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年功序列制度の盲点【意識されない被害者と加害者】

2011111301 『年功序列制度』については当ブログでも何度か述べてきた。その甲斐(?)あってか、主なポータルサイト(グーグル、ヤフー、ライブドア、インフォシーク)で「年功序列制度」と検索すると、トップページに当ブログ記事が表示されるようになった(2011.11現在)。
 
 『年功序列制度』で問題視されることは、「若年世代が老年世代に不当に富を奪われている」という年齢による搾取問題が一般的だが、実は年功序列制度には、年齢差に無関係な被害者と加害者が存在している。
 
 「若年者が老年者に富を奪われている」というのは、あくまでもその若年者と老年者の仕事量が同程度であることを前提にした場合の話であり、通常は“ほとんど仕事をしない老年者”と“バリバリ仕事をしている若年者”という構図で語られている。
 実際に多くの(年功序列制度が維持されている)企業ではその通りの構図になっていると思われるので、「若年者が老年者に富を奪われている」というのは、マクロ的には正しい認識だろうと思う。しかし、どんな企業であろうと、年齢に関係なくバリバリ仕事を行っている人もいれば、その逆に、年齢に関係なくほとんど仕事をしていない(または仕事ができない)人は存在する。
 
 年功序列制度の問題点は、“年齢が上がる度に仕事量が減少するのに、逆に給料は上がり続ける”という歪な制度が最大の争点であることに違いはないが、実はこの制度に収まらない人々が一定の割合(パレートの法則流に言えば2割程度?)で存在している。早い話、年齢給の上昇分では到底割が合わないほどの仕事量をこなしている人々が(年齢に関係なく)存在するということである。(無論、この逆も存在する)
 
 例えば、初任給が20万円の人が、年々1万円ずつ昇給する会社があるとしよう。その場合、1年間で12万円の年齢給上昇となるわけだが、その上昇分以上の仕事をこなせる人にとっては、割が合わないことになる。
 「毎年1万円も給料が上がる」と聞けば、「今時なんて羨ましい会社だろう」と思う人が大半かもしれないが、毎年1万円の昇給分以上(2万円、3万円…)のペースで仕事量を増加していけるだけの能力を有した人にとっては、年功序列制度は有り難迷惑な制度でしかないということである。
 
 現在の日本企業の年功序列制度が述べられる時、話題となるのは“金銭面での高低”だけで、もう1つの尺度である本人の能力(=“仕事量の高低”)は完全に盲点になってしまっている。
 
 若年者にも老年者にも仕事のできる人とできない人がいるわけで、搾取されているのは必ずしも若年者だけではなく、搾取しているのも必ずしも老年者だけではない。若年者であっても、昇給分以上の仕事をこなせない人は搾取している側の人間であるかもしれないし、老年者であっても、昇給分以上の仕事をこなしている人は搾取されている側の人間かもしれないのである。
 
 つまり、年功序列制度の真の問題点は、必ずしも世代間格差にあるのではなく、労働における評価基準というものを同一労働同一賃金をベースにしていないことにあるわけだ。年齢給を廃止することよりも、むしろ職能給になっていないことの方がより重要な問題だということである。
 収入における世代間格差というのは結果であって原因ではない。世代間格差というものは、職能給という当たり前の制度を無視するがゆえに生まれた結果でしかない。
 年長者が一方的に搾取しているとは言えないし、若年者が一方的に搾取されていることにもならないということは、よく考えれば誰にでも分かるはずだし、実際に民間企業に勤めている人であれば、実感として理解しているはずである。
 
 ということで、現在、巷で話題となっている年功序列制度論はあくまでもマクロ的な一般論であり、必ずしも全ての労働者を包括できる非の打ち所の無い絶対論ではないということである。
 
 ちなみに、私は大企業に勤めているわけではないので、年功序列制度とは無関係の立場にある。ここで述べたことは個人的な怨み節でも感情論でもないことを予めお断りしておきたいと思う。

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コメント

「年齢差に無関係な被害者と加害者が存在している」のは事実ですが、世代間格差が問題であるという正しい事実を隠すほどのお話ではないのでは?

投稿: k | 2011年11月14日 (月) 15時35分

k様

コメント、有り難うございます。

>世代間格差が問題であるという正しい事実を隠すほどのお話ではないのでは?

 世代間格差問題を隠すつもりは全くありません。そもそも世代間格差というものは、企業の年功序列制度だけに限った問題ではありません。

 本記事は、労働における対価としての制度の矛盾を指摘したまでのことです。あらゆる矛盾した制度が原因となって、世代間格差という問題が発生しているわけですが、年齢給というものも、その1つの原因であるということを述べたまでのことです。言わば、世代間格差を無くす1つの手段を述べたわけです。

投稿: 管理人 | 2011年11月14日 (月) 23時12分

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