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日本民主(党)主義人民共貧国の消費税増税法案

2012063001 消費税増税法案は、案の定と言うべきか、アッサリと衆院を通過してしまった。さすがの民主党議員も57人が造反姿勢を示したらしいが、大多数の議員は本心では増税に賛成だったということが判明し、図らずも『増税政党』としての馬脚を現した格好だ。

 かつての消費税3%(1989年)、消費税5%(1997年)の増税時には、他の税金を下げた上での増税だったのでまだ救いがあったが、今回の場合、実質上、減税無しの増税なので全く救いがない。徴税におけるリスクヘッジが全く機能しないという意味では紛れもない愚策だと言える。

 何事も、何かを得るためには何かを捨てる覚悟が必要であり、消費税の増収を得るためには、別の税収を捨てる覚悟が必要になる。そのバランスのせめぎ合いによって結果的にトータルで増収となれば良しとなる。それが、本来の税制改革である。しかし、今回の税制改革は単に消費税率を上げるだけで増収を獲得しようというものであり、こんなデタラメな増収案を国民が素直に受け入れるはずがない。ゆえに、なぜ増税しなければならないのか?という説明が乏しく、「財政再建のために増税が必要だ」という空念仏を唱えるのみに終始している。しかし、そんな空念仏であっても信じている人々がいるのだからオメデタイと言うほかない。

 かつて、テロ教団による「修行するぞ、修行するぞ、修行するぞ」という洗脳フレーズが話題になったことがあるが、この洗脳フレーズは現在、「増税するぞ、増税するぞ、増税するぞ」に変わっているらしい。おそらく野田総理は教祖ではなく、実行部隊のリーダーという位置付けなのだろうが、まるで『増税教』が自作自演によって日本を破滅に向かわせようとしているかのようだ。
 
 テレビを観ていると野田総理が深々と頭を下げて「心から、心から、心から、お願い申し上げます!」と叫んでいたが、その光景には強烈な違和感を感じた。なぜなら、その言葉は“国民”に対してではなく、増税反対の“民主党議員”に向かって発されているようにしか見えなかったからだ。国民に選ばれた(ことになっている)民主党議員の賛成さえ確保できれば、どんな法案も通るということであれば、ただの独裁政治である。

 民主主義の欠点は、愚かな国民が過半数に達した場合、衆愚政治に陥ってしまうことだと言われるが、今回の茶番を観る限り、衆愚政治ですらなく、況して賢人政治でもない。愚かな政治家による国民不在の“法案可決ごっこ”である。これでは、「民主主義」と言うより『民主党主義』であり、「衆愚政」ならぬ『党愚政』である。要するに、民主党の過半数議員が民主主義を理解しておらず、党内だけで既に衆愚政を体現してしまっているわけだ。

 「自主課税なき処にデモクラシーなし」とは、小室直樹氏の書籍『消費税は民意を問うべし』に出てくる言葉だが、まさに現在の民主党政治にもそのまま当て嵌まる。「自分が納める税金は自分が決める」というのが本来の民主主義(デモクラシー)の原則である。国民に対して増税理由の説明もほとんど無く、納得できる説明もないままに増税を行うという行為は、明らかに民主主義に反している。

 この国では、「子供達の未来を危惧して」という理由で、反原発派が原発再稼働反対デモを大々的に行っているが、なぜか消費税増税反対デモは行われない。同じ理由によってデモが行われても不思議ではないと思えるのだが、なぜ行わないのだろうか? 「子供達の(万が一の)危険」よりも「子供達の(絶対的な)危険」の方が重要だと思われるのだが…。
 もっとも、仮に消費税増税反対デモが行われたとしても、マスコミが報道しなければ、無いに等しい。この辺は中国と同じで、政府(と言うより官僚)にとって都合の悪い報道は全く行われない。少し穿った見方をすれば、原発再稼働反対デモをトカゲの尻尾切り(スケープゴート)にして、消費税増税法案から目を反らしているのではないかと勘ぐりたくもなる。

 政治家だけでなく、未だ国民の大多数も官僚の掌の上で踊らされているというのが、この国の実態なのかもしれない。この国が真の民主主義を手に入れるためには、国民の過半数がそのことに気付くことがスタート点になる。1日も早く、日本民主(党)主義人民共貧国から脱皮しない限り、日本の明るい未来はないと言えそうだ。
 
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コメント

>ゆえに、なぜ増税しなければならないのか?という説明が乏しく、「財政再建のために増税が必要だ」という空念仏を唱えるのみに終始している。

 増税の理由は、これ以外にはありません。日本はだまっていても、毎年社会保障費の自然増が、1.5兆円ほどです。

 税収<国債費で、40兆<50兆ほどです。国債残高のGDP比は200%を超えており、このような比率になった国はありません。

 もちろん、200%を超えているからまずいと言う理論はありませんが、問題は持続可能性です。今の水準なら、国債は十分に消化され、毎年借換債を含め170兆円が発行されていますが、問題は生じていません。

 今の水準なら、市場は問題ないと考えています。
ですが、この国債発行を、持続させられるのか否か・・・経済学では「持続可能性」といいますが、それを確保することが重要だと考えられています。

 毎年、2兆円も国債費を増大させ続ければ、いずれは、国債価格下落=金利上昇(今の南欧のような状態)、円安=インフレということになります。

 それを避けるには、税収増か、社会保障費削減しかありません。どちらも、痛みを伴います。

 無駄な歳出削減?そんなもので、1.5兆円の社会保障費自然増など、補いきれません。

投稿: 菅原晃 | 2012年6月30日 (土) 22時20分

今回の「消費増税」には大反対です。その意味で「自由人」さんの意見に大賛成です。
もう少し云えば野田総理は「消費税増税に政治生命を掛ける」としか言っていません。本来なら「財政再建に政治生命を掛ける」と言ってほしいものです。マスコミも今回の消費税増税を「財政再建に取り組んでいる」と報道しているようですが、社会保障がどのようになるのか分からないのに「消費税増税だけが先行」していますから財政再建に繋がるのか不透明だと思います。
また消費税増税が決まった途端に「整備新幹線を着工し、自民党は10年で200兆円の土木工事を推進すると表明」しています。
※無駄な歳出削減は出来ます。外務大臣が先日の国際会議で80億ドルの拠出を表明しました。これって約6400億円ですよ。国会議員定数を半減し、歳費もアメリカ並みで充分でしょう。財布がザルであれば幾ら増税しても足りません。民間会社なら先ずは出血を抑えるためにリストラをするのが当たり前です。
※ギリシャ大統領はEU首脳会議にエコノミークラスで出席しました。一つ一つは小さいかもしれませんが、その一つ一つが歳出削減の要諦なのだと思います。(民間会社ではコピー用紙1枚でも無駄にしません。)

投稿: Toshio | 2012年6月30日 (土) 23時35分

>菅原晃殿

>経済学では「持続可能性」といいますが、それを確>保することが重要だと考えられています

持続可能性確保の答えが消費税増税というのはおかしいですよ。
「経済学」に照らすなら、景気に影響が少ないと言われますが、景気刺激にもならない税制度改革で、税収増加など「施行後の限定的なもの」か「ほぼ見込めない」といった程度になるのは否定できないでしょう?

>それを避けるには、税収増か、社会保障費削減し
>かありません。
>無駄な歳出削減?そんなもので、1.5兆円の社会
>保障費自然増など、補いきれません

しかし、不況になるとまず社会保障費の話題になるのは何故なんでしょう?
そもそもが社会保障費のせいで不況になったわけでも、不況が長引いた原因でもないのにです。
まず、財政赤字の一端として歳出を削るのであれば公共投資など財政支出を見直すのが筋で、実質これらはすでに利益を得る主体が固定化している為に需要喚起効果は乏しくなっています。
内情は政府が主導的に続けてきたというよりも、利益依存体系により慣例的に継続しただけの無駄な歳出です。
この中身を修正するなど、景気対策を外したままの増税や、まして社会保障費削減など政府、財政の役目としても何の理屈にもあてはまりませんよ。

>Toshio殿
更に一つ意外と話題にならない大事な疑問がこれです。
※なぜ増税対象の消費税を社会保障と一体と拘るのでしょうか?

この答えに気付いている政治家さんも多少はいるようですが。
見るに恐らく橋下市長は気付いています。
彼の主張する(政府に要求している)事が何よりそれを示しています。
もちろん、これだけをもって支持するのも安易な考えです。

投稿: R.W.M | 2012年7月 1日 (日) 01時14分

不況と社会保障費は、全く関係のないことです。

>まず、財政赤字の一端として歳出を削るのであれば公共投資など財政支出を見直すのが筋で、実質これらはすでに利益を得る主体が固定化している為に需要喚起効果は乏しくなっています。
内情は政府が主導的に続けてきたというよりも、利益依存体系により慣例的に継続しただけの無駄な歳出です。
この中身を修正するなど、景気対策を外したままの増税や、まして社会保障費削減など政府、財政の役目としても何の理屈にもあてはまりませんよ。

 ですから、政府支出は、毎年増加し続けるので、「無駄な歳出」を幾ら削っても、自然支出増には対処できないと言うお話です。

「無駄を削って」というのは、空理空論です。毎年1.5兆円削り続ける?無理ですから。


 今、予算は92兆円ですが、自然増で、5~6年後には100兆円になります。どうやって、確保するのですか?国債費60兆円発行ですか?

 景気対策?公共投資ですか?財源は?どこにも打ち出の小槌はないです。

投稿: 菅原晃 | 2012年7月 1日 (日) 18時15分

>菅原晃殿

>不況と社会保障費は、全く関係のないことです
 失礼、「~か社会保障費削減しかありません」とあったのでそれに対する反論です。
特に主張されている訳ではなかったようで。
>「無駄を削って」というのは、空理空論です。毎年1.5兆円削り続ける?無理ですから。
ではお聞きしますが、1.5兆円の税収増を今回の消費税増税と次の税率引き上げで賄っていけるのでしょうか?
引上げ年度(或いは数年間)なら、かけこみ需要などの歳入は見込めるでしょう。
しかし、それすらも需要が減じている状態では疑わしいところです。
経済学の知識をお持ちと察しますが、本当に消費税を上げただけで良いとお考えですか?それでは現首相と同レベルの経済知識ですよ。
 あくまでも「消費税増税だけ」をする事が財政の役割放棄だと述べているのです。
>景気対策?公共投資ですか?財源は?どこにも打ち出の小槌はないです。 
「景気対策を外したままの増税」と申しました。財政政策は複数の効果を含意するものです。
1996年にみられた景気回復兆候を潰したのは「増税」です。そこから学ぶべきものはあるはずでしょう?
それと「景気対策の財源」と言われるのであれば「特別会計」があげられます。
尤もこれだけでは私でも批判します。
具体的に「円高対策」は外貨準備金すなわち「特別会計」が元々の財源です。打ち出の小槌かは存じませんが、よその国の投資にはよく振られているようで。

投稿: R.W.M | 2012年7月 2日 (月) 03時57分

>ではお聞きしますが、1.5兆円の税収増を今回の消費税増税と次の税率引き上げで賄っていけるのでしょうか?

 無理ですよ。社会保障自然増をまかなう税収は確保できません。

 ただし、プライマリーバランスを(つまり、国債費/GDP比)均衡させるには、4~5%程度の消費税増で十分です。
 ですが、社会保障費増をまかなえません。

>しかし、それすらも需要が減じている状態では疑わしいところです。

 あの、三面等価から、生産=消費(あなたの言う需要)です。

 2009年→2010年→2011年と、GDPは拡大しています。また、四半期を見ると、2012年も拡大していますよ。需要が減じているわけではありませんよ。(内閣府 国民経済計算 参照)

>1996年にみられた景気回復兆候を潰したのは「増税」です。そこから学ぶべきものはあるはずでしょう?

 1997年の消費税増税ですか?違いますよ。消費税増税でGDP減少になったのではありませんよ。(2011年白書参照)1997年は定額減税の廃止など、さまざまに減税を元に戻し、また、アジア通貨危機、山一、そごう、拓銀倒産など、複雑な要因が絡んでいますよ。

>具体的に「円高対策」は外貨準備金すなわち「特別会計」が元々の財源です。打ち出の小槌かは存じませんが、よその国の投資にはよく振られているようで。

 はあ?ストック(国富)における外貨(250兆円)は、どこに振り向けようと、総額では変化しませんよ。つまり、250兆円をドルで持とうが、ユーロに使しようが、IMFに供出しようが、韓国に融資しようが、日本の持つ外貨は、総額では変わりませんよ。

 そもそも、あなたのいう特別会計(ストック)を取り崩して、フロー(GDP)には回せませんよ。会計のイロハのイですよ。GDP(生産=消費あなたのいう需要b)は、その年の生産=消費のことで、過去のストックは回せませんよ。

投稿: 菅原晃 | 2012年7月 2日 (月) 20時45分

>プライマリーバランスを(つまり、国債費/GDP比)
>均衡させるには、4~5%程度の消費税増で十分です
>ですが、社会保障費増をまかなえません。
失礼しました。まともな経済認識をお持ちの方の様ですね。
そもそも、今回の消費増税についての賛否に景気云々を持ちこむのも的外れな論争ではあります。
一方的な理屈の意見があまりに多いのでそういう人への反論のパターンです。なので表現は曖昧にしてますが、ここには誤りもありご指摘は全く正しい。

>あの、三面等価から、生産=消費(あなたの言う需要)です。
>需要が減じているわけではありませんよ。
失礼、これは需給ギャップですね。
説明は必要ないかと思いますが、GDPが増えていてもその中身です。
0%金利である事から導き出せますが、供給過多=事実上「需要が減じている」→「需要が不足」が正しい表現でした。

>1997年の消費税増税ですか?違いますよ。
>1997年は定額減税の廃止など、さまざまに減税を元に戻し
今回は「ただの消費増税」そして1997年は「増税」という表現をしたのも意図は同じです。ただ、これは「減税」とするべきでした。
ご指摘の通り課税の累進性を減らした事を言っております。

>日本の持つ外貨は、総額では変わりませんよ
>特別会計(ストック)を取り崩して、フロー(GDP)には回せませんよ
これもひっかけ程度のつもりでしたが、フローに回す、総額を増やすのではなく「円安誘導」は出来るというものです。これは政府の意思表明と伴う行動で十分可能なはずです。スイスの例がありますので。

この様な説明は手の内を晒し本意ではありません。
しかし今回は私の仕掛けに誤りがありますので。
基本的には見解の相違はないようです。
貴方とはもう少しポジティブな先々の議論をするべきでしたね。

投稿: R.W.M | 2012年7月 3日 (火) 20時27分

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