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BOOK『経済大国なのになぜ貧しいのか?』を読んで。

2012061001 最近、なぜかオウム元信者(指名手配犯)の逮捕ニュースが盛んに報道されているが、かつて、そのオウム信者の脱洗脳に携わったことで注目されたこともある苫米地英人氏の書籍『経済大国なのになぜ貧しいのか?』を読んでみた。

 私は正直なところ、苫米地氏の洗脳論や陰謀論にはあまり興味は無いのだが、経済、金融、メディア論には少し興味が有るので、これまでにも何冊か彼の本を読んだことがある。
 一応、フォローもしておくと、苫米地氏は、脳機能学者でありながら実業家でもあり、かつてのMacintoshの日本語入力ソフト「ことえり」の開発者としても知られているマルチな才能を持った人物でもある。
 
 本書は、デフレ論のウソに始まり、増税論のウソ、増税復興論のウソ、円高悪玉論のウソなど、世に蔓延るウソを暴くというスタイルをとっているが、その多くが今まで聞いたことも考えたこともない角度からの指摘で、読み物としては非常に面白く読むことができた。陰謀論にありがちな「日本の未来は暗い」というようなオドロオドロしい内容ではなく、逆に「日本の未来は明るい」という前提で書かれてあるせいか妙に真実味のある内容だった。
 
 本書の発売日は2012年3月21日だが、氏はそれ以前に書かれた本書の中で、現在のドル円の為替相場は「3月末にかけて一時的に円安にふれる」と述べているが、これは実際にその通りになった。3月15日から21日にかけて84円で天井(と言うより底)を打ち、円高に転換している。
 有名な某経済エコノミストは、「2012年に1ドル90円程度まで下がる」と言っていたが、どうやら、エコノミストよりも苫米地氏の見解の方が正しかったようだ。図らずも「エコノミストは見通しを見誤る」という本書内の指摘は正しかったというわけだ。
 本書をもう少し早く読んで(+信じて)いれば、少しは相場で儲けることができたかもしれない。
 
 この本には、震災後「大規模な金融緩和を行ったり、日銀直受けの復興特別国債を発行したりすれば、日本は経済を一気に浮揚させる一大チャンスを迎えたはず」と書かれてあり、そういった当たり前の政策が採れなかった理由(政府が景気回復を恐れている理由)も鋭く指摘されていた。
 
 本書はウソを暴くことを目的とした書物であることは先に述べた通りだが、裏を返せば、ウソで洗脳されてしまった多くの国民の経済的脱洗脳を行うことを目的とした書物ということなのだろう。
 ではなぜ日本にはそういったウソをついて国民を騙そうとする人々が存在するのか?
 
 その答えは単純明快だ。医者は病人がいなくなると困り、警察は犯罪が無くなれば困る。それと同じ理屈で日本の景気が良くなると困るという職業的矛盾を抱えた人々が存在しているということなのだろう。それがどういった人々かは敢えて述べない。大体想像がつくと思うが、答えは本書に譲りたいと思う。

 本書は難解な経済理論が書かれた本ではなく、誰にでも理解できる平易な文章で綴られている。特に経済に興味のある人には知的好奇心をくすぐられる内容であり、私のように陰謀論を嫌う傾向のある人にもオススメできる経済本になっているので、一読をお勧めしたい。無論、全てを鵜呑みにする必要はない。苫米地氏も述べているように、何が正しくて何が間違っているのかは自分の頭で考えて判断することが最も重要であり、それができてこその脱洗脳である。
 
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