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『6億円宝くじ』にみる不可思議な現象

2012113001 1等賞金4億円(前後賞合わせて6億円)という史上最高額(10年前の10倍)の『年末ジャンボ宝くじ』が11月26日に全国一斉発売されたが、「6億円」という金額が影響しているのか、例年よりも多くの人々が宝くじ売り場に足を運んでいるらしい。

 日頃、1円でも安い商品を買うことを生業にしている生っ粋のデフレ人間のような人であっても、宝くじだけは別物であるようで、胴元(国)のテラ銭が5割という割の合わないギャンブル(=割に合わない買い物)であっても、多少の出費は気にせずに購入してしまうという人は多いようだ。
 当選金額が昨年の2倍になっても、テラ銭(胴元の取り分)率が変化するわけではないので、単に当選者数が半分になったというだけの話なのだが、「6億円」という大金は、人々から合理的な思考そのものを奪うほどのインパクトがあるということなのだろう。

 「宝くじ1等に当選する確率は交通事故で死亡する確率よりも低い」と言われることがある。この「交通事故」というのは自動車事故ではなく、実は飛行機事故のことであるらしいが、今回のように当選賞金は上がっても当選人数が減ってしまえば、さらに確率は低くなってしまう。
 テラ銭を削って賞金を上げるというならまだしも、高額な当選賞金に反比例して当選確率は大幅に低くなっているにも拘らず、人々の行動は変わらないどころか、逆に勢いを増している。よく考えるとこれは実に不可思議な現象だと言える。

 よく「サラリーマンの生涯年収は2億円」とも言われるが、2億円もあれば毎年500万円の生活費が必要な人であっても40年間暮らすことができる。300万円なら60年間、200万円なら100年間暮らすことができる。
 これが、6億円ともなると、毎年1000万円で60年間という計算になる。
(注意:全て税金は考えないものとする)

 普通の暮らしで満足できる人であれば、6億円もの大金は必要無いわけで、2億円でも充分な気がする。6億円で68人当選するぐらいなら、2億円で204人当選した方が有り難いのではないかとさえ思える。

 (A)6億円が68人に当選

 (B)2億円が204人に当選

 一般庶民にとって、上記の2つはどちらが魅力的な宝くじだと言えるだろうか?
 私なら迷うことなく(B)を選択すると思うが、どうやらそう思わない人が多いらしい。

 通常、2億円もあればお金に困ることはないので、当選する確率が高い方を選択した方が合理的なはずだ。しかし、多くの人々は「6億円」という金額に目(心)を奪われて理性を失ってしまい、まるで、当選金額が上がることが得であるかのような錯覚に陥っているかに見える。

 中には、「100万円分の宝くじを買う」という人もチラホラといるそうだが、ある意味、恐れ入ってしまう。
 1枚300円の宝くじを100万円分買ったとしても、3333枚しか買えない。8ケタの宝くじで1等が当たる確率は1000万分の1なので、10000000を3333で割ると、約3000ということになる。つまり、100万円分の宝くじを購入して1等に当選する確率は3000分の1ということになる。
 ということは逆に考えると、3000分の2999の確率で90万円近くをドブに捨てることになるわけだ。まさに万馬券狙いのギャンブルだとも言えるが、そんな大それた行動が取れるということは、きっと余剰資金を多く抱えた資産家達なのだろう。

 一般的な庶民であれば、100万円も出して宝くじを購入するぐらいなら、100万円分の株式を購入した方が、はるかに合理的であり無難な選択ではないかと思う。100万円分の株式を購入して90万円をドブに捨てることになる確率の方がはるかに低い。
 今なら、PBR(株価純資産倍率)がを大幅に下回っている割安株がいくらでもあるので、優良銘柄に投資すれば、高い確率で利益を得ることができる。6億円も儲けることは無理な話だが、6万円ならプラスにできる可能性は充分に有る。ほぼ不可能に近い6億円と、手の届く範囲にある6万円、あなたなら、どちらを選択するだろうか? 私なら迷わずに後者を選択する。90万円もドブに捨てる覚悟が有る人なら、きっと株式を買うことなど造作もないことだろう。

 しかし、そうは言っても、多くの国民は自国の株式などには全く目もくれず、テラ銭50%というハイリスクギャンブルに心を奪われてしまう。
 この不可思議な現象から我々が学ぶべきことは、たとえ微かな可能性であっても、その先に圧倒的に巨大な『』が存在すれば、人々はデフレ思考を乗り越えて、お金を使うようになるということである。全ての国民が合理的な行動しかできないようなら面白くない。時には不合理な行動ができる人々がいるからこそ、経済も回っていくのだろうと思う。

 この国の未来に「希望」という名の『夢』が微かにでも有ることを国民に感じさせることができれば、日本の20年を超えるデプレ(デフレではない)も解消される可能性が有るかもしれない。ふと、そんな希望(幻想)を抱いてしまいたくなるほどに不可思議な現象を我々は現在、目の当たりにしているのかもしれない。

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