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『相違収入同一税率』で税収は上がる

2011090901 このところ、「復興増税」という言葉を毎日耳にする。政府は東日本大震災の復興財源を確保するために増税の必要性を世に問うており、野田総理いわく「現役世代で負担を分かち合う」という目標を掲げている。
 
 確かに大震災の復興を現役世代で助け合うという方向性は正しい。と言うか、復興を目指すのであれば、そうするしか方法が無い。政府が復興財源を錬金術的に創り出すことはできないのだから、どのみち、国民が負担しなければならなくなる。
 経済成長によって復興を為すか、増税によって復興を為すかという大きな違いがあるが、どちらを選択するにせよ、国民が負担することに変わりはない。
 
 では、私は増税による復興に賛成か?というと、もちろん「反対」である。なぜなら、現在の政府が目指している増税とは、震災に便乗した無期限大増税への皮切りでしかないと思われるからだ。増税期間は20年間にするというようなことが検討されているらしいが、20年間も増税路線が継続すると、国民の感情も麻痺して、増税することが当たり前というような未来になる可能性がある。
 「復興増税」と言うからには、震災の復興が終われば、増税した税率を元に戻すという確かな約束が必要である。現在行われている復興増税論議が、「臨時増税論議」ではなく、震災を隠れ蓑にした「永久増税論議」になっていないかどうかを疑ってみる必要がある。

 衆愚政治の良いところが1つだけ有るとすれば、多くの国民は基本的に「増税に反対」ということである。バラマキには賛成の国民も増税には反対する。これは明らかに矛盾しているのだが、それが衆愚政治の特徴である。
 衆愚政治下においては、「増税」という言葉を口にすると選挙に当選できなくなるため、大抵のポピュリスト政治家は増税には触れたくないというのが本音で、増税政策には常に及び腰である。
 しかし、増税を訴えても反発されない事件が起こった場合、彼らはここぞとばかりに「増税」を口にすることになる。「増税」という言葉に「復興」という言葉をプラスすることによって、国民の情に訴えかけることで「増税止む無し」という空気を巧みに創り出し、増税肯定世論を形成するべく奔走することになる。

 半年前に発生した東日本大震災は「千年の一度の大地震」と言われたが、増税を目論む勢力にとっては、まさしく千載一遇のチャンスだったというわけである。

 本当に1日でも早い復興を目指す気概があるのであれば、そのエネルギーを経済成長政策活動へと転化してくれれば良いと思われるのだが、そう思わないところが、図らずも彼らの本性を現しているかのようである。「復興 < 増税」という本性を。

 増税して得られた税金が本当に震災の復興のためだけに使用されるのであれば、復興増税も止む無しと言えるのかもしれないが、実際のところは、どうだか判らない。そんな使用目的がいい加減な詐欺紛いの増税には簡単に賛成するわけにはいかない。そのような増税を一度でも認めてしまうと、大増税国家へまっしぐらということになってしまう危険性がある。
 
 増税論議が出てくる背景には、“税収が上がらない”という如何ともしがたい現実があるわけだが、そもそも、なぜ税収は上がらないのか?ということをもっと深く多角的に考えなければならない。
 税収が上がらないのは、景気が悪いことも1つの大きな原因だが、税金を納めたくないと思っている人が殊の外、多い(実際に納めていない人も多い)という別の理由も考える必要がある。現在の日本のような、働けば働くだけ(稼げば稼ぐだけ)税率が上がっていくというような不条理な税制も、税収が上がらない大きな理由の1つになっている。
 それに企業の節税行為は合法的にも国が認めているわけだから、法人税収に限って言えば、下がって当たり前であり、「上がらない」と嘆いても仕方がないように思う。この件については、以前に書いた記事を参考にしていただければと思う。

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 「同一労働同一賃金」的に、税金にも「相違収入同一税率」が適用されていれば、「働き損」という不条理が緩和されるので、脱税や節税行為も減少に向かい、税収は上がるはずである。
 
 かつて松下幸之助氏は、給料の90%を税金として納めていたという逸話が残っているが、汗水たらして働いたお金を9割も税金として国に持っていかれたのでは、誰もが働く意欲を失ってしまい、働かない(=税金を納めない)方が楽だというような感情を抱いてしまうことになる。
 額は違えど、現在の日本の悪平等税制もこれと同じようなもので、大金を稼ぐ(=税金を多く納める)能力を持った人物が、「適度に働いて適度に税金を払えばいい」というような後ろ向きな姿勢を当然とするようになってしまえば、必然的に税収は下がっていくということである。
 
 稼げる人間にはどんどん稼いでもらって、どんどん税金を納めてもらった方が税収も上がり、増税などする必要も無くなるかもしれない。そういった融通の利いた自由度の高い政策を実行してくれるまともな政治家が出てくることを期待したい。
 
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