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自民党経済成長戦略の矛盾(“アベノミクス”と“増税”)

2013012701 先日、与党である自民・公明両党から「平成25年度税制改正大綱」の発表が為された。トータルで見れば「減税政策」ということになってはいるものの、手放しには喜べない部分もある改正案だったと言える。奇しくも前回の記事で書いた証券優遇税制の維持(または減税)はあっさりと裏切られる格好になってしまった。

 「不況時には増税をしてはいけない」、これは経済運営の基本原則であり常識でもある。ゆえに不況時に減税には一切触れず消費税の増税を唱えた民主党は、心ある経済人から非難された。
 現在は自民党政権になり、「大々的な金融緩和を行う」という発表があり景況感は幾分か改善される見通しが立ったものの、舌の根も乾かぬうちに直ぐさま増税の発表とはいただけない。富裕層への増税証券優遇税制の廃止も、景気を良くする政策ではないので、この部分は明らかにマイナスだ。
 こう書くと個人の怨み節に聞こえるかもしれないが、無論、私は富裕層には該当しないし、証券優遇税制についても個人的な感情論を書いているわけではない。

 アベノミクスの発表で景気が良くなり、不況から脱却できる可能性が少し出てきたことは有り難いことだが、本来、景気が良くなって税収が増加するのであれば、相乗効果を狙って、更なる減税路線に踏み切るのが筋である。
 増税による日本経済の衰退に歯止めをかけるために出てきた起死回生の経済政策が『アベノミクス』であったことを考慮すれば、アベノミクスの結果如何に関係なく増税では筋が通らず、何のための経済成長政策か分からなくなってしまう(経済成長効果は半減してしまう)。

 アベノミクス→景気改善→税収増→減税

 これが正しい政策フローだと思うが、現状では以下のようになってしまっている。

 アベノミクス→景気改善→税収増→増税

 これでは、ただの社会主義政策だと非難されても仕方がない。最終的な目的が減税なのか増税なのかで、アベノミクスは善にも悪にも成り得る

 未だアベノミクスは実行に移されていないわけだから、最終的な結果を見る前に増税案を発表するというのは現段階では早過ぎる。20兆円ずつを10年間に渡って市場に放出するのであれば、10年後までにじっくりと判断すればいいことである。10年間かけて200兆円をバラまき経済成長政策を推し進めても一向に景気が良くならず、税収も上がらなかったということであれば、増税も止むを得ないと言えるが、現時点で税金を上げる決断を下すのはあまりにも時期尚早だと思われる。

 自動車取得税の廃止も「年間2000億円の税収減に繋がる」という自治体の反対意見で先送りとなってしまったが、消費税を上げるのであれば、その増加した消費税収内で賄えば済むことだと思われるので、先送りする必要もない。本気で景気を良くしたいという姿勢を国民にアピールしたいのであれば、こういった優柔不断な態度は極力控えるべきだと思う。
 現在の消費税収は10兆円程度だから、消費税が2倍の10%になれば、単純計算で10兆円の追加増収となる(実際にはならないが)ので、取り敢えず、2000億円の穴埋めはそこから賄うということにしておけばいい。

 また、食品等に関する消費税の軽減税率も、どの品目に何%の消費税をかけるかが問題となっているが、各商品ごとの軽減税率などというややこしい制度を設けると、またぞろ無駄なお役所仕事や脱税行為が増えるだけだと思われるので、いっそのこと、軽減税率などは止めて、その分、全体的な消費税率を下げればいい。例えば、全商品7%のシンプルな消費税率にすればいいのではないかと思う。(10%の場合は9%にする)
 念のため、お断りしておくと、私は消費税の増税には反対の立場なので、ここで述べた税率等は、あくまでも仮定の話である。(半分は皮肉で述べているので誤解のないように)

 アベノミクスによって景気が良くなり、税収が増加すれば減税を行うという好循環があってこそ、真っ当な経済成長戦略と成り得るのであり、そうであってこそ、一見、社会主義的な政策であっても善と成り得るのだ。
 安倍総理は、アベノミクスによって消費税の増税を回避できてこそ、名宰相と呼ぶに相応しい。現在のような減税案の中にこっそりと増税案を盛り込むような矛盾した政策内容では、先行きが少し心配になる。最終的には減税路線に切り替えることを切に願う。

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コメント

 増税実施のためには景気をある程度上げなければならないから、その程度の金融緩和ならば財務官僚の容認範囲内ということでしょう。

 しかし、それを超える金融緩和では景気があまりに良くなりすぎ、税収が増えすぎてしまう。
 それでは再増税(税率20%)に動きにくくなる。
 だから、財務官僚は御用マスコミ、御用エコノミスト、御用学者を総動員して金融緩和抑制論調を広めている。

 ちなみに、財政出動は増税を邪魔しないでしょう。
 それは、中長期的に(建設分野の)過剰雇用を膨らませてデフレ圧力を増大させるうえ、政府債務を膨張させるからです。
 また、無駄な為替介入を乱発するのも効率的に政府債務膨張を出来るので、増税誘導には効果的ですね。

投稿: joju | 2013年2月 3日 (日) 17時49分

joju様

 コメント、有り難うございます。

>しかし、それを超える金融緩和では景気があまりに良くなりすぎ、税収が増えすぎてしまう。
>それでは再増税(税率20%)に動きにくくなる。
>だから、財務官僚は御用マスコミ、御用エコノミスト、御用学者を総動員して金融緩和抑制論調を広めている。

 なるほど、鋭い指摘ですね。あまり景気が良く成り過ぎると増税の必要が無くなってしまうので困るということですか。
 それとは別に意識せずに御用学者を演じ(させられ)てしまっている人も結構おられるみたいですが。

投稿: 管理人 | 2013年2月 4日 (月) 22時54分

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