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野田総理の矛盾【「原発再稼働」と「消費税増税」】

2012062101 メキシコでのG20首脳会議に出席していた野田総理が、会議初日で切り上げて帰国したことが話題となっている。野田総理にとっては、ヨーロッパ経済よりも自国の消費税増税法案が気になるということなのだろう。その証拠にサミットでは以下のように述べたらしい。
 
カンヌサミットでコミットした通り、消費税率を段階的に10%まで引き上げることを含む社会保障と税の一体改革法案を国会に提出し、成立を目指し全力を挙げている
 
 まるで消費税を増税することが正義であると言わんばかりの発言だ。未だ閣議決定もされていない法案を世界舞台で堂々と述べること自体も非常識だと思われるが、「消費税増税で財政再建する」などという政策も、海外の有識者から観れば、非常識この上なく、日本でしか通用しないただの経済音痴政策でしかない。それに、日本の『社会保障と税の一体改革』が実現したとしても、世界経済には何の影響もない…と言うより、むしろ悪影響を及ぼす可能性の方が高いと思われる。

 先日の野田総理の「原発再稼働」発言は、1国の宰相の発言として評価できるものだと思うが、「消費税増税」発言は、今更言うまでもないことだが全く評価できない。「原発再稼働」は他に現実的な代案が無いのだから、苦渋の選択としては納得せざるを得ないところだが、「消費税増税」には現実的な代案がいくらでもあるのだから、納得のしようがない。

 「原発再稼働」という現実案を選択できる人間であれば、ロジック的には「消費税増税」は選択できないはずなのだが、なぜこのような二重人格者の如く政策的矛盾が生じてしまうのだろうか? 「原発再稼働」は至極現実的な政策だが、「消費税増税」は極めて非現実的な政策であり、同一人物の選択としては明らかに矛盾している。

 そもそも「消費税増税」の目的は何かというと“税収アップ”、これしかない。では、“消費税収をアップ”させるには、どうすればいいのかというと、単純に考えると以下の2つの手段がある。
 
 1、消費税率をアップする
  (注:この場合、税収が100%アップする保証はない)
  
 2、消費をアップさせる

 野田総理の手段は言わずと知れた「消費税率をアップする」だが、本来、「民主」を名乗る政治家が採るべき手段は、「消費をアップさせる」である。この2つの違いは、主語が「」か「国民」かの違いだ。

 「(国が)消費税率をアップする」という政策は、如何なる言い訳をしたとしても、国民そっちのけの社会主義政策である。そう考えれば、ロスカボスサミットで野田総理が述べたコメントを本質的な意味合いに翻訳すると、以下のようになる。
 
 「民主党は日本で社会主義政策を全力で行っています
 
 サミット参加者達の耳には、おそらくそう聞こえたはずである。

 「消費をアップさせる」ためには、どうすれば国民(消費者)が消費活動に精を出してくれるのかを考えて、策を練るのが本来の政治家の仕事である。不況で先が見えないという理由でお金が動かなくなっているのであれば、まず、その不況から脱するにはどうすればいいのかを考えて、景気刺激策を矢継ぎ早に打ち出すことこそが経済を理解した政治家が行うべき正攻法だと言える。あくまでも主役は国民なのだ。
 
 そして、消費者が“お金を出しても買いたい”と思うような魅力的な商品を市場に供給するためには、民間企業の自由なアイデアや商行為を縛るような無意味な規制は全て取っぱらう必要がある。
 無論、違法行為を取り締まるべき最低限の法規制は必要だが、「こんにゃくゼリーは小さくしなければならない」だとか、「生食レバーは食べてはいけない」だとか、「ネットで薬を販売してはいけない」などという、明らかに消費活動を減退させるような規制は極力控える方向で賢く対処しなければならない。“規制”と“不況”は密接不可分の関係に有るということぐらいは今時の中学生でも気付いていることだろう。
 
 こんにゃくゼリーが危険な食べ物であると言うのなら、タバコやアルコールと同じように年齢制限を設けて、その法律に反した者は自己責任ということにすればいいだけのことである。生食レバーも、フグの肝と一緒で、食べることにリスクが有るということだけ周知徹底すれば、食べる食べないは自己の判断に任せればよいと思う。ネットの薬販売の禁止に至っては、何の説得力もなく、ただの省益優先規制としか思えない。

 消費だけでなく、生産者の職まで奪うというような過剰な規制ばかりでは、経済がシュリンクし、景気も良くなるはずがない。まさしく、“規制の量”と“景気は良し悪し”は密接にリンクしているのである。
 この単純な経済原理を全国民に認識してもらう(つまり教育する)ことで、景気は少しは改善される(=消費税収は上がる)はずである。しかし日本では、お金の教育同様、規制の悪弊などという本質的な経済教育は一切為されていない。むしろ、「規制こそが経済を安定させる」というような妄論を垂れ流しているのがマスメディアの実態だとも言える。
 
 消費税を上げるよりも、消費を増やす。たったそれだけのことで、景気は良くなり、税収も上がる。多くの国民がその単純な経済原理を理解し、行動することができれば、消費税の増税などは本来、必要無いのである。
 
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コメント

>「消費税増税」には現実的な代案がいくらでもあるのだから
ギリシャも、外人である我々から見たら、さっさと緊縮してまじめに生産性上げろ的な視点になる感じです。

ひるがえって、莫大な借金がある日本人もそろそろギリシャをみならって決断しろよってな具合で日本以外の国から見られているのが、日本人にも感じられつつある昨今ですね。そろそろ危ないんじゃないかという風評なり空気になった時にはもう時すでに遅いわけで、その風評はなかなか解消されないと見えます。おりしも震災時のリスクマネジメントで、その能力が無いことが証明されているわけですから、現時点で「増税を決断できない日本」になった場合は、デフォルトが現実味を帯びてきて、世界に大迷惑をかけるユーロ危機どころの話じゃない、日本発の世界大恐慌だって現実に想定されるわけです。数年前の韓国の比じゃない悪人になるし、一気に最貧国並みな劣悪な環境になりかねません。
90%ほどの国債は日本人が買っていると言われているようですが、その割合は減ってきているらしいと聞きます。まして、のこりの10%が売り始めたら、いくらのん気な日本人でも、我先にと売りあびせはじめるでしょう。1000兆円の10%の100兆円も、十分莫大だと思えます。

円高も国債の安定度も、一度歯車が逆回転しだしたら、論理的にはありえないといっても風評なり空気にたいする手当てをこの国ができないことを実証したわけですから、「消費税増税を決断することは現実的なとりあえずのコスト」のように見えます。増税いやだとか、資産の目減り対策など個人的には合理的な事をみんながやり始めたら、その個人を含む社会は破滅に向かうわけですから。

(A)数%のGDPマイナスがほぼ100%の確率で起こる増税を「日本人が決断」するか
(B)数十%のGDPマイナスがある確率で起こることを「市場に強いられる」か
Aを選ぶのが、為政者であるリーダーのあるべきすがたと思います。現時点で「増税の決断」以外にはBに対抗するための現実的な代案があるように見えません。

投稿: たなか | 2012年6月22日 (金) 22時50分

>たらこさん?たなかさん?
>外人である我々から見たら、さっさと緊縮してまじめに生産性上げろ的な視点になる感じです
なぜでしょうか?私はギリシャ債権やユーロ債権を持っていない、要は金を貸している訳では無いし、仮にそうでも貸しているから人の家の事に口出ししていいとも思いませんので、その視点の感じは理解できませんが。
デフォルトで世界に迷惑を掛けるとしたらそれは外にお金を借りているという事です。
そうでない場合逆に日本製品は値崩れによって安く提供されるでしょうから喜ばれる側面もあるのでは?
国債を保有している日本人は債権を持つ側、つまりお金を貸している側ですから「日本」にではなく「日本人」に借金があるというのはおかしな表現です。
「投機筋に増税での安心感を与える」というのは分からなくもないですが、貴方が言うリスクは飛躍してますよ、1割程度の売りが入る事で売り浴びせが始まる事を危険視するのであれば世界中の市場に信頼できる投資先などあるのでしょうか?(ちなみに私は減税にも反対です。サプライサイド政策というやつで、失敗か効果が無いという例もありますので)
一時凌ぎの策として仮定するのならそれもわかる気はしますが、それで躍起になる事もないのでは?財務省ですら消費税を上げても税収は増えない事を実質認めていますよね。
もう一つ、「資産」の目減りをどう考えているのでしょうか?
モノとカネの関係は相対的でもあります。物価が上がれば貨幣価値は下がりますよね?カネの価値が目減りするという事は例えば家屋や土地などの資産価値は増えるという事でもあるわけです。

投稿: R.W.M | 2012年6月25日 (月) 12時19分

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