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マーガレット・サッチャーの知られざる名言

2013041101 長らく認知症を患っていると伝えられていたイギリスのサッチャー元首相が亡くなった。サッチャーは「イギリス病」を退治したことで有名な女性の政治家だが、その辣腕ぶりから「鉄の女(Iron Lady)」と呼称されたことでもよく知られている。彼女は政治家ならではの多くの名言を世に残した。

 誰もが知っている有名な言葉に以下のようなものがある。

 「お金は天から降ってこない、地上で稼ぎ出さねばならない

 「お金持ちを貧乏にしても、貧乏な人はお金持ちにならない

 そして、日本ではあまり伝えられないサッチャーの名言の1つに以下のようなものがある。

 「労働組合が若者から仕事を奪っている

 サッチャーと労働組合との対立は有名な話で、サッチャーは「ストライキを頻発させて合理化に抵抗する労働組合こそがイギリス経済の元凶である」とまで言っていた。

 まるで現代の日本にもそのまま当て嵌まりそうな言葉だ。昨年に観た映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で、この台詞を言う実録シーンを見かけたが、日本でこんな台詞を公衆の面前で堂々と言える政治家が果たして何人いるだろうか?

 サッチャーは学生時代にハイエクを学んだことでも知られるハイエキアンであり、小さな政府を理想とする政治家でもあった。ゆえに、サッチャー自身は、労働組合という組織自体が必要ないと思っていたのかもしれないが、ここでは、労働組合は必要との前提(中立の立場)で話を進めたいと思う。

 サッチャーの言うところの「労働組合が若者から仕事を奪っている」というのは、主として不況期で問題となる話である(不況期の公務員バッシングと同様)。労働組合の仕事内容というのは、本来であれば、好況期不況期では違ってくるはずなのだが、その違いが明確になっていない(あまり考えられてこなかった)ため、様々な矛盾を生むことに繋がり、批判されることになったのかもしれない。

 現代日本の労働組合の役割も、基本的には「正社員」という身分と、その待遇を守ることにあるとされているが、単に現状を維持するだけでなく、給料や待遇のベースアップをこそ主たる目的としている。
 しかし、いかなる経済環境にあろうとも給料や待遇のベースアップを目指すというのは、土台無理な話で、労働者の雇用を守ることが最優先であるのならば、時にはベースダウンの交渉も行わなければならない。

 日本中の全ての中小企業(労働者)が労働組合の傘下にあるのであれば話は別だが、残念ながら、労働組合というものは中小企業には全くと言っていいほど存在していない。そういう意味では、「労働者のための組織」というよりは「大企業の労働者のための組織」だとも言える。
 特定の企業や集団にしか存在しない組織であるため、労働組合が活躍すればするほど大企業と中小企業の労働格差がどんどん拡大するという矛盾を齎すことになってしまう。
 よく、同じ仕事をしても給料が違うという「同一労働同一賃金」問題が取り沙汰されることがあるが、労働組合が頑張れば頑張るほど、皮肉なことに「同一労働同一賃金」の実現は遠離ることになる。

 労働組合の本来の役割というのは、景気の良い時は、労働者の待遇を良くするべき活動をし、景気の悪い時には、労働者の雇用を維持するために、逆に待遇を下げて雇用を調整するという役割(悪役)を演じなければならない。しかし、現実はどうなっているのかというと、不況期であろうと無かろうと、待遇を良くすることしか考えていないようにさえ見える。

 本来、労働組合というものは、経済成長があってこそ、その役割を果たすことのできる組織であるので、経済停滞を憎み、経済成長を支持する団体でなければ可笑しいことになるのだが、どういうわけか、この国では、労働組合に拘わらず、経済成長を必要とする組織に限って、経済成長を否定するという矛盾した構造になってしまっている。

 この矛盾した構造が「イギリス病」ならぬ「日本病」の元凶の1つであることは言うまでもないが、この矛盾を解決する(覆い隠す)手段は、皮肉ながら経済成長しかない。

 サッチャー風に言わせていただくと、
 「経済成長を否定しても、日本経済が元気になるわけではない」のである。

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コメント

所詮、この世は仮の世。
真っ当な世の中は、この世の外 (頭の中) にある。

哲学は、非現実 (過去と未来) の内容。
英語なら、時制があるから、非現実 (過去時制と未来時制) の内容でも文章になる。だから、英米人は、信念の政治ができる。
日本語では、時制がないから、非現実の内容は文章にならない。文章がなければ、矛盾を淘汰できない。
非現実に関する発言が支離滅裂になる。だから、日本人は、雑念の政治になる。
人を信用できない。聴衆に閉塞感を呼び起こす。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/

投稿: noga | 2013年4月11日 (木) 01時03分

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