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BOOK『若者を殺すのは誰か?』を読んで。

2012120201 12月1日、大学新卒者の就職活動(就活)が解禁されたが、ちょうど時を同じくして、若者雇用問題のスペシャリストでもある城 繁幸氏の新書第4弾『若者を殺すのは誰か?』を読み終えた。
 最近の社会問題を例に挙げて解りやすく纏められていたので、遅読の私でも一気に読み終えることができた。
 タイトルからも想像できる通り、全般的に世代間格差について述べられていたが、特に第5章『社会に存在する虚構と“空気”』は少し趣きが異なっており、社会学者的な考察で興味深く読ませていただいた。

 本書には「日本企業の新人研修は洗脳だ」とも書かれていたが、これは私も経験があるので、実際にその通りだと思った。
 私自身もかつて、以前に勤めていた会社(新卒で入社した会社)で新入社員研修なるものがあり、2泊3日の泊まりがけの合宿で数十人で研修を受けたことがある。
 当時、学生生活で自由が染み付いていた身には、悪い意味でのカルチャーショックだった。社会人になったにも拘らず、まるでもう1度、義務教育課程に戻ってしまったのか?というような錯覚を覚えたことを記憶している。私はその研修の最中、元同期の人にこう漏らしたことも覚えている。

 「こんなのは洗脳と変わらない

 この言葉を聞いた元同期の人は、笑いながらも怪訝そうな目で私を見ていた。
 当時、同じく研修を受けた新卒同期の人々は、私ほどには(と言うより全く)疑問を感じていなかったようで、まるで子供の遊びのような研修に、それほど疑問を感じることもなく嬉々として順応し、社風に染まっていったことを記憶している。
 ただ、その会社の場合は、別に愛社精神を植え付けるというようなものではなく、他の会社が教育研修なるものを行っていたので、同じように行っていただけだと思う。今考えるとあれはなんだったのか?と思うことがあるが、本書にはその疑問の答えなるものが書かれていた。

 世間の大部分の人々は、自分が置かれた社会的環境に順応することには長けてはいるが、その置かれた社会やシステムが本当に正しいものであるかどうかは考えようともしない。
 独裁国家の多くの国民が、なぜ自らの国に疑問を抱かないのか不思議に思えることがあるが、なんのことはない、どこの国でも国民性は変わらない。単に生まれて住んでいる国が、幸いにも民主主義国家だったというだけで、洗脳されやすい国民性という意味では同じなんだなと思うことがある。

 ところで、本書を読んで初めて知ったことだが、「過労死」という言葉(と言うより現象)は日本にしかないものであるらしい。「karoshi」という言葉でググってみてほしいと書かれていたので、実際にネット検索してみると、確かに「karoshi」という単語が英語の辞書に記載されているようだ。
 では日本企業の過労死を無くすためにはどうすればいいのか? これに対する解答は「終身雇用制度にメスを入れるしかない」ということだったが、これも実際、その通りだと思う。ただ、個人的には、終身雇用制度よりも賃金制度の方に問題が有るのではないかと思う。

 第5章には、ライブドア事件でホリエモンを投獄するために彼の背中を押した黒幕の推察が書かれていた。
 城氏曰く、「ホリエモンを立件したのは検察だが、彼らはただの執行機関であり、意志のない道具にすぎない」ということなのだが、これは私も同意見だ。検察は単なる実行部隊なので、首謀者ではないとは思う。では、検察を動かした黒幕は誰だったのか?
 ここでその推察の答えをズバリ述べるような野暮なことはするつもりはないが、城氏はその黒幕を“具体的な言葉”と“抽象的な言葉”を用いて述べていた。具体的な答えの方は私の推察とは違っていたが、抽象的な答えである「空気」の表現はその通りだと思った。

 かつて、「ライブドア事件は現代の安政の大獄だ」と述べていた人がおられたが、私もこれに近い感想を持っている。ライブドア事件についてはこれまでにも何度か記事を書いてきたが、そのうちまた改めて記事を書きたいと思っている。
【参考文献:『時に、若者が歴史を創った』(有木賢操著)】

 最後に、城氏は「日本の選択肢は増税か社会保障カットかの二者択一」と述べており、「筆者自身も、周りのビジネスマンも、みんな維新八策を支持している」と書かれていた。本書の内容の大半は同意できる内容だったが、この部分だけは納得がいかなかった。
 私は、日本の選択肢は増税か社会保障カットか経済成長かの三者択一だと思っている。無論、最後の経済成長しか日本経済を救う道は無いと考えている。

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