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「地獄への道は消費税増税論議で舗装されている」

2012040101_2 民主党内での愚にもつかない消費税増税論議をよそに、北朝鮮のミサイル(?)打ち上げは着々と進行しており予断を許さない状況が続いている。
 北朝鮮のミサイル問題という喫緊の課題を後回しにして、未だに消費税増税論議に花を咲かせている危機錯誤な政治家達の姿を観ていると、なにをかいわんやの感がある。
 この現状を喩えて言うなら、タバコの不始末で自宅が出火した時に、その火を消そうとせずに夫婦喧嘩をしているようなものである。火事になった時には消防署(アメリカ)が消してくれるという他人任せの平和ボケ思考が招いた悲劇とも言えようか。

 野田総理は以前から「消費税の増税に政治生命を賭ける」というようなことを述べており、自らが日本の将来を背負ったヒーローにでもなったかのような気分でいるのかもしれないが、これはかつての小泉元総理の「郵政の民営化に政治生命を賭ける」と言うのとは全く方向性が逆である。
 富裕層に重くのしかかる税金は別として、庶民に等しくのしかかる税金に反対しない国民はいない。ゆえに、消費税を上げるという行動は、一見すると民意に反しているように見え、その波に逆らうことができるのが勇気ある政治家の姿だと思っている人がいるかもしれない。しかし、消費税を上げる目的が、過剰な福祉政策に繋がっているのであれば、結果的には民意に沿っているわけだ。しかして、その民意とは、善良な民意ではなく、悪徳な民意、つまり既得権益の維持に繋がる民意である。
 
 「郵政民営化」というものは(その実効性はともかくとして)一応、既得権益構造の破壊(=国益)という名目があったが、「不況下の増税」というものは、どう考えても国益に適っていないことは明らかであり有害無益でしかない。「既得権益構造の破壊に政治生命を賭ける」と「増税に政治生命を賭ける」とでは政治的な立脚点が全く違うということを知る必要がある。
 
 誰に吹き込まれたのかは知らないが、「不況下の増税」などという狂った政策を疑うことなく実行できるということは、何者かに洗脳され思考停止状態にあるとしか考えられない。
 「民主」という言葉の通り「国民が主役」だと考えるのであれば、現在の不況下で行われるべきは「減税」であり、民主党の党主が本来述べるべきは「消費税の減税に政治生命を賭ける」でなければ政党名と矛盾していることになり辻褄が合わない。
 
 巷では「消費税は自民党がもっと前に上げるべきだった」というような説も聞かれる。確かに経済成長期やバブル経済時に消費税を上げるべきだったという見解には一理あるかもしれない。しかし、その理由によって、現在の与党である民主党が消費税を上げなければならないという理屈にはならない。
 仮にバブル経済時に消費税を10%に上げていたとしても、現在、採るべき手段は減税でしかない。現在の消費税率が何%であろうと、『好況期に増税は有り得ても、不況期には減税しか有り得ない』という基本的な原理原則が変化するわけではないからだ。
 
 この不況下で減税を行うという、ある意味で狂気とも受け取れる行動を民意に反して断行してこそ、真の政治家だと言える。それができてこそ、「名宰相」として歴史に名を残すことができると思われるのだが、このままいくと野田総理は歴史に汚名を残すことになる可能性が極めて高いと思われる。
 消費税の増税はまだ決定したわけではないが、既に閣議決定まで進んでしまったわけだから、仮に消費税増税がギリギリのところで食い止められたとしても、もはや汚名を返上して美名に変えることは不可能に近い。おそらく後世の人々からは「平成の悪代官」の1人として認識されることになるだろう。残された可能性は、中途半端な悪人で終わるか、極悪人になるかの違いだけだろうと思う。
 
 「地獄への道は善意で舗装されている」という有名な言葉があるが、「消費税増税によってハッピーになる」などという言葉を信じていると、行き着く先は間違いなく地獄である。消費税増税論議に花を咲かせている最中に、北朝鮮からのミサイルが飛んで来て対処できないということにでもなれば、国民はまた別の意味での地獄を見ることになる。まさに「地獄への道は消費税増税論議で舗装されている」である。
 
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コメント

こんばんわ。

なんだか「野田総理≒オセロの~」なんて本気で思ったりします。

仮に江戸時代でも、領主が飢饉の年に年貢を増やしたら、当前のように一揆が起こったと(確か)小学校で教わるのに。

考えてみれば、消費税って不思議な徴税方法ですよね。
資源など特定の品物の取引や財産など、(ほぼ)確実に存在する物や取引に掛けるのに対して、消費という未来の取引に掛けるっていう、まるで先物取引みたいです(間接的に証券化出来たりとか、レバレッジかける事もできちゃったりして)。
見込み税収はどういう計算しているか知りませんし、テクニカル過ぎて理解出来ないかもしれませんが、予測に対する「率」っていうのはどうも疑いたくなります。

素人予想ですが「野だたに垣」ラインは決議を焦っていそうなので、決議を優先した挙句、

→ ➀妥協案として必需品の減(免)税→ ➁需品以外の物価だけ増すが消費は更に減る→ ➂見込みより遥かに税収が不足→ ➃消費税率アップ→ ➀に戻る

なんてスパイラル増税を招きそうです。

投稿: にのいもちみ | 2012年4月 3日 (火) 23時39分

【「鯉のぼり」替歌】

 1.マニフェストの嘘とバラマキで
 度重なる嘘を誤魔化して
 ごり押し作戦で国会を行く
 高く上るは消費税

 2.天下りの夢と高額給料
 無能な政治家を操って
 立場は闇将軍裏首相
 増税目指すはダメ役人

 3.公金横領泥棒の官僚は
 使い込み年金の隠蔽に
 消費税増税を繰り返す
 おんぶに抱っこのミンス党

 4.不景気の波と死体の山
 度重なるリストラで貧困化
 それでも増税に突き進む
 悪徳政権ミンス党

投稿: ゴンザレス | 2012年4月17日 (火) 00時20分

消費税増税が貧乏人に厳しいというのは、ステレオタイプの考えなのではないかと思います。
一般的に、直接税(所得税)を累進的にすれば金持ちに厳しいと考えれてますよね。でも、お金持ちは節税対策をきっちりするので、所得上はあまり黒字が出ないように調整して、納税額は増えません。あと、海外逃避という手段もあります。お金持ちは、欲しいものは経費で買います。その上、消費税が安ければ、高級品が割安に買えて万々歳です。
 消費税率を上げても、食料品や医療等について非課税や低税率にしたり、国民総番号制を導入して福祉と税務を統合すれば、マイナスの所得税等の導入が可能となり、消費税増のマイナス点を減らすことができるのではないでしょうか?

投稿: たらこ | 2012年6月 2日 (土) 18時02分

>>この不況下で減税を行うという、ある意味で狂気

 ある意味ではなくて、それも立派な狂気であり、あなたがここで非難している消費税増税と同じかそれ以上の狂気である。

 これまでだって、住民税だか所得税の減税をやった(定率減税とかっていってなかったっけ?忘れただろうけれでも)。公共事業もバンバンやった(小渕首相の時だよ。その後、国債残高が急増して、かつ付き合わされた地方の財政が悪化して硬直化した)。ミラーマンこと植草教授の大好きな政策だったな。

 で、全然、問題が解決してないじゃん。

で、これまで先送りしてきた、国債費の償還が限界になってきていて、増税をしたくないという選択が無理になってきているのが今。社会保障費も増え続けていて、無料シルバーパスとか見直すべき政策はあるけれども、それをなんとかしたとしても、国債費も予算に占める割合が増加を続けていて、どうしようもなくなっている。

 これまで、財政健全化を先送りして問題はおきなかった。しかし、狼少年の言うことは最後に本当になった、というのがイソップ物語の教訓だ。実際問題として、借金を増やし続けて、これが永遠に可能だと思っているのですか? なんだか、最近、モラルハザード的な考えが蔓延してますよね。日本国債は国内消化だから、ギリシャとは違うという意見もありますが、それって、踏み倒しても平気ってことですかね。インフレにして実質的に踏み倒すってことも含めて、、、。とりあえず国内消化はもう難しくて、最近は中国などの外国の購入も重要になってますけど。

 増税は悪だが、増税しないのも悪であり、さりとて、にっちもさっちもいかない状況を先送りすれば、いずれ福島原発のように、日本経済はドカーンと崩壊でしょ。

 なんだか、日本人には神風的な思考が根強いようで、日本だけは大丈夫って思っている向きが多いようですけど、今まで、日本は大丈夫っていう議論があったことで大丈夫なことってあったんですかねぇ?? (太平洋戦争の敗戦、バブル(土地)、原発、、、)

 そのうち、日本国債の保有者である中国に金が返せなくなって、尖閣諸島を取られる日がくるかもね。

 コメントに対するコメントになりますけど、法人税や所得税だって、未来の経済活動に対する”見込み”で税収を予想して、それに基づいて予算を組んでいるだけですけど。
 
 

投稿: たらこ | 2012年6月 2日 (土) 18時34分

>未来の経済活動に対する”見込み”で税収を予想して、それに基づいて予算を組んでいるだけですけど
>たらこさん
消費税を増税すること自体に反対というより、それしかしない事に反対というのが正確かと。
税の帰着を一般家庭モデルで考えると所得税率を5%なら5%と一律の割合増やして課すのと同じなんです。
累進性のない所得税率アップは財政策でも何でもありません。そもそも改革っていうのは一部をいじる事じゃないんですが「税と社会保障の一体改革」の中身がただの「消費税増税」なんですね。
これは今の不況のツケを逆進的に返還しつつ景気を上向かせるには間違った舵取りなんですが。
ただ、それ(不況のツケ)を元に倫理を訴えても、法律に違反している訳でもなく、犯人を絞って解決するものでもないし、ストレートに行うには障害が多すぎるんです。
だからといってこのままでは船が進まないか、悪ければそのうち沈むかと。
じゃあ、まず景気対策を優先しよう!ていうのが筋でしょう。
その方法について“まともな識者”の意見は、ほぼ同じ方を向いてるんですが、何故か政、官、財の世界からは見えていないようで、なのにその人達はきっちりメディアに載るので見る人にネガティブな思いを抱かせてしまう。
残念な事です。

投稿: R.W.M | 2012年6月 5日 (火) 01時45分

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