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タバコ増税で判明したタバコ1箱の妥当価格

2011101201 昨年の10月にタバコの値段が大幅に引き上げられたことは記憶に新しいが、早くも1年が経過した段階での税収結果(10ヵ月間の結果)が発表された。税収は前年同期比で5.5%増加したらしく、当初、危惧されていた税収減という事態は避けられたらしい。

 以前(2006年)に行われたタバコの値上げでは税収は減少したが、今回は税収が増加した。なぜか? 答えは至って簡単で、前回とは違い大幅な値上げを行ったので、タバコ消費の減少率よりも値上げ率が上回った。ただそれだけのことである。

 マイルドセブンを例に取れば、300円から410円に値上げされたが、単純に計算すると、410÷300=約1.37倍になる。ということは、タバコの値上げによって、禁煙する人や吸う本数を減らす人がいない場合は、税収は1.37倍になるということである。(注意:実質の税率のみで考えれば違うかもしれないが、話の都合上、ここでは全体的な価格で考える)。それが、1.055倍になったということだから、タバコの消費量は30%近く減少していることになる。
 今回は中途半端な値上げでなかったことが功を奏したというだけで、決して値上げしたことがストレートに税収増に繋がったわけではない。このことは消費税の増税を考える上でも参考になるかもしれない。
 
 今回発表された数字から推測すると、もしタバコの値段を2倍(600円)程度にまで引き上げていれば、おそらく税収は減少していたものと思われる。日本禁煙学会はタバコ1箱1000円(つまり3倍以上)を求めているらしいが、そこまで値上げすれば、税収は間違いなく減収となるはずだ。
 
 今回の結果から言えることは、税収を上げるという目的を達成するためには、タバコ1箱の値段は、500円程度までが限界だろうということである。ここを学び取る必要がある。

 政府は東日本大震災の復興財源として、更にタバコ1本につき2円の増税を考えているそうだが、1箱で40円追加値上げとなれば、先の例のマイルドセブンなら1箱450円ということになる。その程度の値上げで済めば、かろうじて増収が見込めるかもしれないが、それ以上、スケベ根性を出して便乗値上げを行うと、結果的には減収となり、増税する意味が無くなってしまう可能性がある。

 日本禁煙学会は「たばこが原因で毎年約20万人が死亡しており、1箱400円は安すぎる」と述べているそうだが、「危険だから値段を上げなければならない」という理屈もどうかと思う。
 今どき、タバコが健康に悪いということを知らない大人など誰もいないわけだし、本当に健康に気を遣っている人であれば、仮にタバコが無料であったとしても吸わないだろう。

 「値段を上げれば吸う人が少なくなる」というのは、「罰金を上げれば飲酒運転が減少する」というのと同じ理屈である。これは要するに、性善な人間を抜きにした性悪説的な政策である。つまりは社会主義政策だ。国がなんでもかんでもルールを決めて指図しないと、国民は自分自身の健康も管理できないというようなお節介な思想が入り込んだ悪法だとも言える。

 私はタバコを数年前から吸っていないので、個人的な感情論を述べているわけではないことを予めお断りしておくが、タバコが健康に悪かろうと病気になる確率が高かろうと吸う人は吸う。世の中には、肺ガンを患ってもタバコを吸っている人もいるぐらいで、中には「タバコを止めるぐらいなら死んだ方がマシだ」というような人も存在する。
 タバコを吸ったからといって肺ガンになるとは限らないが、危険を承知の上でタバコを吸っている人には何を言っても無駄であり、タバコの値段を上げたところで、止めれないという人は相当数いるのではないかと思う。

 私の周りでも昨年のタバコ値上げで、数人の人が一時的にタバコを止めたものの、現在は全員が喫煙者に戻っており、本当に止めたという人はいない。皆、口を揃えて「1箱500円以上になれば止める」と言っているが、本当に止めれるのかどうかは疑わしいと思う。

 結局のところ、タバコを止める止めないは、タバコの値段の高低ではなく、本人の意志の強弱の問題だろうと思う。人間の意志をタバコの値段で操ろうとしても無理がある。
 自分自身の心をコントロールできるのは自分だけであり、他人がお節介を焼いたところで無駄に終わるのは世の常である。タバコの値段を弄ることで経済をコントロールしようなどという社会主義的な政策は、あまり深入りし過ぎると手痛いしっぺ返しを食らうことになる。

 タバコの値段を大幅に上げたことによって、予想外の税収増を齎したことに気を良くし、「消費税率も大幅に上げよう」などと言い出す馬鹿な政治家やトンデモ評論家が出てくるかもしれないので注意しよう。
 
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社会問題」カテゴリの記事

コメント

たばこを際限なく値上げすればどうなるでしょうか?

大麻を見れば一目瞭然ですね。しかも大麻と違ってたばこは所持自体は合法ですから、大麻と同じルートで流せばいいだけです。

銘柄にこだわる人は高い税金を払って下さいな。

投稿: Hash | 2011年10月13日 (木) 13時01分

>結局のところ、タバコを止める止めないは、タバコの値段の高低ではなく、本人の意志の強弱の問題だろうと思う。

病気は意志で治る、というのは暴言ですね。

投稿: 紫力 | 2011年10月13日 (木) 16時26分

>私の周りでも昨年のタバコ値上げで、数人の人が一時的にタバコを止めたものの、現在は全員が喫煙者に戻っており、本当に止めたという人はいない。皆、口を揃えて「1箱500円以上になれば止める」と言っているが、本当に止めれるのかどうかは疑わしいと思う。

この主張からすると,税収アップは時間遅れでついてくるのでは.
もしそれが事実なら値段どんどんあげちゃえばいいのに.

投稿: | 2011年10月13日 (木) 19時13分

いやあ。喫煙は脳に良くないことがよく分かる文章だわ。
数年間タバコを止めたくらいじゃ頭の働きは回復しないようですね。
この短い文章の中で見事に自己矛盾しているのに、それに気が付いていない。

前半で、タバコを値上げしたら、売上が激減するから税収が減少すると言っておきながら、
後半では、タバコを値上げしても、喫煙者は減らないから健康に貢献しないと言っている。
どっちやねん。
それとも何か?
喫煙者はタバコを買わずに自分で栽培して吸うとでも言うのか?
もしくは喫煙者一人当りの喫煙本数が減っても健康に貢献しないと言い張るのか?

タバコを値上げして、売上が激減するのなら、
それだけ国民が健康になるのだから問題ないだろう。
それにより医療費を削減できるからタバコ税の減少くらい相殺される。
タバコを値上げしても、喫煙者が減らないのなら、タバコ税での収入が増えるから大歓迎。
どちらに転んでも良いこと尽くめだろうが。

>国民は自分自身の健康も管理できないというようなお節介
喫煙者がタバコを吸って癌になろうが、肺気腫になろうが、本人の勝手だというのなら
その場合は、健康保険は使わないで貰いたいな。
無駄に医療費を使われるのは迷惑だ。
そして一番の問題は副流煙で周囲の人間の健康を害することだろう。

飲酒運転で一番の問題は、本人が事故で死ぬからじゃない。
無関係の人間を事故に巻き込むことだ。
タバコも同じように無関係の人間に迷惑をかけているんだよ。
そして飲酒運転の罰金を上げたことは、非常に効果があったよ。

タバコの値段を2倍にして、喫煙者が半分になったら
タバコの税収は変わらずに、健康な人間が増える。
最高だろ?

投稿: オーベル | 2011年10月14日 (金) 00時14分

たばこについての経済を書いてみます。
1)たばこ税;喫煙者は、H19年は、2兆2,703億円納めています。
2)医療費;喫煙者は、非喫煙者にくらべて、1ヶ月あたり10%医療費が多くかかっています(出典;東北大学、久道氏の論文より)他方、喫煙者にくらべて、平均で10年早く死にます(イギリスの2004年のデータより)。喫煙率を20%と仮定します。20%が80歳まで、残りの80%が90歳まで生きた場合の医療費と、全員禁煙して100%が90歳まで生きた場合の医療費とをくらべると、全員90歳まで生きる場合の方が、1.056倍医療費が多くかかります。
3)年金;基礎年金だけを考えます。他を考えると計算が面倒なので。650000円を一年間に受け取ります。上と同様に全員禁煙の場合と、20%喫煙の場合とでは、全員禁煙で長生きするので、1.027倍多くお金がかかります。
以上より、喫煙車は禁煙車にくらべて税金を支払い、早く死ぬので医療費削減年金削減に協力していることになります。

投稿: anonymous | 2011年10月14日 (金) 16時41分

単純に
生活できるなら買うだろ多分
病気の一種なんだから
一日一箱として千円なら月三万
まだいけるw

投稿: | 2011年10月15日 (土) 20時25分

いつも一般庶民目線で、フムフムと思いながら読ませて頂いております。
中には、へそ曲がりな馬鹿コメントがありますが、気にしないで下さい。

 私はタバコは吸わないのですが、再度のタバコ増税を目論む国に対して怒りを覚えています。
ちなみに、私がタバコを吸わない理由を言いますと、あきらかな有害なモノを自分の体に入れたくない事、そして自分の吐いたような煙や匂いを人様に吸わせたりするのは、許されない程失礼な事と思うからなのです。
話は戻って、取り易いところからは取り、取りずらい所からは取らない、創価学会のような所からも法人税をたんまり取れよと言いたくもなりますよ、ゴーストライターの書いた本でたんまりと印税が入ってもスズメの涙の税金で済まされていることに、この矛盾に怒りさへ覚えます。

投稿: さふらん | 2011年10月21日 (金) 12時26分

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