« 転換期を迎えたフリービジネス《デジタル社会の著作権》 | トップページ | 日本型『詰め込み教育』の正体 »

ストップ・ザ・消費税増税《税金を下げれば、税収は上がる》 

2012010701 政府・民主党は1月6日、ついに消費税の増税素案を正式に決定した。
 野田総理いわく「素案で終わっては意味がない、どの政権でも避けて通れないテーマだ」とのことで、まるで、消費税を上げる以外に道はないかのような口ぶりである。これでは、「増税(柔道)一直線」「増税(空手)バカ一代」「増税(キック)の鬼」などと揶揄されても仕方がない。まさに現在の民主党は『ネバー・エンディング増税内閣』と化している。
 
 政治的に税収を上げる方法には以下の3つがある。
 
 1、経済成長政策
 2、増税政策
 3、減税政策
 
 民主党は、なぜかこの「2」だけに固執し、「1」にも「3」にも全く目を向けようとしないが、現在の日本に必要なのは、「1」と「3」の同時実行である。
 
 ここで、「減税してなぜ税収が上がるのか?」と疑問に思う人がいるかもしれないが、減税政策というのは、単に「税金を下げれば税収が上がる」という表面的な現象のことではなく、国民に「税金を支払ってもいい」と思わせる心理的な税制改革のことである。
 
 現在の日本の税収が足りていないのは、長引く不況の影響や過剰な社会保障費にもその原因を求められるが、それにも増して、“税金を納めないように努力している人間(や企業)があまりにも多過ぎる”ということも1つの大きな原因になっている。そういった隠れた努力をせずに済むような税制にすることができれば税収は高い確率で増加する。
 
 例えば、法人税収が減少しているのは、法人税を支払っていない赤字企業が多過ぎることも大きな原因だ。しかし、“赤字企業が多いこと”だけが問題なのではなく、“赤字に見せかけている企業が多いこと”の方がより重要な問題である。
 この不況で全国の7割もの企業が赤字ということになっているが、まさか本当に全国の7割もの企業が赤字であるはずがない。何割かの企業は節税行為によって無理矢理に赤字にしているだけの話である。
 企業の節税行為と、その是非については、以前の記事でも述べたことがあるので、詳しくはそちらの記事【『節税対策』という見えない景気刺激策】を参考にしていただきたいと思うが、結論としては、企業の節税行為は景気刺激策でもあるので、必ずしも否定すべきものではないということを書いた。
 現在の歪で高額な法人税課税環境の中では、企業は節税行為によって利益の再分配を行っているので、必ずしも法人税収が上がらないことを嘆く必要はない。しかし、公平でフラットな法人税課税環境であれば、節税行為(脱税行為)は大幅に減少するだろうから、法人税収は必ず上がる。(この場合の「公平」とは世界と比較してという意味)
 
 個人の所得税においても、「これ以上、働けば税率が上がって損をする」というような後ろ向きな感情を抱くことなく、働いた分に比例した公平でフラットな税制であれば、働き過ぎるということを気にすることなく(つまり、税金を気にすることなく)働くことができるようになるので、所得税収も上がる可能性が高い。
 
 「税金を下げれば、税収は上がる」というのは、一見、詐欺師の言葉のように聞こえるかもしれないが、実は本当のことであり、心あるエコノミストであれば皆そう言っている。

 税収が増えないのは、税率の高低が問題なのではなく、国民の納税意欲を削ぐ不公平な課税制度に問題があるのである。そんな状況下にあって、税率を上げるだけでは根本的な問題解決にはならず、思った以上に税収もアップしないだろうから、どこまでも際限なく税率を上げていかなければならなくなる。消費税を10%に上げて、現在の日本の経済問題が全てクリアされるなどとは誰も思っていないだろうし、当の野田総理自身も思っていないはずだ。
 最悪、もし、消費税を8%に上げても良い結果に結び付かないことが判明すれば、時の政党は消費税を10%にするのではなく、逆に3%以下(理想は0%)に戻すことをオススメしておきたいと思う。
 
 結局のところ、税金の上げ下げというのは政治的な心理ゲームなのである。要は、国民に税率の高低を意識させることなく、税金を納めても損をしないという気持ちを抱かせることができるかどうか、そういった資質が政治家に問われるわけだ。
 こう言うと、まるで政治家が詐欺師みたいだが、国民に夢や希望を抱かせることのできる真の政治家と、国民を失望させることしかできない偽物の政治家(=詐欺師)がいたとすれば、あなたはどちらを選択するだろうか? 現在の政府がそのどちらに属するかは、もはや述べるまでもないだろう。
 「税金を上げれば、税収は上がる」などと言うのは、思考停止した政治家の言葉であり、その言葉こそが、まさに詐欺師の言葉なのだ。
 
にほんブログ村 経済ブログへ

|

« 転換期を迎えたフリービジネス《デジタル社会の著作権》 | トップページ | 日本型『詰め込み教育』の正体 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

政治にはアートの部分がありますからね。
確かに。

投稿: 山階宮透 | 2012年1月10日 (火) 14時12分

こんばんは。はじめまして
毎回見事な論説。
賛否共々勉強させていただいてます。
 ご主張のような景気に関する画(内容全て手放しで賛成という訳ではありませんが)を描ける人物が国のトップの周りにいない(なんていう事は無いか)のか色々綻びそうなものを取り繕うのに必死で耳に入らないのかもしれませんが、
 色々な政策の選択肢の中で、“「いずれやる必要があると国民も意識しているだろう」という都合のいい部分的ワード”と“経産省の全面後押し”という一番の安牌を選んだと見ておりますが、まるで自分の使命だったかの様に頑なになってますね。 
 トップに座る人が振り込む事だけを避けて安牌選んでいるうちに手を崩してあがれる可能性もなくなって…なんて結果になるとしたら、良くも悪くもよっぽど思い切った手を狙って欲しいものですが。
 麻雀は詳しくないので比喩に間違いなどあったらすみません。

投稿: にのい もちみ | 2012年1月13日 (金) 00時09分

にのい もちみ様

 コメント、有り難うございます。

 野田総理は、まるで「増税すること」が自分の使命だと思い込んでいるかのように見えますね。
 「消費税は上げるべきだ」と言っている識者もよくいますから、そういった言葉に影響されて、国民の抵抗を押し切って実現することが結果的に正義になると勘違いしているフシがあります。「郵政選挙」と「増税選挙」は、全くの別物だということが理解できていないようです。
 消費税以外の税金を大幅に下げて消費税1本でいくというなら、まだ理解できなくもないですが、単に消費税を上げるだけでは、何の解決にもなりません。
 ダメもとで大幅な減税政策を行ってくれれば、結果的には正義になると思うのですが、官僚に踊らされている政治家には馬耳東風のようです。

投稿: 管理人 | 2012年1月13日 (金) 22時48分

そもそも、消費税、法人税、所得税の三種の税については、GDPを直接削る税金です。
そうでないのは、現金遺産に課税される相続税だけです。
そして、GDP上昇に貢献するのは、消費、投資、分配において現金を速やかに手放す行為ですから、現金を貯めこむ行為は国家経済への反逆であり、累進課税による富裕層への課税強化が経済発展への反逆に対する罰則となり、民主的な増税です。

日本の経済がボロボロなのは、経済発展を阻害する者達への課税が少なすぎることであり、反逆者の現金を守るために徴税ではなく借り上げということで国債を乱発し続けてきたことでしょう。

投稿: クロコダイルPOP | 2012年1月16日 (月) 00時34分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 株式の税金 | 2012年1月21日 (土) 16時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/199859/53681282

この記事へのトラックバック一覧です: ストップ・ザ・消費税増税《税金を下げれば、税収は上がる》 :

« 転換期を迎えたフリービジネス《デジタル社会の著作権》 | トップページ | 日本型『詰め込み教育』の正体 »