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発展途上原発と、技術革新を無視する人々

2012021201 東日本大震災による原発事故によって、日本の原子力発電所が世界中から非難され、脱原発運動が世界中に飛び火したことは周知の通りだが、ここにきて、アメリカが沈黙を破り、スリーマイル島原発事故以来、実に34年ぶりに原発の建設を認可したらしい。
 
 世界中が反原発ムードに傾きつつあった最中、随分と思い切った判断をしたものだが、このニュースを聞いて私はこう思った。
 
 「さすがにアメリカの識者達は冷静に物事を観察しているな」
 
 アメリカは日本ほどの地震大国ではなく、日本のように危機管理も杜撰ではないので、たとえ日本と同じような規模の地震が発生したとしても、原発事故には至らない。おそらく、単純にそう判断したのだろう。彼らは今回の日本の原発事故を恰好のテストケースとして冷静に分析したのだろうと思う。
 
 今回の日本の出来事を冷静に観ることのできる人であれば、原発事故の原因は地震ではなく、津波が原因であったとしても、管理体制さえしっかりしていれば問題が起こる確率は極めて低く、原発の更なる安全性対策を講じれば、リスクを限りなく0に近づけることが可能であることが解ると思う。アメリカはその当たり前の判断を行ったということなのだろう。
 
 現在の原子力発電技術も管理技術も、もうこれ以上の技術革新が望めないという代物であるならば、「原発は危険だ」と言うのはその通りであり、「脱原発運動」というのも、それなりに合理的な行動だと言えるかもしれない。しかし、現在の原子力発電技術も管理技術も発展途上のものであったならば、採るべき手段はもう1つある。発展途上であるならば、その技術を向上させることができれば安全性を高めることは可能であるということである。
 現在、我々の目に映っている原発問題というものが、理想的な状態とは程遠い「発展途上」という技術的背景の上に成り立っているものだとすれば、認識を改める必要があるかもしれない。
 
 例えば、飛行機が墜落事故を起こした場合も、採るべき手段は次の2つになる。
 
 A、「飛行機の製造も飛行も止める」(脱飛行機)
 B、「飛行機の飛行技術を向上させる」
 
 こういった2つの選択肢があることは子供にでも解る理屈だと思われるのだが、とにかく感情的にリスクを0にしたいという人々には、選択するべき手段は常に1つ(A)しかないらしく、「脱飛行機!」と叫ぶことが絶対的な善であると思い込んでいるように見える。
 「飛行機が無くなっても船があるではないか」「危険な飛行機旅行を止めて安全な船旅行に切り替えよう」というのが彼らの言い分になっているが、船旅行も絶対的に安全というわけではなく、その非効率性によって招く様々なマイナス点を完全に無視してしまっていることは否めない。
 将来的に事故とは無縁の(UFOのような)安全な飛行機が開発されるとすれば、現在、「脱飛行機!」と叫んで本当に飛行機自体を無くしてしまうことは愚かな行為とは言えないだろうか?
 
 今回、アメリカで新たに建設される原子炉には東芝の子会社が開発した新型の原子炉が採用されるとのことで、この原子炉は従来の原子炉よりも安全性が高いらしく、万が一のテロにも対応できる設計が為されているらしい。「現在の老朽化した原子炉よりも100倍は安全である」とも伝えられている。
 アメリカ経済も大統領選を控えてか、徐々に回復の兆しが見えてきつつあるが、おそらく何年かすればアメリカは正しい選択をしたということが認識されるようになるのだろうと思う。
 
 こういうことを書くと、「命よりもお金の方が大事なのか!」というお決まりの批判を頂戴することになるかもしれないので、予めお断りしておこう。もちろん、お金よりも命の方が大事だ。しかし、技術革新というものは、金儲けのためだけにあるのではなく、他ならぬ、その命の安全性を高める(=リスクを最小化する)という目的のためにも為されているということを忘れてはいけない。そういった技術革新による未来の可能性を放棄することが大多数の人間にとって本当にプラスなことであるのかどうかを、もう一度、冷静になって考えてみることをオススメしておきたい。

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