言えば、仕事が途切れることなく有る状態の経済状況である。

 となると、経済成長路線を端から諦め、経済停滞を前提に組み立てられた経済衰退政策を連発している民主党政権下では、現在の月給制を維持していくことは非常に困難だということになる。現在の民主党が経済成長政策へと180°舵を切らない限り、どう足掻いたところで計画経済的な制度は維持できなくなっていくと考えなければならないということである。
 
 ここで「えっ!?」と思った人がいるかもしれない。労働組合等の既得権益護持組織がバックに付いていると思われている民主党が、既得権を失うような政策をなぜ採っているのか?と思われた人もいるかもしれない。

 既得権というものも経済成長があってこそ維持が可能となるものであるが、それを維持できない政策を行っていながら既得権を維持するという全く正反対のことを行っているため、雇用における社会的な歪み(歪な格差)は更に拡大している。ここが、民主党の政策が不況を呼び込むことになると思われる1つのポイントである。

 既得権を1日でも長く維持したいのであれば、本来であれば経済成長政策を実行しなければならないにも拘わらず、それを全く無視し続けている。民主党が「経済音痴政党」と言われる所以がここにもある。

 菅総理が辞めたところで、このまま民主党が経済成長政策を無視し続けたまま暴走すると、日本の多くの企業で月給制というものは消滅することになる可能性がある。

 お断りしておくと、私は計画経済や月給制が良いと言っているわけではない。本来であれば、同一労働同一賃金をベースに個人の能力や努力の違いで、ある程度は出来高制を導入した方が良いと思っている。しかし、現在の民主党によって齎される出来高制というものは、全員が貧しくなる出来高制になる可能性が極めて高いため、賛同するわけにはいかない。
 理想は、経済が成長した上での出来高制であって、経済が衰退する前提での出来高制ではない。そんな出来高制を喜ぶサラリーマンは誰もいないはずである。
 
 ちなみに計画経済というものは、経済成長が前提のシステムだと述べたが、実はもう1つ重要な前提条件がある。それは合理化の精神(資本主義の精神)の確立である。いくら計画したところで、従業員が合理的に考えて働かない限り、計画通りにはいかないということである。

 ソ連の計画経済が失敗した原因も資本主義の精神を理解していなかったために、全ての計画が計画倒れ(=絵に描いた餅)に終わったことにある。
 皮肉なことに、社会主義者達は“資本主義の精神なき計画経済は有り得ない”ということに気が付かなかったことによって国を崩壊に導くことになったが、それは必然的に招いた結果に過ぎなかった。

 おそらく民主党の中にも資本主義の精神を理解している人はほとんど(誰も?)いないのだろうと思われる。
 現在の日本はかつてのソ連と同じような状況に陥っていると言えるのかもしれないが、日本はソ連と違って、かつては合理化の精神を体現した国でもある。まともな政策さえ採ることができれば、ソ連とは全く違った結果になる可能性も高い。しかしそのためには、絶対的に経済成長政策が必要である。
(念のためお断りしていくと、ここで話していることは精神論の類いではない)

 繰り返すが、現在の日本に必要なのは経済成長政策であり、間違っても増税政策などを選択してはいけない。増税というものは経済成長とセットで行わない限り、必ず失敗する。不況の時に行うべきは増税ではなく減税である。

 「1に雇用、2に雇用…」と言っていた菅総理を思い出すが、その雇用を創出するためにこそ、経済成長政策が必要なのである。雇用あっての経済成長ではなく、経済成長あっての雇用なのだ。

 最後に、「経済成長政策を行えばバラ色の未来が待っているのか?」という疑問(ツッコミ)があるかもしれないので、「可能性が有る」とだけ述べておきたいと思う。
 現在の経済衰退政策では、可能性どころか夢も希望も全く無いので、可能性が生まれるだけでも大きな違いだと思う。国の将来に希望が持てるか持てないかという、ほんの小さな違いで経済は如何様にも変化する可能性が有るという意味である。
 
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コメント

> 1、経営破綻を待つ。
> 2、リスクヘッジ経営を止める。(リストラも含む)

> 1か2を選べと言われれば、通常は2を選択し、それが不可能となれば、1の選択を余儀無くされるというのが一般的であるが、

ダウト。
まず人件費を上げ、国内購買力を増強し、同時に国内商品力を上げることで、支払った人件費を回収するというサイクルを造ることです。
国内企業の役割って、国民から必要とされる商品を生み出し続け、売り続けることでしょ?
既存の商品を海外で売りまくって他国の貨幣を増産させて、円高を促進させても国内経済には貢献しないっていうか。

>間違っても増税政策などを選択してはいけない。
>増税というものは経済成長とセットで行わない限り、必ず失敗する。
>不況の時に行うべきは増税ではなく減税である。

民間企業が給与を下げることも、給与所得者からすれば手取りが減るという意味で、増税とほぼ同じです。
商品購入力を落としているのです。
過去10年で一人辺り数百万円の増税に匹敵する給与削減を、民間企業がやっているのだから、経済成長しないのも必然でしょう。

投稿: クロコダイルPOP | 2011年8月23日 (火) 02時46分

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